依存【いぞん】
「何、妬いてんの?」
声が聞こえたと同時に、いきなり後ろから抱きつかれる
「わっびっくりした…いきなり現れんなよ瑛士」
「俺が合鍵持ってんの覚えてんだろー?」
「インターホンくらい押せよ」
「びっくりさせてやろうと思って音立てないようにして入ってきたのに俺がビックリさせられたわー」
「え?」
「俺が合鍵持ってんの覚えてんだろー?」
「インターホンくらい押せよ」
「びっくりさせてやろうと思って音立てないようにして入ってきたのに俺がビックリさせられたわー」
「え?」
瑛士が俺の隣へと周り、肩を抱き寄せる
瑛士の香水を感じた
瑛士の香水を感じた
「公輝が真剣に見てるテレビに俺映ってんだもん」
「別に真剣に見てたわけじゃ…」
「しかもちゃんとポーズしてるし?超羨ましそうな顔しながら」
「………」
「別に真剣に見てたわけじゃ…」
「しかもちゃんとポーズしてるし?超羨ましそうな顔しながら」
「………」
しまった、見られていた
迂闊
迂闊
「俺と加藤さんが仲良さそうなの、妬いた?」
「…別に」
「…別に」
妬いたわけじゃない
「でも俺と加藤さんが仲良くしてるの見ると妬くんだろ?」
「………」
「………」
妬く、かも?とは答えたけど、妬くっていうか
羨ましいっていうか
羨ましいっていうか
「っていうか録画してまでこの番組見たいんだ。ほんっと公輝って加藤さん好きだよな」
「悪いかよ…」
「俺が妬いちゃうからダメー」
「悪いかよ…」
「俺が妬いちゃうからダメー」
ホントに妬いてんのか?と思ったけどあえて口にしないでいると頬に口づけされる
「妬いてるけど我慢してんの。言うと俺が妬くの気にしちゃうだろ、公輝」
だって、やっぱり瑛士が妬くとか想像出来なくて
それでいて、妬くのを我慢するとか言われたら、そりゃあ気にしてしまう
それでいて、妬くのを我慢するとか言われたら、そりゃあ気にしてしまう
「俺は妬いたらその分俺の事だけしか考えれないくらいにしてあげるから大丈夫ー」
「えっ」
「えっ」
「ねーねー、俺変わったと思わない?」
にやにやと瑛士が笑う
「…安定して同じキャラで居続けた事ねーだろ」
「あっれーおかしいなー」
「あっれーおかしいなー」
俺はずっと一途キャラなのにー
なんて
なんて
その言い方がうさんくさいんだって
あ、そういえばうさんくさいキャラはずっと同じか
あ、そういえばうさんくさいキャラはずっと同じか
「これからもっと加藤さんと仲良くしちゃおーっと」
「えっ何で?」
「公輝がそれで妬くんなら、もっと妬かせてやろうと思って」
「えっ何で?」
「公輝がそれで妬くんなら、もっと妬かせてやろうと思って」
瑛士がにやにや笑い続けて言う
だから、別に妬いてなんかない
だから、別に妬いてなんかない
「どれだけ妬かせても俺は公輝君大好きだからねー」
「…はいはい」
「愛してるよー」
「分かった分かった」
「…はいはい」
「愛してるよー」
「分かった分かった」
瑛士が言う「好き」が軽く聞こえてしまうのは、きっと言い方と彼の態度のせい
「好きー」
「分かったって」
「分かったって」
また俺が止めなきゃエンドレスなパターンか、と息をついた
ら、強引に抱き寄せられた
体勢を崩して瑛士に倒れこむようになってしまう
体勢を崩して瑛士に倒れこむようになってしまう
「…諦めたくても諦められないんだよ。公輝が、近くに居るから」
「………」
「………」
瑛士の顔を見上げる形になって、初めて瑛士の表情に気付く
…何でそんな顔してんだよ
…何でそんな顔してんだよ
「…大好きだ。愛してる。お前が欲しい」
「………」
「………」
欲しいって何だよ、俺は物かと笑ってやろうとしたが、瑛士が真剣に言っているのが表情から分かったから、何も言えずに居た
「あとどれだけ伝えれば分かってくれる?信じてくれる?俺と付き合ってくれる?」
「…瑛士」
「俺も加藤さんみたいにおっさんにならなきゃ公輝に振り向いてもらえない?」
「瑛士」
「ホントは、我慢限界なんだって。あんま妬かせんなよ…」
「………」
「あ、謝んなよ。絶対謝ったりすんな。公輝は何にも悪くないんだから」
「………」
「…瑛士」
「俺も加藤さんみたいにおっさんにならなきゃ公輝に振り向いてもらえない?」
「瑛士」
「ホントは、我慢限界なんだって。あんま妬かせんなよ…」
「………」
「あ、謝んなよ。絶対謝ったりすんな。公輝は何にも悪くないんだから」
「………」
ごめんって言おうとしたのが、どうやら瑛士には分かったようで
だったら
俺は何て言ってあげたらいいのだろう
好きだと返してあげるべきなの?ホントに好きなのかも分かってないのに
出てくるのは、やっぱり「ごめん」で
だけど瑛士がそれを求めてないのはとっくの昔に知っていて
だったら
俺は何て言ってあげたらいいのだろう
好きだと返してあげるべきなの?ホントに好きなのかも分かってないのに
出てくるのは、やっぱり「ごめん」で
だけど瑛士がそれを求めてないのはとっくの昔に知っていて
「…瑛士」
「俺が悪いんだよ、公輝の事好きになっちゃった俺が」
「瑛士」
「俺が悪いんだよ、公輝の事好きになっちゃった俺が」
「瑛士」
今にも泣きだしそうな表情の瑛士を見上げるようにしたまま、瑛士の頭に手を伸ばす
「ありがとう」
「…おう」
「…おう」
好きでもごめんでもなく、ありがとう
今はまだ返せる言葉がそれしかなくて
それでも瑛士は少しだけ安心したように笑ってくれるから
きっと、今はまだ、それでいいんだと思った
今はまだ返せる言葉がそれしかなくて
それでも瑛士は少しだけ安心したように笑ってくれるから
きっと、今はまだ、それでいいんだと思った
「…公輝、ちゅーしていい?」
「…うん」
「…うん」
いつの間にか消されたTVに、俺達の姿が映っていた
(好きとか嫌いとかじゃなくて、きっと依存してる)
(お互いが居て当たり前、お互いが居なきゃどちらも壊れてしまうんじゃないかと思う)
(お互いが居て当たり前、お互いが居なきゃどちらも壊れてしまうんじゃないかと思う)