ノータイトル【のーたいとる】
「…もしもし」
手を出してしまった、学生の俺が
『今はいいのいないですよ』
「大丈夫です、誰でもいいんです」
「大丈夫です、誰でもいいんです」
欲に負けた。
10分…、緊張してきた。
「ヘルス…ヤリバ」
やっぱり普通の子とは違うテクニックとか…
(ピンポーン)
来た、出なきゃ。大丈夫か俺。
(ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン)
「…はいはいはいはい、出ます、出ますから!」
しつこいチャイム音にイラつきながらもワクワクしながらドアを開けた。
「どうも、ヘルスヤリバのカズマです。」
「…は?」
「…は?」
…男ー?!
「…あの」
「ヘルスヤリ、」「あぁー!もう分かったから入って!」
「ヘルスヤリ、」「あぁー!もう分かったから入って!」
近所に聞かれちゃマズい、声量落とせ、なんで男だ。
荒々しく男を中へ入れ鍵を閉める、…俺。
「あのさぁ…」
「男ですいません、さっ、やりましょ」
「誰がやるか!」
「男ですいません、さっ、やりましょ」
「誰がやるか!」
営業上のニコニコスマイルで俺を誘う男、無理、絶対無理。
「じゃ何しに呼んだの」
「何勝手に座ってんだよ!」
「何勝手に座ってんだよ!」
さっきのニコニコスマイルとは全く違う無表情のやつ…勝手にリビングで俺の飲みかけのお茶を飲む。
殴りたい。
「てかさぁ、お客さん学生でしょ?歳は?親は?いい家すんでんね、童貞?」
態度のデカい男が人ん家で、…最後の関係ねーだろ!
「アナタも若いですよね」
イライラが止まらなくてそっけなく返してみる。
「こう見えて30越え」
「嘘つけ、帰れ」
「ひどいなー、折角来たのに。今親いないからチャンスなんでしょ?やりましょうよ。」
「嘘つけ、帰れ」
「ひどいなー、折角来たのに。今親いないからチャンスなんでしょ?やりましょうよ。」
おいおいヘルスって学生って分かってもすんのか?ていうか男。
「とりあえず、つばささんの部屋行きましょ」
「無理」
「いや、呼んだのお客さんじゃないですか。」
「いや、呼んだのお客さんじゃないですか。」
俺の手を掴み力ずくでテレビ前のソファーへ連れて行かれ押し倒される。
「…何してんの?」
「仕事ですけど」
「無理だって言ってん…っ」
「仕事ですけど」
「無理だって言ってん…っ」
重なった、口が、信じられない、肩を押しても離れてくれなくて、段々と舌を絡められる、…男なのに。
男とキス?俺今男とキスしてます。それが気持ち良いんです、信じられないけど、女の子よりも固いけど。