甘い甘いチョコレート【あまいあまいちょこれーと】
たまたま口に入れたそのお菓子が
そういえばこの人に似ていると気づいた
そういえばこの人に似ていると気づいた
「おー、こんばんは」
「こんばんは」
「こんばんは」
私を見るなり微笑みかけてくれるその人
私は別に好きとかじゃなく
向こうも私を好きとかじゃなく
私は別に好きとかじゃなく
向こうも私を好きとかじゃなく
「ねぇ、キスしてくれる?」
「会って早々それっすか?」
「会って早々それっすか?」
あははーと笑って要望に応えてくれる
抱き寄せて、キス
触れるだけのそれにやっぱり満足はできなくて
抱き寄せて、キス
触れるだけのそれにやっぱり満足はできなくて
「もっと」
「欲張りだなぁ」
「違うもん」
「欲張りだなぁ」
「違うもん」
今度は舌も絡ませて
先程口に入れたチョコレートがお互いの熱で溶けて、甘い
先程口に入れたチョコレートがお互いの熱で溶けて、甘い
「ん…っ」
求めるように、強く
私はやっぱりこのキスのが好き
私はやっぱりこのキスのが好き
「公輝とするの、好きだな」
「まじで?さんきゅー」
「まじで?さんきゅー」
頭を優しく撫でられる
きっと彼にとって私なんてただの「女の一人」で
私にとっても彼はただの「男の一人」で
きっと彼にとって私なんてただの「女の一人」で
私にとっても彼はただの「男の一人」で
別に、好きとかじゃなく
だからこそ一緒に居れる関係で
だからこそ一緒に居れる関係で
「ねぇ、私の事好き?」
「好きだよ」
「好きだよ」
軽々しく好きかと訊く事が出来て、軽々しく好きだと口にされる関係
好きだなんて、それは愛とかそういうのじゃなくて
好きだなんて、それは愛とかそういうのじゃなくて
人として、好き
それは異性としてじゃなく
それは異性としてじゃなく
「今日はまた一段とエロいカッコしてんじゃん」
「誰かさんに誘われたくて。どう?こういうのは嫌い?」
「似合ってると思うよ」
「誰かさんに誘われたくて。どう?こういうのは嫌い?」
「似合ってると思うよ」
彼はきっと貶す事はしなくて
似合ってなくてもきっと珍しいとかなんとか言って結局最後はいつもの方が好きだとか言うんだろう
似合ってなくてもきっと珍しいとかなんとか言って結局最後はいつもの方が好きだとか言うんだろう
いつも落ち着いた雰囲気
それはきっと私がそういうモードでいつも会うから
それはきっと私がそういうモードでいつも会うから
普段の彼は無邪気で子供みたいに可愛い
けどこうやって今みたいに大人っぽくなるのはやっぱり私が彼に迫るから
けどこうやって今みたいに大人っぽくなるのはやっぱり私が彼に迫るから
まるで別人のよう
女の人に対しては大体余裕がある雰囲気を醸し出して誘わせて
男の人に対しては大半が追い付こうと必死に見えた
男の子に対しては多分オニイサンで居ようとして
女の子に対しては確か頼れる人であろうとしてた
男の人に対しては大半が追い付こうと必死に見えた
男の子に対しては多分オニイサンで居ようとして
女の子に対しては確か頼れる人であろうとしてた
私は彼にとって「女の人」の分類
女の子は大半が「女の人」になりたがって
男の子は大半が「ああなりたい」と願って
女の人は大半が「抱かれたい」と思って
男の人は大半が「可愛い奴だな」と感じて
男の子は大半が「ああなりたい」と願って
女の人は大半が「抱かれたい」と思って
男の人は大半が「可愛い奴だな」と感じて
彼は全てに思わせぶりで、勘違いさせる人で
分かっていながら騙されそうになる
分かっていながら騙されそうになる
「ねぇ」
「何?」
「どんな人が好き?」
「俺を愛してくれる人」
「何?」
「どんな人が好き?」
「俺を愛してくれる人」
きっと彼はただの寂しがり屋
だから愛に飢えて、愛に怯えて、愛を欲しがるくせに拒否するんだと思う
だから愛に飢えて、愛に怯えて、愛を欲しがるくせに拒否するんだと思う
「ねぇ」
「ん?」
「もう一回」
「仕方ねーな」
「ん?」
「もう一回」
「仕方ねーな」
彼は欲を見せないで要望に応える
ある意味何処までも誰よりも受身で
ある意味何処までも誰よりも受身で
(クセになりそう)
end
end
彼とのキスはチョコレートの甘い味がした