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優しさ

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yariba

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優しさ【やさしさ】



俺は人に優しくするのが嫌いだ。


「なーなー、隼太って自由やな」

欠伸をして目に涙をいっぱい溜めながらボーッとしていると、後ろから七海に背中を小突かれた。
あでで。とその背中に手を回しながら振り返る。

「七海ちゃーん痛いでーす」

そう訴えると七海は疑り深い眼差しでジトッと見て来た。

そして俺の後ろから隣まで移動してくる。

「で、何でそんな自由なん?」

「そんな事言われても。…これが普通だし?」

ははっと渇いた笑みを浮かべる。
七海はそれでも不満そうにジトー、ジトーと視線を送って来た。

思わず深く溜息をつく。


「…なんやねん、優しくする言うたのに」

ふと七海は呟いた。
それと同時に、俺の記憶が少し蘇る。

『七海には嫌でも優しくしてや!』
『良いよー』

そう言えば、そう言った。

うん、そう言えば。


「人に優しくすんの嫌いって言ったでしょうが」

なるべく怒ってるように見えないようににっこり笑う。
そして七海の長くて綺麗な黒髪に指を通すように頭を撫でた。

ムスッとほっぺたを膨らませて足をブラブラさせている。

あのね七海。
俺も今気付いたから君は気付いてないかもしれないけど、

この行動が俺の優しさだかんね。

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