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違うのあのね

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yariba

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違うのあのね【ちがうのあのね】

次元


最近すれ違ってばっかりで、
ああもう駄目なのかな。
避けられてるのかな。

そんな事ばっかり思った。


「りーん」

いつもの待ち合わせの場所に行くと、そこで待っていたのは。

思い浮かんでいた人の顔じゃなく、まさかの望くんだった。

「あれ…次元くんはっ?」

「次元なら帰ったよ、友達と遊びに行くーって」

望くんは次元くんの家の方向を指差しながら笑った。
そっか。と頷いては見たものの、どうしよう笑えない。

「俺でよかったら送りますよ?お姫様ー」

冗談交じりで笑ってくれる望くんは、優しい。
だから。

「…お願いします、王子様っ」

あたしも同じように、笑わなきゃ。
気にしちゃ駄目だよ。お友達と遊ぶ方が大事だもん。


望くんとの帰り道は、たくさんたくさんお話をして楽しかったけれど、
やっぱりちょっと物足りなかった。


こんな遣り取りは、軽く数日続いた。

最初は気にしないようにしていたけど、やっぱり駄目。
気になって、気になって。

あたしはとうとう、次元くんの元へ行った。

すると、次元くんもあたしを探してたみたいで。

「次元くん!」
「凛!」

目が合った瞬間、ふたりの声が重なった。

ふたりして駆け寄る。

「「あのね」」

「あ…。凛から良いよっ」

「ううん、次元くんからどうぞ」

ふたりして言葉を譲り合う。


結局先に喋ったのは次元くんだ。



「…僕ね、…凛が好きっ」


一瞬、何を言われたか分かんなかった。

「え、だって次元くん…あたしの事避けてたんじゃないの?」

思い切って咄嗟に聞いてみた。
今度は次元くんが何を言われたのか分かんなくなった状態だ。

「っち、違うよ、あれは本当に偶然で…」

わたわたと両手を使ってジェスチャーをしながら喋る。
この様子だと、嘘はついているように見えない。

一気に安堵の息を漏らすと、にっこりと微笑んで言った。


「あの…ね、あたしも次元くんと一緒だよ」



その日は、ふたりで手を繋いで帰りました。

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