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最速探偵くんくん兄貴!◆rkP4Nu/XBM




時刻は零時。
辺りは闇に包まれ、草木も眠るかどうかという頃。
闇夜に負けずも劣らない、美しさを放つ少女がぽつんと立っていた。
普通ならば、こんな時間に少女が一人出歩く事は奇妙であるがここは殺し合いの場、普通では無い。

「金糸雀」

口から零れたのは、殺し合いはおろかそれが始まる前に無残にも、殺されてしまった少女。
この少女・真紅の姉であり、同じローゼンの作られたドールズの一人。

彼女はどんな思いで死んでいったのか。
最早アリスゲームですら無い。
ただの、悪趣味なだけの催しの為だけに何故、彼女は死ななければならなかったのか。

「許さない……。あの狸だけは絶対に……」

普段からは考えられない程の力を振り絞り、真紅は拳を握り締める。
姉妹の死というのは、何も初めてではない。
真紅の妹・第六ドール雛苺も、第七ドール雪華綺晶によって体を奪われ実質死んだも同然。
怒りが沸かなかったかと言えば嘘になる。

だが、許せない事とは言え。一応アリスゲームでの出来事。
雪華綺晶を許す事は無いだろうし、必ず雛苺の体は取り戻す。

それでも雪華綺晶も他の姉妹と同じく、アリスになるのを目指している。
でも、本当はお父様に愛されたい。ただそれだけ、それだけの為に、また彼女も孤独の戦いを続けている。

だからこそ、ドラえもんだけは許せない。
何の理由も無く、金糸雀を殺したあの狸だけは絶対に。

「やあ、お嬢さん」

そんな怒りに満ちた少女の顔が、一瞬で緩み驚愕に変わった。

「く、くんくん!!!」

口からベロンと出した舌。
垂れた両耳。
垂れ目ながらも鋭い眼光。

それこそ間違いなく、真紅の愛する名探偵くんくんであった。

「お嬢さん」
「真紅よ、真紅と呼んでくんくん!!」
「あ、ああ。ちんく、どうして君はそんなに怒っていたんだい?」

「もう真紅よ、間違えないで。聞いて、くんくん、実は……」

警戒など、まったくせずに真紅はくんくんに自らの素性。
殺し合いに巻き込まれる前まで行われていた、これまでの闘い。
この殺し合いを開いた、狸への怒りを全てぶちまけた。

「――そうか。君は随分と辛い目に合って来たんだね」
「くんくん……」

「怒りを抑えろとは言わない。でも、怒りに飲まれてはいけない。
 怒りは、人に生きる気力と力を与えてくれる。だが、それと同時にスピーディでスムーズな行動が出来ない。
 いいかい? 俺…じゃなかった、僕はこう思ってるんだ。
 この世の理はすなわち速さだと、物事を速くなしとげればそのぶん時間が有効に使える、遅いことなら誰でも出来る。
 20年かければバカでも傑作小説が書ける!有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家、週刊よりも日刊です、つまり速さこそ有能なのが、
 文化の基本法則! それはこの殺し合いでも変わらない!!
 時間が経てば経つほど死者は増え、禁止エリアは追加され事態は最悪の方向へ進んでいく!
 そうなれば、俺…じゃない僕達があの狸をやっつける事も難しくなる! ならばどうすればいいのか? 
 決まってる、殺し合いの犠牲者が出る前に、最速で仲間を集め、最速で首輪を外し、最速で狸を倒す! 
 そう! その為に俺…じゃねーや僕は最速で行動する!! 
 ちんく!! その怒りはまだ取っておくんだ! 来るべき決戦に向けて!!」

くんくんは僅か30秒程で一回も噛まずに尚且つ、聞き取るのも困難な早口でそう述べた。

「分かったのだわ!! 流石くんくんね!!! 貴方は天才だわ!!! 早速、私も最速で行動するのだわ!!!」

やはり、くんくんは天才だ。
危うく怒りに飲まれ、正常な判断が出来なくなった私を論して落ち着かせてくれた。
それだけではなく最速で行動するという、とても合理的で理知的な考え方も教えてくれた。

真紅は感激した。
殺し合いだかなんだか知らないが、くんくんが居ればこんな物容易く解決できると。
そして同時に思った。くんくんの最速の解決を手助けする為、自分も最速で行動しなければならないと。

「くんくん、一緒に行きましょう! 一緒にあの狸を倒すの!!!」
「そうだね。でも、ここは別行動としよう。僕は僕の方で調べてみるから、ちんくはあっちの方を調べてみてくれ」
「分かったわ、くんくん! 役割分担する事でスピーディに調べ物が出来る訳ね!! 私頑張るのだわ!!!!」

そう言うと真紅は最速で駆け出す。全てはくんくんへの愛があればこそ為せる技。

くんくんは真紅の後姿が、見えないところまで見送ると溜息を着く。
そして次の瞬間、風を切る音と同時に宙を舞い、何者かの手に掴まれた。

「やれやれ。あそこまで、この人形を溺愛しているなんてな」

くんくん人形とそれをぶら下げていた釣竿を手に、ストレイト・クーガーは物陰から姿を現した。

最初は、ただ警戒を解くのと同時に、場を和まそうと思い
支給品だったくんくん人形を釣竿でぶら下げて、あたかも人形が喋ってるように見せたのだが
まさか、あんなに溺愛していて自分の存在にすら気付かないとは思わなかった。
結果、正体を明かしづらくなってしまい最後まで騙してしまったが、大丈夫だろうか。

「まあ。なんとか、立ち直ってくれたみたいで良かったがな。」

そう思った矢先。


♪~また言わないで~♪呪文めいたその言葉~♪愛なんて翅のように軽い~♪


「はい。もしもし」
『くんくん!! くんくんね!! 実は私の支給品に携帯とやらがあったから、試しに登録してあった番号に電話してみたの!!!
 そしたら、くんくんに繋がるなんて、運命的な物を感じるのだわ!!』


(うーん。また俺は、くんくんを演じなければならないのか?)


【H-3 初日 深夜】

【ストレイト・クーガー@スクライド】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、釣竿&くんくん人形@Rozen Maiden、携帯電話@現実、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本:世界を縮める。
1:どうするか?
※くんくんととても声がそっくりです。

【真紅@Rozen Maiden】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、携帯電話@現実、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本:くんくんと共に最速で殺し合いを打破し狸を倒す。
1:一先ず別行動で調査する。
2:くんくん///



【釣竿&くんくん人形@Rozen Maiden】
桜田ジュンが真紅を釣る際に使用した物。
セットで一つという扱いで支給。

【携帯電話@現実】
外部との連絡は不可能。
それ以外の詳しい機能は後の書き手さんにお任せします。


02:猫物語FES 時系列順に読む 04:荷物確認しなイカ?
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最終更新:2013年02月19日 19:18