緩んだ気持ち【ゆるんだきもち】
腕を引き、誰も使ってない個室に連れ込む。軽く背中を押せばよろめく体。ガチャ、と鍵を閉めれば振り向いて「…また?」
その声がする方へ歩み寄り、肩を押せば後ろのソファーに倒れる。それに跨り唇を重ねる。
俺にも好きな人がいて、あなたにも好きな人がいる。今この状況からは考えられないけど。
俺が歯を舐めれば相手も舐める。相手が舌を軽く吸えば俺も。段々と荒くなる呼吸に理性が飛びそうになる。
「ん…っ」
「エイジさんエロい」
「エイジさんエロい」
くすくす笑うと恥ずかしそうに視線を逸らす。
唇を舐めたら震える身体。俺とエイジさんの理性がぶっ飛ぶ前に切り上げましょうか。
「…エイジさん、行きましょうか。そろそろみんな俺ら探してるかもしれないし。」
「ん、そうだね。」
「ん、そうだね。」
寂しげに伏せた瞼を見逃さなかった。愛しく思えてぎゅっと抱き締める。
「行こっか」
「はい。」
「はい。」
気がすむまで抱き締めたら、今日初めての笑顔。それがまた愛しくてたまらない。
(今夜、お邪魔しますね。)