変な人【へんなひと】
(元は「振り向かない君」というタイトルだったもの)
(元は「振り向かない君」というタイトルだったもの)
「はよー斗真!」
彼だけは違った
彼が違うから、周りも変わって行った
彼が違うから、周りも変わって行った
「今日いい天気だよなー昨日の雨が嘘みてーだな!」
「………」
「………」
転校してきて、寄ってくるミーハーな人達の質問や視線をシカトし続けて
3日経った頃には誰も寄って来ないし声もかけてこなくなった
3日経った頃には誰も寄って来ないし声もかけてこなくなった
のに、彼だけは違った
彼は、俺の右隣の席だった
だけど俺が転校してきてから3日間一度も姿を見せなくて、俺はてっきり空席なんだと思っていた
隣が居ないのは楽だしちょうど良い
そう思い始めた頃、突然現れたのだ
だけど俺が転校してきてから3日間一度も姿を見せなくて、俺はてっきり空席なんだと思っていた
隣が居ないのは楽だしちょうど良い
そう思い始めた頃、突然現れたのだ
『誰?』
あの、物凄く驚いた表情が今でも鮮明に思い出せる
「そういやこの前さー」
この人は俺が何も答えなくても勝手に話し続ける
俺がシカトしている事に気付いてないわけではないだろうに
俺がシカトしている事に気付いてないわけではないだろうに
なのに、どうして
「…どうして話しかけるの?俺は何も返さないのに。シカトしているのに。鬱陶しいと思ってるのに」
その言葉に、彼は傷ついてもう話しかけてこないと思った
だけど、それを聞いた彼の反応は違った
だけど、それを聞いた彼の反応は違った
「おー。俺、斗真の声初めて聞いた。何だ、いい声してんじゃん。なぁ、俺の名前呼んでよ、公輝でいいから」
驚いたような表情を浮かべて、少ししたら微笑んで
どうして傷つかないのだろう
どうして傷つかないのだろう
「………」
「あれ、もう喋んのやめちゃうの?残念ー」
「あれ、もう喋んのやめちゃうの?残念ー」
変な奴
普通ならもう話しかけようとは思わないはずなのに
普通ならもう話しかけようとは思わないはずなのに
「公輝」
「え?」
「え?」
「………呼んでって言うから、呼んだよ」
もうちょっとだけ、この人と話していたい
ほんの少しだけでもいいから彼の事を知りたいと思った
ほんの少しだけでもいいから彼の事を知りたいと思った
END