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第二段1

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第二段1【だいにだんいち】




「っは…あ…っ!」

快楽に、ただ溺れていた




目が覚めて、隣で眠っている奴を見て、溜め息をつく

またやっちまった
コイツが俺を拒否しねぇから、つい何回も…


どうしてコイツは大人しく俺に抱かれてくれるのだろう
抱かれる代わりにお金が手に入るからだなんて分かりきっているが
そもそも、何でコイツはウリなんてしているのだろう

「う…んん…」
「…悪い、起こしちまったか」
「今何時…?」

寝ぼけ眼でソイツは俺を見た

「6時30分。どうする?起きるか?」
「んー…もうちょっと寝る…」

彼はそう言ってまた布団にくるまると、瞼を閉じた

俺はさっさと布団を出て、脱ぎ捨てられた衣服を身につける

「朝ご飯作るか…」

俺が独り言のようにそう呟くと、彼は俺の服の袖を掴んだ

「もう起きんの…?」

上目気味に見つめられ、ドキドキと鼓動が速くなる

「ああ。お前、もうちょっと寝てるんだろ?」
「んー…」
「朝ご飯、作っとく。何がいい?」
「目玉焼き…」
「分かった。今から作りにいくから手離せ」
「………やだ」
「何でだよ。離さねぇと朝ご飯作れねぇだろ」
「………分かった」

毎回俺が先に目が覚めた時、コイツはちょっと後に起きる
そして今のように俺が行動しようとすると手や服を掴む

その理由もよく分からないままだ



―――

「…はよー」
「はよ」

彼が次に起きてきたのは大体あれから一時間後ぐらい

「…ダルい」
「悪い、昨日激しくしすぎたか?」
「…………お腹すいた」
質問を流された
それはつまり肯定を意味していて

本当は、ダルいだけじゃないだろう



「…加藤さん、料理上手くなった?」
「そうか?」

一口食べての感想
本当は、コイツのために猛勉強して上手くなったんだが
それはあえて言わない

「そーだって。最初酷かったもん」
前田は笑いながらそう言った

確かに最初は料理なんて殆どした事無かったから、自分でも言えるくらい酷かった
その時、前田は何も言わずに出された分を全部食べた
美味しかったかと聞いた時だけ素直にひでー味と答えた

「加藤さん仕事何時から?」
「今日は昼から10時までに出勤すればいい」
「ふーん…俺、これ食べたら一旦家帰ってから学校行くわ」
「分かった」

ご飯食べる時、まだ少し眠そうにぼんやりとしたままフォークを口に運ぶ
服は昨日着ていたブレザーとシャツにズボン
まんま彼は学生服だ

「今日は夜どうするんだ?」
「ん?あー…今日は家帰るわ」
「そうか」

「今日加藤さん授業ある?」
「ああ、お前等のクラスは5限目の授業だな」
「ご飯食べた後かー…」
そう、俺とコイツは同じ学校の教師と生徒でもあるのだ

「寝るなよ」
「無理っしょ」
「当てるぞ」
「勘弁してくれよ」
分かんないってーと彼は苦笑して言った

「お前は水本と違って勉強しなきゃ出来ない奴なんだから真面目にやれよ」
「…今瑛士は関係無いだろ」
突然、不満そうな調子に変わる

前から気付いてはいたが、彼はどうやらいつも一緒に居る1つ年上の水本と比べられるのが嫌らしい

「…お前、水本が嫌いなのか?」

「嫌いじゃない、寧ろ好き」

まぁそうだろうな
水本もまたコイツの、

「比べらるのだけは嫌なんだな」
「うん。だってさ、瑛士ってああ見えて何でも出来ちゃうし何でも持ってる」

ほら、アイツカッコいいしお金持ちだし
なんて

お前は何だかんだ言いながらアイツを好きなんじゃないか?と聞きたくなった


「あ、やべ俺そろそろ行くわ」
前田が時計を見て慌てるように立ち上がった
「あー…洗い物」
「いい。俺がしとく」
「あーマジで?ごめん加藤さん、んじゃまた学校で」
前田は上着を手にして玄関へと向かった
俺も玄関まで送って行った

「今日は出ろよ、授業」
「おう、勿論」
前田がニッコリ笑ってそう言った

「あ、加藤さん」
「あ?」
「いってらっしゃいのチューは?」
「バカかお前。旦那は俺だ」
前田は可笑しそうに笑って「俺も妻じゃねーって」と言った

「学校で」
「おう」
結局キスはせずに出ていくのかと思ったら、前田が元々ある身長差にプラス段差のせいで大きく背伸びしてキスをしてきた
さっき食べた朝食の味がした

キスを終えて、前田は行ってきますと言って出ていった


「…さて、」

残された食器をがさつに片付け、またベッドに戻り布団にくるまる

あいつの香水と自分の香水が混ざってほんの少しだけその匂いに浸ってみたり、

ヴーヴーと携帯が震えとっさに出ると

「加藤さん!何やってるんですか!」
「…おー、鍋本さん」
「今日は教員好感度調査があってPTA会長からのお知らせがあるから7時30分までに集合!今何時や思ってるんですか!」
「…おー、…ええ?!」
「とりあえず…はよ来てください!」

強引に切られた電話と同時に急いで支度をする

学校へ急いで向かいながら、「ここんとこずっとアイツと一緒だったからか遅刻癖が移っちまった」とか考えていた

そういえばここ最近アイツは毎日のように俺の家に来て一緒に寝てそれぞれで学校に行っていた(勿論前田はいつも途中から来ていた)
シャツはいつだってキチンとアイロンのかかった綺麗なものに変わっているし、時々下に着ているTシャツが色々な所から一旦家に帰っているのだろう

そういえば俺はアイツの事をあまり知らない
知っているのはアイツのクラスとつるんでいるのは1つ年上の水本や篠原、同じクラスの生田や伊倉である事と基本的に普通である事とアイツの性感帯や性癖くらいか

結構一緒に居ると思ってたんだがな

急いで学校に着くと、鍋本先生に「PTA会長遅れてるみたいでまだ来てないですよ。ギッリギリセーフですね」と嫌みを言われた
が、俺はそんな嫌みやPTA会長の説明なんか耳に入らないくらいに、ただアイツの事を考えていた


フッと何気なく外を見て、向かいの校舎で伊倉と何か楽しそうに話すアイツを見つけた

ああ、何話してんだろうなとボンヤリ考えて
もし俺がアイツ等と同い年だったらアイツ等と一緒に居たのだろうか
あるいは全く関わりの無いまま卒業して、卒業アルバム見てこんな奴も居たんだなんて思うのだろうかと想像していた


ああ、俺は何てバカなんだろう

相手が生徒だと、男のガキだと分かっているのに

「好きなんだろうなぁ…アイツを」
小声で独り言を呟きながボーっと2人が見えなくなるまで見ていたら、教頭のわざとらしい咳払いが聞こえて、慌てて前を向き直した

気がつけば半日が過ぎていて、今からアイツのクラスでの時間になっていた

参加すると言っていたが、あまり期待は出来ないな…と考えながら教室の扉を開ける
やはりアイツの席は空席になっていた

「きりーつ、れーい」
室長と呼ばれる奴が少しめんどくさそうに号令をかける
「お願いしまーす」
クラスの奴がハモって挨拶をする

「出席ー…えー相田ー」
出席を取りながら、生田と伊倉が居る事に気付く

という事はアイツは水本と2人きりか…
どうせまた2人で真っ昼間からおっぱじめてるに違いない
いや、実際の現場を見た事が無いから知らないが、多分そうだろう



「…で、ここは」

授業の途中でガラガラッと豪快に教室の前扉が開いた

「はぁ…はぁ…セーフ?」

入ってきたのは前田だった
授業も終わり際だ
もう来ないのかと思っていた

「…余裕でアウトだぞ、前田」
「加藤さんごめん!珍しく参加するために超急いだから許して!」
「理由は?」
「寝坊した」
水本と一緒に寝ていたからだろ?
「さっさと服装を正して席つけよ」

「はーい」
と素直に俺の指示に従って走った事で乱れた服を直して、席についた(本当に走っただけで乱れたのかは知らないが)

服を正してる時に首筋にチラリと見えた赤い痕と前田のではない香水の匂いに、やはりさっきまで水本とそういう事をしてきたのだと思わせた


授業中出来るだけアイツを見ないようにしては居たが、やはり頭の中は前田でいっぱいだった

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