梓父「なぁ、梓。最近部活の方はどうなんだ?」

梓「う~ん、まぁまぁかな。最近はみんなやる気を出して練習しているし」

梓父「ならいいんだがな。ほら、今は3人しか部員がいないだろ?」

梓「大丈夫だよ。あと1人ぐらい何とかしてみせるよ」

梓母「頼もしい部長さんですね」

梓「私のせいで部が潰れたなんてなったら、先輩達に申し訳がたたないし」

梓父「うん。その意気なら大丈夫そうだな」

梓母「そうね。でも、あの時は本当にどうなることかと思ったけど」

梓「あの時って?」

梓父「梓が軽音部に入るって言った時のことだよ」

梓母「てっきり、ジャズ研とかに入るのかと思っていたから」

梓「あれは、ジャズ研でやっているのは自分に合わなかったというか……」

梓父「まぁ、梓が楽しそうにやっているようでよかったがな」

梓母「そうそう。ギターの上手な子がいるって言っていたし……」

梓「あぁ、唯先輩のこと? でも、あの人は部で一番だらけるからね。私が言わないとしっかりしないんだもの」

梓母「そうなの?」

梓「本当だよ。ライブの時とかはすごく上手でかっこいいのに……。何でいつもは天然でマイペースな感じなんだろう」

梓父「へぇ、梓から見て唯先輩はかっこいいのか」

梓「えっ!? あ、いや別にそう言うことじゃなくて、クラスのみんながね! ライブの後に言ってたの!」

梓母「そんなに照れることないじゃない」

梓「て、照れてなんかないもん!」

梓父「しかし、そんなに言うのなら、唯先輩に会ってみたいな」

梓母「そうね。よく話には出るけど一度も会ったことないものね」

梓「そんなに話してないと思うんだけど……」

梓父「いいや、部活の話となると大体唯先輩がでてくる」

梓「そんなことない! ……もん」

梓母(お父さん。あんまりいじめちゃだめですよ)

梓父(おっと、すまんすまん、つい……)

梓「と、とにかく、この話はもうおしまい!」

梓母(あらあら、あんなに顔を真っ赤にしちゃって……)

梓父(唯先輩に会う日はそう遠くないかもしれないな)

梓母(そうみたいですね)

梓「───ってなことがあったんですよ」

唯「確かに、あずにゃんの両親に会ったことないなぁ」

梓「もうそろそろ打ち明けてもいいかと思ったんですけど……。まだ踏ん切りがつかなくて」

唯「そうだね。順々にしていかないとショックも大きいと思うから」

梓「……ごめんなさい。私が話さなくちゃいけないのに唯先輩に押し付けたみたいになって」

唯「ううん、気にしてないよ。いつかはあいさつしなくちゃいけないと思っていたから」

梓「じゃあ、次の土曜日にうちに来てください。両親ともいるはずなんで」

唯「わかった。あぁ、なんだか緊張するなぁ!」

梓「……しかし、大丈夫なんですかね」

唯「何が?」

梓「だって、紹介する人が男ならまだしも同性で……」

唯「大丈夫だよ。きっと」

梓「……その自信はどこから来るのか、教えてほしいです」

唯「理解されなくても、私はずっとあずにゃんと一緒にいるから」

梓「親に反対されたら?」

唯「その時は……、奪って逃げる!」

梓「大胆ですね……」

唯「これぐらい、あずにゃんとなら乗り越えられるよ」

梓「……」

唯「ね?」

梓「……そうですね」

そして、土曜日!

梓「お父さん、お母さん、お話があるんですけど……」

梓父「何だ、改まって?」

梓「実はね、紹介したい人がいるの……」

梓父「……おぉ!」

梓母「そ、それは本当なの……?」

梓「……うん」

梓父(遂に、我が子にもこういうのが来たのかぁ……!)

梓母(あの梓がこんなに……、うぅ……! もう泣きそう!)

梓父(ダメだ母さん! 今泣いたら変に思われるぞ!)

梓母(そうね、とりあえずどんな人か見てから……!)

梓父「えーっと、その、紹介したい人っていうのは……」

梓「……もうすぐ来るよ。だから、会ってほしいんだ」

梓父「わかった……」

ピンポーン

梓母「あっ、来たのかしら?」

梓「多分……。ちょっと見てくる」

梓父「……はぁ、緊張してきた」

梓母「わ、私も……」

梓「2人とも、来ました……」

梓父「お、おう。入ってもらって」

梓母「どきどき……」

ガチャッ

唯「あの……、どうも」

梓父「」

梓母「」

梓「えっと……、その……」

唯「は、初めまして。平沢唯といいます」

梓父(……まさか本当に来るとは)

梓母(あらかじめ予想していたこととはいえ、やはりびっくりしますね)

梓父「……あなたが平沢唯さんか。梓から話はよく聞いているよ」

唯「はぁ、お恥ずかしい限りで……」

梓母「で、何故あなたがここに?」

梓「えっとね……、実はね……」

梓父(がんばれ! 梓!)

梓母(あぁ、もう知っているわよとか言って終わらせてあげたいけど……。ここは我慢よ!)

唯「……梓。あとは私が」

梓「唯……」

梓父(ゆ、唯だと!? 呼び捨てにするぐらい進んでいるのか……)

梓母(ピンチの時に颯爽と助ける。女の子なのにきゅんとしてしまったわ)

唯「お2人とも、私はあなたの娘さんと結婚を前提にお付き合いさせていだたいています!」

梓父「……それは、本当なのかね」

唯「はい!」

梓父(……こいつ、できるッ!)

梓母(梓が話していたかっこいい唯先輩ってやつがでているのね!)

梓父「うぉっほん! 君、今では女の子同士での恋愛はダメとは言われていないが、結婚まで本当に考えているのかね?」

唯「今日は、その話をしにやってきました」

梓父(ふむ、話で聞いていたよりしっかりしてそうじゃないか)

梓母(梓もまだ若いけど、この子なら任せておけそうね……)

唯「単刀直入に言います。娘さんを私に下さい!」

梓父(来た! ついにこのセリフ来たよ! あこがれのお父さん役だよ!)

梓母(さて、お父さんはどう返すのかしら……)

唯「……」

梓父「……娘はやらん!」

梓母(まさかの拒否!?)

唯「……どうしてもですか?」

梓父「だと言ったら?」

梓「……」ドキドキ

唯「……奪ってみせます」

梓父「言うじゃないか」

唯「お父さんを説得して、娘さんを頂きます」

梓父「君にお父さんと言われる筋合いは無い!」バンッ!

唯「っ!?」

梓母(お父さん、やり過ぎです!)

梓父(しまった……。つい熱が入ってしまって……)

梓父「あー、いや、その何だ。あはは……」

梓母「お父さん……」

唯「……」ウルウル

梓「唯……」

梓父(涙目になってしまった……。これはさすがにやり過ぎたなぁ……)

梓母(どうするんですか。収集つかなくなってますよ?)

梓父(うーむ。しかし、ここは唯さんにとってはチャンスかもしれんのだ。しばらく様子を見よう)

唯「……すみません」ゴソゴソ

梓父(さて、どう切り返してくるか……?)

唯「目がかゆい……」

梓父「……へ?」

唯「いやぁ、花粉症って大変ですよね」

梓父「」

梓母「」

唯「鼻も出ちゃって……」

梓父「……ぷっ」

梓母「……くふふ」

唯「?」

梓父「……あっはっはっは! ひぃ~!」

梓母「ふふふふ……!」

唯「あ、あの……」

梓「あれ……?」

梓父「もう、ダメだ! ふふふ、負けたよ……!」

梓母「本当、話していた通りね……!」

唯「?」

───

梓父「いやぁ、本当にすまんね。あのセリフ一回言ってみたかったんだよ」

唯「本当に心臓に悪かったですよ……」

梓母「もう、あまりにも強く言うから心配しちゃったわ」

梓父「でも、一生で一度きりなんだからさ……」

梓「お父さんったら……」

唯「まぁ、わかりますけどね」

梓父「娘はやらん! いやぁ、まさか言えるとは思ってなかったからなぁ」

唯「反対されたら娘さんを貰うまで通いつめようかと思ってしまいましたよ」

梓母「まぁ、梓、こんないい人どこで見つけたの?」

梓「お、お母さん……///」カアァ

唯「いやぁ、それほどでも」

梓父「ま、唯さん。うちの娘、素直じゃないところもあると思うがよろしく頼むよ」

唯「そういうところもまとめて好きになりましたから、大丈夫です」

梓父「くぅー! 言ってくれるねぇ!」

梓母「梓、幸せになるんだよ」

梓「……うん!」

この後、程なくして梓が妊娠したという知らせで2人は驚くことになるのはまた別の話。


おわり!


  • 梓父のキャラがいいw こうゆうノリは好きです -- (鯖猫) 2012-12-20 04:05:04
  • 梓父面白い!梓父に梓母は認めてくれる話大好き! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-09 18:20:42
  • イイハナシダナァー.....っておかしくない!?梓の妊娠ってどゆこと!!? -- (唯ちゃんラブ) 2017-11-14 20:42:33
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最終更新:2011年03月23日 22:56