曇りのち雨【くもりのちあめ】
「触んな、暑い」
ちょっと触れただけなのに、払い除けられる手。
「俺さ、告白された。二人」
「あーそう。モテてんじゃん」
「あーそう。モテてんじゃん」
何普通に笑ってんの。ちょっとは妬いてほしい。
付き合ってないし、そういう人じゃないのは知ってるけど。
付き合ってないし、そういう人じゃないのは知ってるけど。
「どっちかオッケーすんのか」
「返事いらないって」
「なんのための告白か聞いてやれ」
「返事いらないって」
「なんのための告白か聞いてやれ」
真っ直ぐな意見に頭悩ませて、ハスキーな声に溺れて、一度だけ触れた手に恋をして、抱き締められたいと願った。熱くて堪らない頬を手で触られると、また熱が増した気がした。
「熱あんじゃねぇの。顔赤いし熱いぞ」
少しだけ、期待した。僕はあなたが誰より好きです。