忙しい人【いそがしいひと】
「おはよう」
「あの、加藤さん」
「あ、何だよ?どうかした?」
「あの、加藤さん」
「あ、何だよ?どうかした?」
通りすがりに声かけたら急いでる足を止めてくれた。どうしても伝えたい事がある。ずっと会いたくて仕方無かった、やっと会えた。
「加藤さんの誕生日、俺加藤さんいなくても祝いますから」
「加藤さーん!」
「おー、今行く!悪いな前田君、またゆっくりな」
「…はい。」
「加藤さーん!」
「おー、今行く!悪いな前田君、またゆっくりな」
「…はい。」
遠くから呼ばれて、返事してた。近くにいる俺の話は多分聞こえて無かった、きっと聞く気なんてなかったんだ。
前田君、そう呼ばれるのは嫌いじゃないけど。加藤さんに呼ばれると何故か遠く感じてしまう。
俺も部屋に戻ろう、忙しいあの人を好きになってしまってただ後悔。加藤さん以外は、可愛い可愛いって言ってくれるし、それなりに…モテてると思うし。こんなの声に出して絶対言えないけど。
部屋に戻ったら賑やかで、静まる気配は無かった。一番忙しいあの人はいない、大好きな仲間は沢山いる。
机に肘をついてぼーっと窓を眺める。さっき加藤さんと話した事を思い出して、やっぱり聞いてないか。と再確認。
携帯が震えて開いたら、泣きそうになった。
あーあ、やっぱり好きだよ。どうなっても好きだ、ずるい。
(゛さっきはごめんな。次はもっとゆっくり話そうな。26日、楽しみにしてるから(笑)゛)
(゛はい!きっちり祝います(笑)仕事頑張ってください!゛)
(゛はい!きっちり祝います(笑)仕事頑張ってください!゛)