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どうか

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yariba

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どうか【どうか】




「瑛士!」

俺の名を呼んで笑うお前の事がさ
やっぱり好きなんだよ



「ねぇねぇ」
「ん?なーに」

部屋の隅の方で二人ひっついてこそこそ内緒話
ざわざわとしたこの大人数の部屋でも、やっぱり目が行くのはアイツの姿で


「えー?」
「ふふふ」

きっとアイツは俺が自分を見てるなんて気づいてないだろうな
一緒に居る子、誰なんだろう

あ、

(キス、した)

それはホント一瞬で
多分二人を見てないと気づかなかった


(まーたそうやって…)

アイツはホントに拒否らない
だから女の子に勘違いされるのに

(あ)

目があった
アイツは俺を見て悪戯に笑って内緒、と人差し指を口元へ持っていった

「なぁに?」なんて隣の子が問う
アイツは知らないフリ
俺も知らないフリ

アイツが何処で誰とキスしようがアイツの勝手
アイツが何処で誰と何しようがアイツの勝手


(いつか、あの人ともキスしちゃうのかなーアイツ)

さっきから時々アイツが視線を送るその人
その人はつまらなさそうに突っ伏していて

(あ、声かけた)

アイツの隣に居た子が移動して、他の人に話しかける
それと同時にアイツもあの人のそばへと移動する

あの人の前の椅子に座って、「暇っすね」なんて
さっきまでイチャイチャして暇じゃなかったくせによく言うぜ

あの人とあんな風に話すのは、きっとアイツくらいで
あの人があんな風に話せるのは、きっとアイツぐらいで

二人は特別な関係
それを周りにも何となく感じさせた


「行くぞ」
「え、何処に?」

そんな声が聞こえたかと思うと、アイツはあの人にどこかへ連れていかれる

それを周りの人がどうしたのかと見送る
俺はそれらをすべて黙って見ている

二人は特別な関係
だから所詮長い付き合いな俺には口出し出来ない関係

(きっと、好きなんだろうな)

両想いだって気づいたら、二人はどうなってしまうのだろう


なぁ公輝

思わせぶりで、来る者拒まずで、チャラくて、可愛くて、バカで、Mで、いいから
そのままで、いいから

どうかお互いの気持ちに気付かないで

(そしたら俺は間に入れなくなってしまう)


――

「瑛士!」
「何ー?」

気が付くと、二人で部屋を出て行ったはずのアイツが戻ってきていて

「なぁ、暇!遊ぼー」

アイツはいつまでそうやって俺に笑いかけてくれるのだろう

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