油断禁物【ゆだんきんもつ】
久しぶりに見かける姿に目を細めた。髪が伸びて前よりずっと大人。なるべく会話はしたくなくて気付いてないフリで通り過ぎる。
「えいじ」
「…久しぶり」
「えいじ、まなね、ずっとえいじに会いたくて、…嬉しい」
「…久しぶり」
「えいじ、まなね、ずっとえいじに会いたくて、…嬉しい」
抱きつかれた時の匂いが変わった。すっかり変わった。
「俺も」
彼女は何かに困って、仕方無く俺に甘えている。今までもそうだった。彼女が変わったように、俺も変わった。簡単には信じられない