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ペーソスとユーモア
パトスが英語のペーソスであることもよく知られていよう。
これは<哀愁>、<悲哀>、<感傷>などとも訳されるが、
これまた決してロゴス以前の自然的感性ではあり得ない。
そうではなくて、
これこそ身の深部におけるロゴスの下意識的な働きそのものであり、
ホモ・ロクエンスのみが知る笑いやユーモアのカウンター・パートなのである。
動物や貰い泣きもせず思い出し笑いもしない。
それどころか動物は死なず、
死に至るのは<ロゴス=言葉>をもつ人間だけである(本書、第Ⅴ章参照)。
最終更新:2008年06月27日 12:34