胸を張って【むねをはって】
朝からばたばたと歩き回るおっさんに、何してんすかって言ったら華麗にシカトされた。今何時か分かんないけど無理に家にさそってさっきまで話してて。眠い眠い言うから寝かせてあげたのに、ちょっとした騒音に俺が起こされた。
「おぉ、悪いな。起こしたか。」
「…いや、大丈夫です」
「…いや、大丈夫です」
本当は大丈夫じゃない。どこ行くんすか!って引き留めたい。
「やべー、時間。お疲れ、…あ、お邪魔しました」
「あ、え…はい」
「あ、え…はい」
そう言えば始めてだっけ、ここに来たの。ろくな話してないけどやっぱ加藤さん好きだなーって感じた。変わってるし難しい人だけど、言う事一つ一つに納得したりして。あーあ、寂しくなった。次いつ会えるか分かんないし。
うとうとした頭の中もあの人でいっぱいだった。夢の中ではいつもより優しくて、甘えさせてくれる。やっぱり、俺あの人に溺れてるわ。
(″おはようございまーす!″)
(あれ、あ、そっかもうそんな時間か)
(あれ、あ、そっかもうそんな時間か)