p.37

非人称的活動

p.38
 したがって、パトスの位相にあるロゴスは、
 一切の実体論的二項対立以前の動きであるだけではなく、
 その差異化自体が、
 意識的主体の意志によるものではない
 非人称的活動であることを見逃してはならない。
 そこでは、自/他以前の<on ひと>が語るのだが、
 そのonは能動/受動以前の受動性によって語らされる
 (パトス=パッシオ=パッション)。
 とは言っても、主体が雲散霧消するのではなく、それは逆に多様化され、
 「私はもう一人の他者」(ランボー)となり、
 「歴史上のあらゆる人物とさえなる」(ニーチェ)なのだ。
 ロゴスの表層において錯視されていた自我(イッヒ)の同一性は崩壊し、
 デカルト的主体(コギト)によって抑圧されていた
 より豊饒な自己(ゼルブスト)の世界に人は生きる。 
最終更新:2008年06月26日 15:18