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足りない言葉

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足りない言葉【たりないことば】



「今日も、凄い見てるね」
「ん?あぁ、愛美?」
「うん。公輝は気にならないの?」
「全然」

里穂は言う
きっと愛美ちゃんは里穂達の仲を勘違いしてるって

違うって言わなくていいの?って聞かれて
聞かれてもないし別にいいって答えたら、好きなのに勘違いされても別にいいなんて変だと言われた


でも実際別に構わない
だって、愛美が何と思おうと俺が好きなのは愛美だし


しばらくして、里穂は斗真と付き合い始めた
だけど里穂が斗真と一緒に帰るようになった事以外は何も変わらなかった



「公輝は女の子に優しすぎる!」
「そう?」
「さっきの子だって、絶対公輝の事好きになっちゃったよ」

里穂達が付き合い始めて大分経ったある日、俺が日誌書いてたら愛美が突然現れて俺から日誌を奪って書き始めてそう言った

つい先程重い荷物を持っていた後輩を見かけて、俺が荷物を持ってあげたのを見ていたのだろう


あんまり優しくしたら相手の子が可哀想
なんて愛美が言うから

愛美だって俺に優しくするだろ?今みたいに
そう言うと、これは別なの!と怒られた

わけわかんねぇ

「大体公輝はそうじゃなくてもモテてるのにそんな事したら、」
褒められてるのか怒られてるのかよく分からない状況になって、思わず溜め息をつく
「ちょっと、聞いてるの?」
「聞いてるよ」
退屈になって愛美の髪に触れる
「もう、本当に聞いてる?」
「聞いてるって。あんま優しくするなってんだろ?でもさ、俺に『女には優しくしろ』って言ったのは愛美じゃん?」
「…っでも!マナに対してよりも優しくしちゃダメ!」
「何だよそれ、意味分かんねー」

俺は愛美が言った事をちゃんと守っただけなのに

「…何で公輝はいつも分かってくれないの?」
「え?」

突然愛美の声の調子が変わった

「いつもそう!公輝だけがマナに優しくしてるようでしてない!瑛士や生田君や他の男の子だっていつもマナに優しいのに、公輝はいつだって他の子に対しての方が優しい!」

愛美から、不満の声
俺だけが優しくしてない?
…何だよそれ

「………」
「何か言ってよ…もう…」
「…分かってくんねーのはどっちだよ」

だって
俺と一緒に居ようが電話してようがメールしてようが

いつも他の男の名前や話
そっちに不満があるように、俺にも不満はあるというのに
それでも言わないでただ笑って聞いていると言うのに
誰よりも優しくしているつもりなのに

何で分かってくれねーの

「…愛美と話しててもつまんねー」

だって、と続けようとしたら思いっきりひっぱたかれた

「里穂ちゃんが生田君と付き合う事になったのにまだ諦めてないの?告白する勇気もない弱虫のくせに、諦め悪いなんて最悪ね!」

ひっぱたかれて、意味が分からなかった

何故里穂の名前が出たのか
何故最低とまで言われているのか

―――何故愛美が泣いているのか

「もう…バカぁ」

愛美は泣いてぐしゃぐしゃになったまま走り出した

「あ、おい、鞄…」

不思議な事に追いかける気にはならずにただどこへ行ったのだろうと考えていた


「愛美ちゃんカワイソー」
愛美が出て行ったのとは反対の出入り口から声が聞こえた

「…瑛士。お前いつから見てたんだよ」
「『公輝は優しすぎる!』から」
「全部かよ…」
悪趣味だなと言うと、瑛士は公輝達が勝手に始めたんでしょと言った

「お前ホントに気付いてねーの?」
「何に?」
瑛士が俺の頬に触れて痛そーと呟いた
実際痛かった
「気持ち」
「俺の?」
「愛美ちゃんの」
「お前、知ってんの?」
「見りゃわかんだろ」
分かってねーのはお前等だけだよ
なんて、意味分かんねー

「2人共言葉足りなすぎ」
好きなくせに

瑛士がそう言って、俺はやっと気付いた

「…俺、愛美探しに行ってくる」
「おー。んじゃ俺は此処で待ってるから」


君に、伝えたい言葉があるんだ

今度はちゃんと、伝えるから

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