本当に好きなのは【ほんとうにすきなのは】
「っあー!この人かっこいー!」
俺の隣では、毎日こんな大きい独り言が聞こえます。
「ねーねーのんちゃん見てっ、かっこよくない?」
「うんうん、そうだねえ」
雑誌を数冊乱雑に開いて並べると、それの一つ一つを指差す。
そしていちいち気に入った男を俺に知らせる。
しかも、俺の部屋で。
そしていちいち気に入った男を俺に知らせる。
しかも、俺の部屋で。
そんな一見自分勝手極まり無いのが、俺のちょっと気になってる人。
甜ちゃん。
甜ちゃん。
「のんちゃんってば適当すぎ」
軽く俺を睨みながらばしっと腕を叩く。
これが、結構痛い。
これが、結構痛い。
「甜ちゃんさあ、普通に好きな人居ないの?」
何とも無しにそう聞くと、甜ちゃんは目を丸くした。
そのまま数秒、ぶはっと噴き出す声が聞こえる。
そのまま数秒、ぶはっと噴き出す声が聞こえる。
「やっだー、居る訳ないよ、ないないー」
明らかに"いますよ"って感じの返事だった。
ちょっと気になってるって程度でも、やっぱり傷付いちゃったりとかして。
そっか、と頷くしか出来なかった。
そっか、と頷くしか出来なかった。
そんな俺を見て甜ちゃんは、「変なの」と呟いた。
俺からすれば、甜ちゃんの方が変だ。ミーハーだ。
俺からすれば、甜ちゃんの方が変だ。ミーハーだ。
「またあ?」
懲りずに甜ちゃんはやって来る。
ただ違うのは、今度持って来たのは雑誌じゃなくて、何らかの切り抜きだ。
ただ違うのは、今度持って来たのは雑誌じゃなくて、何らかの切り抜きだ。
その中には公輝や卓也や、俺も映っていた。
「よーっく見るとかっこいい人いっぱいいるけどー…」
甜ちゃんは写真を床に置いてぺたんと座る。
「甜歌が一番かっこいーって思うのは、この人かなっ」
そう言って、俺を指差した。
恐る恐る顔を上げると、にっこりと笑った。
恐る恐る顔を上げると、にっこりと笑った。
それからも甜ちゃんは、俺の家で雑誌を開いた。