梓「あ、ちょっとお店寄って行っていい？」
純「いいけど、どこ行くの」
憂「……あぁ、お菓子屋さんだよね」ﾋﾟｰﾝ
梓「べ、別にホワイトデー用のチョコを買うわけじゃ……っ」
純「あーはいはい。ご馳走様。というか、一緒に行けばわかるのに何でそう無理に取り繕おうとするのよ」
梓「う……なんか、癖に」
憂「なるほど、おねえちゃん『
あずにゃんって素直じゃないけど、こっちからぎゅっとするとこっそり甘えてくれるところとか可愛いんだ』とか言ってたし」
純「微ツンデレ成分が唯先輩の好物だとわかっていての確信的行為か。デレばっかでツンは何処にあるのよ状態なくせにねぇ」
梓「べ、別にそういうわけじゃ！……」ｴｰﾄ
純「あ、考え込んだ」
憂「無意識にやってたことだけど、本当はそうだったのかなって確認してるみたいだね」
梓「……」ｽﾞｰﾝ
憂「あ、落ち込んじゃった」
純「きっと自分のあざとさを汚く思って、こんな私が唯先輩にふさわしいのかなと考えてるんだよ、梓のことだから」
憂「心配しなくても、おねえちゃん、梓ちゃんのこと全部まとめて好きなのにね」
純「まー、そういうところも可愛いって唯先輩なら言いそうだよね」
梓「……」ｷｯ
憂「あ、にらまれたよ、純ちゃん」
純「解説しすぎてしゃべることが無いでしょ、って眼差しだね、あれは」
梓「あーもう！いいから行こう！」
純「ほいほい、付き合いますよっと。あ、折角だから私も唯先輩へのお返し買おうかな」
梓「……純？」ｷﾞﾛﾘ
純「へ？」
梓「今何って言った？」
純「え？だから、唯先輩へのお返しを……」
梓「私というものがありながら……唯先輩……他の女にチョコ上げるなんて」
純「へ？え？いや、もらったっていっても……」
梓「ごめん、二人とも。急用ができたから、今日は先に帰るね……あ、ごめん憂。これお願い」ﾋﾟｯ
憂「え……あ、うん」
梓「……あ、もしもし、唯先輩ですか？ちょっと問い詰めたいことができたので、部屋で正座して待機しててください。すぐ向かいますから」ｽﾀｽﾀ
純「あ、おーい……行っちゃったよ……もらったといっても、チロルチョコなんだけどな。梓ってあんなに嫉妬深かったっけ」
憂「うーん……独占欲はそれなりだったと思うけど……」
純「ていうかさ、私が原因で破局……とかなったらすごく気まずいんだけど」
憂「あ、それは無いと思うよ。きっとこの展開からして今夜、梓ちゃん家には帰らないと思うし」
純「あーもしかして……なるほどね。つまり何、私って口実ってやつ？」
憂「出汁とも言うかも」
純「梓のやつー……ちょっと心配した分、明日たっぷりからかってやるんだから」
憂「そうしなくても、梓ちゃんのほうから惚気てきそうだけどね」ｸｽ
純「それで憂はどうしてまだお菓子屋さんに向かってるの」
憂「さっき梓ちゃんが電話する直前に、これお願いされたからね」
純「取り寄せ票お客様控え……梓の注文の受け取り頼まれたってことね」
憂「そうそう。だからね、フリだってすぐわかったの」
純「もう梓のことエロにゃんと呼ぶかな……って、憂」
憂「どうしたの、純ちゃん」
純「ホワイトチョコ３０ｋｇって……チョコ作るには多いと思わない？」
憂「……読めるよ、純ちゃん。きっとホワイトチョコお風呂プレイとか……だよ」
純「流石だよエロにゃん」ﾔﾚﾔﾚ
憂「私ももうエロにゃんって呼ぼうかな」ｸｽﾘ
