鯛焼きと少年【たいやきとしょうねん】
「お、いいもん食べてんじゃん」
一人で鯛焼きを食べていた時の事
「食べる?」
「まじ?いいの?」
「いっぱい貰ったからあげるー」
「さんきゅ」
「まじ?いいの?」
「いっぱい貰ったからあげるー」
「さんきゅ」
学校帰りのこの時間帯、ひょんな事から鯛焼きをいくつか頂いた
家に帰るまでは、と思っていたのだが小腹がすいていたので家に帰るまでにある堤防に座って食べることにしたのだ
とりあえず半分に割って中を確認すると、それはクリームだった
とりあえず半分に割って中を確認すると、それはクリームだった
つい先程やってきて隣に座っている公輝にあげたやつもまたクリームだった様子
「稜駿一人とか珍しいじゃん」
「そうでもないですよー俺結構一人だし。そういう公輝こそ珍しくない?」
「俺、一人の事のが多いよ?っつーかこっち方面に家あんの俺くらいだし」
「そうなんだ?俺もこっちだよ」
「マジで?何だ、じゃあこれから一緒に帰れるじゃん」
「そうでもないですよー俺結構一人だし。そういう公輝こそ珍しくない?」
「俺、一人の事のが多いよ?っつーかこっち方面に家あんの俺くらいだし」
「そうなんだ?俺もこっちだよ」
「マジで?何だ、じゃあこれから一緒に帰れるじゃん」
それって一緒に帰ろうって誘いなのかな、と思い公輝を見たが多分「会ったら」の話なのだろう
公輝はこっちを見ちゃいなかった
公輝はこっちを見ちゃいなかった
「…公輝、帰り一人じゃないでしょ、ここから家までの間以外」
「ん?ああ、うん。でもそれは稜駿も同じだろ?」
「えー?俺一緒に帰る友達居ないしー」
「嘘つけ。いつも友達に囲まれてるくせに。っつか俺、稜駿が彼女と一緒に帰ってるの見た事あるぜ?」
「…えー?彼女って誰ー?」
「何か、関西弁の」
「あー」
「ん?ああ、うん。でもそれは稜駿も同じだろ?」
「えー?俺一緒に帰る友達居ないしー」
「嘘つけ。いつも友達に囲まれてるくせに。っつか俺、稜駿が彼女と一緒に帰ってるの見た事あるぜ?」
「…えー?彼女って誰ー?」
「何か、関西弁の」
「あー」
鯛焼きを1つ食べ終えたのでもう一つを口にする
今度はチョコレートのようだ
今度はチョコレートのようだ
「彼女じゃないよ」
「キスしてたのに?」
「………それ見てたんだ」
「うん、悪いとは思ったけどあんなとこでキスしてるお前が悪い」
「そういう公輝だってこの前学校でキスしてたでしょ。彼女さんか遊びか知らないけど」
「遊びとかいねーし彼女も居ないって。どれを見たのかわかんねーけどキスはただの挨拶みたいなもんじゃん?」
「うわチャラー」
「お前が言うなタラシ」
「タラシはどっちだよ」
「え、俺タラシじゃねーよ?」
「嘘つけー」
「キスしてたのに?」
「………それ見てたんだ」
「うん、悪いとは思ったけどあんなとこでキスしてるお前が悪い」
「そういう公輝だってこの前学校でキスしてたでしょ。彼女さんか遊びか知らないけど」
「遊びとかいねーし彼女も居ないって。どれを見たのかわかんねーけどキスはただの挨拶みたいなもんじゃん?」
「うわチャラー」
「お前が言うなタラシ」
「タラシはどっちだよ」
「え、俺タラシじゃねーよ?」
「嘘つけー」
鯛焼きが思ったよりあるので公輝に「好きなだけ食べていいよ」と言うと「あーさんきゅー」とだけ返ってきた
「ねーねーどうしたらモテんの?モテる秘訣教えて下さいよ」
「あ?そんなの寧ろ俺が知りたいっつーの」
「あ?そんなの寧ろ俺が知りたいっつーの」
チョコレート甘ーとか考えながら聞きたかった事訊いてみる
公輝はそうやって誤魔化すと鯛焼きをもう1つ手にした
公輝はそうやって誤魔化すと鯛焼きをもう1つ手にした
「そーやって自分だけの秘密にするのか、俺もモテたいんですよお兄さん」
「違うって!まじで言ってんだっつーの。どーしたらモテんの?教えてくれよ」
「公輝、俺に隠し事するんだ…二人の間に秘密はナシって約束したのに…」
「………」
「違うって!まじで言ってんだっつーの。どーしたらモテんの?教えてくれよ」
「公輝、俺に隠し事するんだ…二人の間に秘密はナシって約束したのに…」
「………」
ふざけて言ってやると公輝はじーっと真顔で俺を見た
うわ何恥ずかしいから何か言って
うわ何恥ずかしいから何か言って
「…ちょっと、何か反応してくんないと寂しいんですけど」
「お前何キャラだよ、って思った」
「せめて口に出してくれませんかね。結構恥ずかしかったんですよさっきのセリフ」
「恥ずかしいなら無理して言うなよ」
「お前何キャラだよ、って思った」
「せめて口に出してくれませんかね。結構恥ずかしかったんですよさっきのセリフ」
「恥ずかしいなら無理して言うなよ」
公輝が笑ったから俺も笑った
「あー傷ついたー」
「えー?」
「公輝も傷つけ、俺の2倍傷つけ!」
「何でだよ、お前が勝手にやったんだろ?」
「ま、そうなんですけどもね」
「えー?」
「公輝も傷つけ、俺の2倍傷つけ!」
「何でだよ、お前が勝手にやったんだろ?」
「ま、そうなんですけどもね」
俺が3つ目の鯛焼きに手を出した時、公輝はちょうど2つめを食べ終わった
「俺そろそろ帰るわ。鯛焼きさんきゅー、美味しかった」
「もういいの?まだあるけどー?」
「いいよ、稜駿のだし?彼女にでもあげてこいよ。また今度何かお礼する」
「いいねそうしよう、俺一人じゃ食べきれないだろうし。あ、俺今最近出たIphone欲しいんだよねーお礼はそれでいいよ」
「たけーよバーカ。鯛焼き2つにどんだけ価値があんだよ」
「もういいの?まだあるけどー?」
「いいよ、稜駿のだし?彼女にでもあげてこいよ。また今度何かお礼する」
「いいねそうしよう、俺一人じゃ食べきれないだろうし。あ、俺今最近出たIphone欲しいんだよねーお礼はそれでいいよ」
「たけーよバーカ。鯛焼き2つにどんだけ価値があんだよ」
冗談を言ってやると、公輝はまた笑っていた
またな、と一言言って公輝は行ってしまった
またな、と一言言って公輝は行ってしまった
その後ろ姿をぼんやり見つめながら、残った鯛焼きは全部寿々歌にあげようと思った
寿々歌の家に行くと、寿々歌が出てきた
「あれー稜駿どうしたん?」
「寿々歌、これあげる」
「え、え、何?………えー!鯛焼きやん!こんなに貰ってええの?わーめっちゃ嬉しい!」
「寿々歌、これあげる」
「え、え、何?………えー!鯛焼きやん!こんなに貰ってええの?わーめっちゃ嬉しい!」
大量の鯛焼きを頂いた袋ごと渡すと寿々歌は中を見て凄く喜んだ
「たかが鯛焼きに大袈裟でしょう」
寿々歌、そんなに鯛焼き好きだったんだ…
「…あのなぁ、うちが喜んでるのが鯛焼き貰ったからだけやと思っとんの?はぁーこれだからヴァンダムは」
「乙女心わかってなくてすいませんねースズチン様」
「…稜駿がわざわざ鯛焼き持って会いに来てくれたって事に喜んでんねやけどなぁ…」
「え」
「鯛焼きありがと!じゃあまた明日!」
「乙女心わかってなくてすいませんねースズチン様」
「…稜駿がわざわざ鯛焼き持って会いに来てくれたって事に喜んでんねやけどなぁ…」
「え」
「鯛焼きありがと!じゃあまた明日!」
寿々歌は顔を少しだけ赤くして逃げるように家の中へと戻っていった
(何今のデレ。反則だ)
俺もきっと寿々歌と同じように赤くなっている
俺もきっと寿々歌と同じように赤くなっている
(…モテる秘訣はどうやら女の子を喜ばせる事、らしい)