語り合おうか【かたりあおうか】
「ふぅー…」
やっと週末だ
ここ最近寝る時間もあまりなく連続してぶっ続けで仕事だったりもあったりして忙しかった
明日はゆっくり寝て疲れた体を癒そう
ここ最近寝る時間もあまりなく連続してぶっ続けで仕事だったりもあったりして忙しかった
明日はゆっくり寝て疲れた体を癒そう
今日は飲みに行こう
「いらっしゃい」
「生」
「あいよ」
「生」
「あいよ」
今日は今まで行った事が無かったが行ってみたいと思っていた居酒屋に来た
自宅から仕事場に向かうまでの所にあるこの店は一人で来るお客さんが多い様子だったため、仕事終わりに仲間と、という雰囲気では無かった
「はいよ」
「どーも」
「どーも」
「ん?」
ふと隣を見ると、1つ挟んで向こう側に見知った顔があった
「加藤?」
「あ?…ああ、黒川か」
「そうです、クロちゃんです」
「あ?…ああ、黒川か」
「そうです、クロちゃんです」
声を作って裏声でお決まりのネタをする
加藤さんはそれを見て嫌そうに眉間にシワを寄せた
加藤さんはそれを見て嫌そうに眉間にシワを寄せた
「その声鬱陶しいから好きじゃない」
「すまん」
「すまん」
今日はあまり機嫌が良くなさそうだ
「加藤は此処へはよく来るのか?」
「いや、今日初めて来た」
「そうか、奇遇だな。俺も今日が初めてだ。良い店だな」
「そうだな」
「いや、今日初めて来た」
「そうか、奇遇だな。俺も今日が初めてだ。良い店だな」
「そうだな」
「はいよ、生一丁」
「ども」
「ども」
頼んだ生中を受け取り、酒の肴として出されたものをつまむ
うむ、結構いけるな
うむ、結構いけるな
「…黒川、お前、好きな奴とか居るか?」
それは意外な発言だった
「何だ?何か機嫌悪そうだと思ったらコレが原因か」
「その指止めろ。そんなんじゃない」
「だったら何だ?」
「………」
「その指止めろ。そんなんじゃない」
「だったら何だ?」
「………」
何か言いにくい理由でもあるのか、加藤は何も言わずに酒を口にした
「…まぁいい。俺は俺を好きでいてくれる奴が好きだ」
「誰か居るのか?そういう奴が」
「…いや。そうだったらいいなと思う奴は居るが」
「誰か居るのか?そういう奴が」
「…いや。そうだったらいいなと思う奴は居るが」
あぁ、居るよ
と答えたいとこだが生憎片想い中だ
と答えたいとこだが生憎片想い中だ
「へぇ。“あそこ”のメンバーか?」
「あそこ?…あぁ、あそこか。そうだ」
「あそこ?…あぁ、あそこか。そうだ」
“あそこ”とは俺と加藤もよく行く共通の場所だった
「へぇ。お前、あそこで恋愛してるのか」
「いけない事か?」
「いや」
「加藤も恋愛すればいい」
「…いや、俺は」
「しちゃいけない理由なんてないだろう?」
「…ガキに興味ねーよ」
「へぇ。お前、あそこで恋愛してるのか」
「いけない事か?」
「いや」
「加藤も恋愛すればいい」
「…いや、俺は」
「しちゃいけない理由なんてないだろう?」
「…ガキに興味ねーよ」
“ガキ”
加藤が時々口にする言葉だ
それを聞いてとある人物が思い浮かんだ
加藤が時々口にする言葉だ
それを聞いてとある人物が思い浮かんだ
あぁ、そういえば今日あそこへ寄った時にあの人………
なるほど。だから加藤は機嫌が悪かったのか
なるほど。だから加藤は機嫌が悪かったのか
「ガキに興味が無いって事は…まさか加藤俺の事…?」
「バカ言え。お前も俺より8つ下だろうよ。ガキと変わんねーよ」
「バカ言え。お前も俺より8つ下だろうよ。ガキと変わんねーよ」
加藤は楽しそうに笑っていた
あぁ、そういえば今日初めて見た笑顔だ
きっと加藤はずっと悩んでいたんだろう
悩んで悩んで、そして我慢して誤魔化してきたのだろう
誰にも言えずにいたのだ、気持ちを隠してきたのだ
悩んで悩んで、そして我慢して誤魔化してきたのだろう
誰にも言えずにいたのだ、気持ちを隠してきたのだ
それがどれくらい辛い事なのかはよく分かる
なぜなら俺も同じだから
なぜなら俺も同じだから
そんな辛い思い、加藤がしていていいわけがない
…そうか。だったら俺がこの人を支えてあげたらいいのか
「実は誰にも相談出来なかった事があるんだ」
だから聞いてくれないか加藤
そして同じようにお前も俺に聞かせてくれないか
そして同じようにお前も俺に聞かせてくれないか