ぶしつ!

紬「――じゃあ、今唯ちゃんの中に梓ちゃんがいて、梓ちゃんの中に唯ちゃんがいる状態なのね?」

梓「うーん、だよ・・・ね?」
唯「はい・・・」

律「あー。なんでこんな事になったんだっけ」
澪「っ」ゴスッ
律「あいたぁ!み、澪だって一緒に見てただろ!」
澪「私は止めた!一応!」

 §

 半時ほど前のこと。梓が来るまでの暇つぶしにと、紬が提案した催眠術の被験体に選ばれた唯。
 呆れ顔の澪と、面白そうだとノリノリの残り2名により、軽い気持ちでそれは始まった。
 紬が焚いた香の不思議な匂いが立ちこめる。術を始めて程なく、唯の寝ぼけ眼でふらふら揺れ始めた。

唯「・・・犬~。犬、犬って・・・」ウツラウツラ
紬「・・・そう、唯ちゃんは今から犬になるの。私が指で合図した瞬間から。いいわね?」
唯「ふあぁい・・・」
紬「じゃあいくわよ、3、2、1・・・」パチン
梓「すいません、遅くなりましt」ガチャ
唯「ほへぇ?」クルッ

 §

紬「この催眠術はね、言わば刷り込みによる暗示なの。自身のイメージを置き換えることで対象物に成りきってしまう。
  あの瞬間、梓ちゃんと目が合ったことで、自分は梓ちゃんだ、と誤認してしまったのね」
律「なるほど!」
澪「お前ホントに分かってるのか。・・・まぁ理由はともかく。ならなんで唯だけじゃなく、梓にまで術が掛かってるんだ?」
紬「詳しいことは調べてみないと・・・でも普通の方法じゃ面白くないから、ちょっとアレンジしてみせたんだけどそのせいかしら」
律澪「「アレンジ?」」
紬「通販で買った催眠術本と、書庫の奥に眠っていた琴吹家秘伝の黒魔術の本を参考に」
律澪(・・・そんなのもう催眠術じゃねえ・・・)
唯「と、ともかくですっ!元に戻れるんですよね?ムギ先輩!」
梓「え~、私は暫くこのままでもいいなぁ」
澪「そんなわけに行くか!・・・で、どうなんだ?ムギ」
紬「大丈夫よ~。これはお香の匂いを借りて精神に介入する黒魔術だから。理論的にはもう一度同じ事をすればいいの」
梓(いま黒魔術って言った!はっきり言った!)
律「・・・お香?お香ってあれか?」

 律の指さす方向。普段であればティーセットの並ぶテーブル上では、すっかり役目を終えた香炉が燻っていた。

澪「ムギ」
紬「な、なにかしら?」
澪「予備とか、あるんだよな?」
紬「・・・・・だ、大丈夫よ、また取り寄せればいいから」

唯梓澪律「うおおおおおいっ!」

 §

唯「こうして、入れ替わってしまった唯先輩と私の、訳ありな共同生活が始まったのです」
梓「あずにゃん、誰と話してるの?」
唯「ほっといてください・・・」

 つづかない


  • え -- (名無しさん) 2011-01-10 14:44:46
  • 後日談欲しい‥‥ -- (名無しさん) 2011-01-11 01:07:37
  • つづけてよ〜。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-10 17:33:49
  • 黒魔術ェ -- (名無しさん) 2013-01-15 03:12:10
  • 続きを… -- (名無しさん) 2013-03-21 21:01:59
名前:
感想/コメント:

すべてのコメントを見る

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年12月28日 13:03