yariba @ ウィキ

ロボット時代

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
ロボット時代【ろぼっとじだい】
未完成


モシモ、ロボットが目の前に現れたら。
モシモ、それが夢ではなく、…ゲンジツならば。

───── …授業の終わりを告げるチャイムで目を覚ました。そこには変わり映えしない風景、人。伸びと同時に欠伸をしてみた。

チチンプイプーイ、…なんて天井に指を振っても世界は変わらず。くだらない夢を見るぐらいのメルヘン思考のうちは携帯で恋愛ゲーム。飽きては放置の繰り返し。典型的三日坊主なのです。

ロボかれ。現実味が無い。無さ過ぎて逆に惹かれる。

───あたしの名前はスズチン!いつもはちゃめちゃな女の子、…そんなあたしが今日出会うのは…。



「あー、スズカまたやってるー」
「新しいやつらしいんやけど、ロボットが彼氏っていう」

お互いに苦笑い。そらそうなるよなー。…あ、彼女ミチヨちゃん。うちの理解者というか、うん、まぁ仲良し!

「リアルにはまだターゲット無し?」
「無し無し!だってうち男っぽいとか言われるし」
「萎え萎えなわけだ」
「そう、激萎え」

前に好きになった人いい感じになった人に、意外と女の子っぽくないね。って言われてもうむっちゃむっちゃむっちゃむっちゃムカついて。

言い方分かってないよね。それに比べて機械君達はあたしを喜ばせてくれます。

「ていうかスズカ、寝てたでしょ。髪ボサボサー」
「え!うそ!」

優しいミチヨちゃんはうちの髪をなおしてくれて、部活に走った。

ふと携帯に目をやると自己紹介をしているヒロインのうち。

なんかめんどくさくなって電源連打。帰宅部、やることもなく帰宅。

家へ向かい歩いていると世界が変わった気がした。一瞬、さまよった気がした。

「…ーさーん、おねーさーん」

気を失ってたのか、うちはうちの家のうちの部屋で寝てた。

混乱

「あ、気が付いた!」
「誰!?」

横でニコニコ笑いパチパチ手を叩いてる、誰?

「あ、申し遅れました。わたくし、タケダと申します。」
「タケダ…?いや、ここうちの家ですよね?なんでタケダさんが」
「おーう…やはり覚えてらっしゃらないですか…。」

名前だけじゃ分からない。このイケメンは誰。なんでここに、だいたいどちらさんかも分からない。

「アナタ、スズチン様ですよね?」
「…は?」
「いや、ですから。」
「スズチンはペンネームみたいなもんですけど、それが何か。」

「…ロボかれ、御存知ですよね?」

ドクン、と音を立てた。脈がうるさい。まさかまさかの展開で走って逃げようかと思ったけど、不思議と足が動かない。

「ロボかれのヘルプページにいます、博士タケダです。」

うわ、うわうわうわうわ。信じられへん。よくよく考えてみれば最初の説明で出て来た博士にそっくり。

言葉が出ない。こんがらがってる。

「…アナタがあまりにも現実に愛想を尽かしてたので、僕らの世界に招待。という事です。…お分かり?」
「…分かりません。」
「まずは実戦ですよ。」

は?待って待って待って。バーチャルって事?どうやって連れてきた?どうやって帰るの?何をすればいいの?

聞きたい事が絡まってなかなかほどけてくれなかったけど。

このタケダさんの言うとおりまずは、行動だ


「あ…忘れてました忘れてました。アナタの付き添いの、ロボット。」

???、最初から飛ばし過ぎちゃうかな、タケダさん。わっけわっからーん、あー笑ってしまいそう。

「アナタのロボット君です。」

いやいや人間、アナタが紹介してるロボット君人間ですよ。ギャグなのか、はたまたネーミングセンスゼロなだけなのか。

「これは、つっこんだ方がいいんですか?」
「いいえ、これガチです。」

ふっと溜め息をつけば、ロボット君がうちに手を差し伸べた。

「アナタ、ボクノ、御主人。…ヨロシク、オネガイ、シマス。スズチン様。」

ギーっ、と機械に近い音を鳴らしてお辞儀をしてきた。アホくさ、なんかのドッキリか?


「あの、そんな芝居いいんで。顔上げてください。」

ピクリとも動かないロボット君に、タケダさんを睨み付けた。

「素晴らしいでしょ。我ながら完璧な作品!」
「…あのさぁ。大体アンタ誰なんよ!勝手に横おって、僕らの世界へ招待だの!挙げ句の果てにはあきらかに人間な子をロボット?これうちを騙す為の壮大なドッキリ?」
「…いえ、アナタだけの恋愛シュミレーションです。アナタが中心の。」

答えになってない。呆れすぎて言葉も出んくなった、さっきの勢いが嘘みたいに。

いつの間にか立ち去ろうとするタケダさんの背中を見つめながら、ベッドに腰掛けていた。

「アナタのゲームは、もう始まってますよ。…それから」

部屋の角に本を置いて、出て行ってしまった。


ベッドに横たわりながらぐるぐる、たくさん頭の中で駆け回る。置いて行かれたこのロボット君は一体何者なのか。

『そのロボットは、アナタとコミュニケーションをとる事で人間になっていきます。今はカタコトで、充電も必要なただの外見人間中身ロボット。あ、今は充電中なので、そっとしておいてください。』

最後にタケダさんが言った言葉達が、鮮明に語りかけてくる。

起き上がり置いていった本を手に取って、パラパラとページを捲る。

【ナナカ:アナタの友達。】

…誰。友達にナナカて名前の子おったかな。

【(好きな名前を書いてね!):アナタのロボット。】

なるほど、キャラクター紹介か。そういえば、このロボット君、名前決めなな。


(作者のミスで途中が飛んでいる。りょぼっとをロボットだと信じてない鈴が背中に触れたら爪が当たって、金属音が鳴る、という話が間にあった)

腰を抜かした。今初めて、変わってしまったんだと確信をした。

「スズチン様…、ダイジョーブ、ボク、スズチン様マモル」

ギーギーとうるさい音を立てながら、うちの横に座る。

「…充電は?」

「スズチン様困ッテイル。ボク、シンパイ」

ロボットであろうロボットに、心配されて。泣いた。世界が変わってしまったんだ、とまた確信して涙が止まらない。

「ナカナイデ。」
「泣いてへんよ、大丈夫、すぐ慣れるやろ。」

嘘をついた後に強引に涙拭いて、立ち上がる。外はまだ明るい。タケダさんが言っていた、うちだけの恋愛シュミレーションの幕開け。


髪の毛整えてたら、ギコギコ近付いてきた。ほんまロボットなんやなぁーと鏡越しにボーっとしてしまう。

「…あ、名前。キミの名前まだ決めてなかった。」
「ナマエ、マダ、サンプルノママ」
「サンプル?どんな名前なん?」

決まりや、それにしよ。ロボット言うても会話出来るんやん、楽チン。

「ボク、リョウマ、ゼロゼロイチ、トツケラレタ。」

なるほど、リョウマか…。悩む必要無し!決定!

「よし、リョウマ。一緒に行く?」

不思議な達成感に笑顔で問いかけたら、リョウマもぎこちなく笑った気がした。

「ハイ、スズチン様」
「よーし、出発進行」

自分でもおかしいのは分かってる、まだこの世界を疑ってる。…でも、うちのメルヘン思考が、胸騒いでいる。


「おっす!スズカー」
「うわっ、びっくりした」

家の前にバーンと立っていた、誰?アカン、今日不思議な事ありすぎて頭回らん。

「遅いわ、今日から新1年生やってのに。はよ学校行くで」
「あのー…、どちらさんですか?」
「…何言うてんの。スズカの友達の、ナナカ。まったく…どっかで頭打ったんかー?」

タケダさんが置いていった本に載っていた人だ。新1年生?中?高?ナナカさんに合わせた方がいいのか、分からない素振りを見せていいのか。キャラクター紹介に載ってたのはこの人とリョウマだけ。…ま、合わせてもええかな。

「あはは、ゴメンゴメン。」
「ていうか、横の子は?」
「あー、これリョウマって言って、うちのロボット」

「…ハァ?」

目がてんとした表情でうちとリョウマを交互に見る。しまった、言ったらアカン設定やったんかな。

「やっぱりスズカ、どっかで頭打ったやろー」
「きゃー、止めてーっ」

髪をわしゃわしゃとされて、せっかくセットしたのに。と半ば自己中な事を思った。

「学校、イケナイ。ボク、ルスバン」

ナナカさんがいるからか、うちに小声で言ってきた。やっぱりリョウマがロボットだとはばれてはいけないみたい。

「…ほな、留守番頼んだで。」
「ばいばーい、リョウマ君」

軽くお辞儀をしたロボットに手を振り。ナナカさんの行く道を辿り、学校へ向かう。


賑やかな学校、さすが新学期。槍葉高…?門を通ると一人の男子に声を掛けられた。

「なぁ、なぁなぁ。なぁってば。」
「…なんですか。」
「君たち新1年生やんな?」

だ、れ、や、ね、ん!キャラクター紹介に載ってないやん。

鞄に手を突っ込み本を取り出す。用意していて良かった。おおざっぱやけど用心深いのがうちやからね。

パラパラと本捲っても書いてない。ナナカさんとロボット以外、そこから空白が続いていた。

「そうですよー、あたしら新1年生!…ていうかスズカ、何見てんの?」
「あ、いや、別に」

分からない、キャラクターはこれから自分で見つけては書いていけって事なのか。


「はは、やっぱり!俺も新1年生のリョウキっていいます。ヨロシクー」

リョウキ、後で書かんと。記念すべき初男子。結構可愛らしい系でうちと背が一緒ぐらい?

「あたしはナナカ、でこっちが」
「スズカ、よろしくなー」

本を大雑把に鞄に詰め込んで手を出して握手求めてみた。恋愛ゲームの出会いって、こんなんちゃう?

「お、よろしくー」

にっこりふんわりスマイル。なんとなく、彼が最初に出てきたの分かる気がする。クラスの無難にモテる奴、みたいな。

「あ、ずるいー。あたしも握手握手」

ズバッと離された手を見つめながら、リョウキの第一印象を考えていた。

早く教室で記入したい。忘れんうちに。

「おい、早くクラス確認して教室行けクソガキ共」

上からの声に振り返ると、やっぱり見上げるぐらい背が高い人で。…ていうか、なにこの人、まさかこの人も恋愛ゲームの登場キャラとか?

「ここの先生やんな?俺ら新1年生なんやからもっと優しくしてーや。」

笑って言ってるけど何となく恐ろしい。目が笑ってないというか。あかん、リョウキが掴めん!

「生意気言うなチビ」
「うっわー。それ言われたら俺なーんも言い返せません!…へへ、じゃナナカちゃんスズカちゃん後で。」

なぁ、これってどうやって動いているの。この人達は一体誰なん、今更不安になってきた。


小走りに校舎に向かうリョウキをただ見つめて、また不安になってしまう。

「お前らも早く行けよ。」

背中をポンと押されて、振り返るともうその人も背中を向けて遠くなっていく。

「なんか感じ悪ない?ちょっと大きいからって調子乗り過ぎやわ。」

しまった、名前聞くの忘れてた。なんて、うちアホみたい。いつ終わるのか分からないゲームにいつの間にかムキなって。

「…なぁ、スズカ聞いてる?」
「ん?あ、あぁ、ゴメン。なんやった?」
「もー、なんか今日のスズカ変やぞー。…あ!もしかして。さっきのリョウキに惚れたとか?」
「な…っ、そ、そんな訳ないやろー!」

少女漫画風。恋愛ゲームにつきもんやろ、こういう否定。


…でも、ナナカちゃんに指摘された事。あながち間違いではない。好きではない、まだ。やけど、今はリョウキが気になる。

───うちとナナカちゃんは同じクラスで、リョウキの名前は別のクラスにあった。

入学式を終え、一人でぶらぶら校舎探検。なんとなく最後に着いたのは一階の図書室。

静かにドアを開けるともっと静かな空間で、うちの足音が響いている。

本棚を通り抜け、奥の方の席に座る。筆箱と本を取り出しキャラクター紹介のページを開ける。

「…スーズカさーん」
「誰!」
「ハ~イ」

ビクッとなると同時に前を見ると、机に腰掛けた、タケダさん。


「何か質問ありますか?」
「いっぱいある、はずなんやけど出てこん。」

まだ半信半疑で、この世界は自分の世界とはどう違うのか。いつもと同じ空、変わったのは同居人が増えたのと友達、あと街の景色。

もしかしたら違う街に連れてこられたのかも、なんて考えてみるけど、家は変わってないしな。

「あ、誰か気になる人、見つかりました?」
「言い出したらきりない」
「あらー、そんなに気が多いとは」
「…じゃなくて、この世界の人みんな気になる。ナナカちゃんも、クラスのみんなも。」

タケダさんが聞いてるのは分かってる、やけどうちはみんなとどう接してやるのが正解なのか分からない。正解を教えてほしい


「本、見てもいいですか?」
「あぁ、出会った人ならまだ書いてませんよ」
「書く?本に?落書きはいけませんよ。」

あかん、噛み合わん。うち、この博士苦手です。

「リョウキと、…あー結構レアな方と会ってますね」
「え、なんで知ってるんですか。」
「やー、本に書いてますよ」

開かれた本には下の方にリョウキ、???と書かれたページ。横に写真があって性格まで書いてある。

「…えー!なんで!」
「あなたが出会った人はほとんどここに記されていきますよ。あと、ここに書いてあるのはあなたが思う第一印象。」

さすがロボット作った人。でもうちの思考まで読み取られんのは、嫌やな。

なんや、ほんま楽チンやこの世界。


「ていうか、誰がレアなんですか?」
「この人。」

タケダさんが指差したのは???と書かれた、今日出会った感じの悪いデカい人。

「何がレアなん。なんも会いたいと思えへんわ」
「会えば会うほど、分からなくなるもんですよ」
「そらそうやけど…」

あーあ、正直リョウキでいいねんけどなぁ。でももうちょい誰かに会いたいっていう。…ワガママやんなぁ。

「まだまだいますからね、出会う人も出会わない人も、みんなみーんな気になる!」
「ない」
「はい、一緒に!気になる!」
「ないってば」

第一その感じ悪いレアキャラに納得いかへんのに。能天気っぽいわこの人。

「進め方次第で、会える人、会えない人がいますから。…思う存分楽しんでくださいね」
「心から楽しめないです。」

立ち去ろうとするタケダさんに小さく呟くと、タケダさんがふっと笑ったような気がした。

一度本に目を移して、顔を上げたらもうタケダさんはいなかった。

がらりと雰囲気が静まり、怖くなる。顔を伏せて目を閉じる。このまま、一生世界が変わらなかったら。ぐるぐると頭を廻るのはここの世界の存在。

気が付けばリョウキが横にいて、優しく微笑みかけてくれた。


なぁ、リョウキ。この世界はどうなってんの、リョウキは一体何者なん。違う、リョウキだけじゃない、みんな。

(それは、タブーだ。)

はっと目を覚ました。リョウキが、凄い怖い表情で、凄い声で、あれはリョウキじゃない。

「あ、目覚ました」

夢であって良かった。深いため息を吐き本を閉じて鞄にポイ。

「ねぇー、シカト?」

声の方へ目をやると目の前に金髪でにこやかに座ってる、人

「あ、すいません。すぐ帰りますんで。」

特にこれといった用事も無いし、鞄持って立ち上がる。

ただドアに向かって歩いてたら、腕を掴まれた。

怖くなって、振り返って腕を振り払おうとしても、強くて離れない。

「…ちょっと、なんなんですか。やめてください、叫びますよ、」

大きく息を吸い込んで、さぁ叫ぼう、のタイミングでグイ、と引き寄せられて抱き締められた。

「…ちょっと話したいんだけど、駄目?」

うちより全然大きな背で、ちょうど鼓動が聞こえた。うちは早く動いてるのに、この人は、落ち着いていた。

「俺、エイジっていいます。」
「あ、えっと、スズカです。えっと、あの」
「一年だよね?」
「あ、はい!…、あの、このまま話すんでしょうか」
「ん?あー、ごめん。」

するりと離れた腕を眺めてたらうちの手を握り、奥の座ってた所へ連れて行かれた。

今度は横同士に座って、凄い笑顔やからなんとなく照れて目をそらしてしまう

「…あの、なんで一年って分かったんですか?」
「あー、こんな可愛い子今まで見た事なかったし、うん」

チャラ!チャラい。やっぱ見た目からチャラいもん。しかも出会い方も変やったし。

「エイジさんは、2年ですか?」
「なんで?」

いや、こっちが質問してんねん。なるほど、チャラい人は相手の事を先に探るのか。

「…えっとー、それなりにちゃんと制服着てるし。着崩してないから、怖い先輩がいるんじゃないか、っていう詠みです。」

「ブー。詠みが甘いね、スズカちゃん」

顔を近づけられて、白いなーとか誰もが思うような事考えてて。

「3年でしたー。」
「…へー」
「あら、どうでもいい感じ?」

若干。なんて言えず、ただただ肌綺麗なーとか、赤ちゃん肌やーとか。軽く感動してたりして

「…顔近く、ないですか」
「髪の毛長いねー。地毛?」
「はい…」

うちの言葉は無視ですか。絶対顔近いやん。誰が見ても顔近いやん。

「あの、顔」
「ん?あー、近いよね?あはは」

やっと離れてくれた。この人はチャラいとしか言えない。チャラ男。うちの嫌いなタイプです

───【リョウキ:同い年で違うクラス。爽やかでかわいらしい。】
【エイジ:三年で先輩。へらへらしていて言動はチャラい。】
【???:体も態度もデカい】


あの後、エイジさんはなかなか帰してくれなくて1時間近く話してた。タメ語でいいよーとか言われたけど、無理に決まってるやんとか思ったり。

帰り道考える。リョウキやエイジさんは誰なのか。人間?育成されたロボット?

ただいま、とドアを開けたらおかえりって返ってきて、でもお母さんの声じゃなくて。でも家だと落ち着いてしまって玄関でうなだれてしまった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー