ある日の昼休み、一年生の教室にて、三人の女子生徒が食事を取っていた。その中の
一人の女子生徒が言った。
「ねえ、噂の唯さんに会ってみようよ」
唯さんというのは、この学校にいる生徒で、中野梓という生徒が好きということ以外は
よく分かっていない。ただ、時折、現れては女子生徒をさらっていき、何かの話
をするのだそうだ。
「でも、危ないよ」
「なによ~、びびってんの」
「大丈夫よ、どうせ噂なんだろうし」
結局、押し切られる形で、三人は放課後、唯さんを探した。唯さんを目撃したという廊下、
中野梓という生徒の噂も行ってみた。
「やっぱり、噂だったんだよ。もう帰ろうよ」
「そうね、こんだけ探しても出なかったんだし」
「そうだ、中野梓っていう人にちょっかい出してみよう。噂ではその人のことが好きだって
話だから、噂が本当なら、きっと現れるよ」
その発言を聞いて、残りの二人は反発した。
「さすがに、関係ない人を巻き込むのはどうかと思うぞ」
「噂が嘘だったりしたら、ただ、迷惑かけるだけだし」
その反発を聞き、一人の女子生徒は
「じゃあ、いいよ。私だけで行くから。結果は明日言うから」
そう言って、二人が止める間もなく駆け出していった。
次の日
「で、どうだったの。どうせ、会えなかったんでしょ」
と聞きました。すると、突然顔を真っ赤にして
「き、昨日のことは聞かないで・・・・・」
と言って、顔を伏せてしまった。その後も思い出したかのように顔を真っ赤にしたり、顔を 伏せたりしました。
その日の昼休み
「やっぱりおかしいよ。きっと、唯さんを見たんだよ」
「そんなわけないよ。きっと、何も見つからなくて恥ずかしいだけなんだよ」
「でも、あの様子は」
「仕方がないな~。よし、私が確かめてこよう」
次の日
「ど、どうだった。唯さんはいたの?」
と聞きました。すると、突然顔を真っ赤にして
「き、昨日のことは聞かないで・・・・・」
と言って、顔を伏せてしまった。最初にいった子と同じようにそれは午前中ずっと続いた。
その様子を見て、
「き、きっと唯さんはいるんだ。きっと、二人はたたられたんだ」
その女子生徒は心底怖くなった。

その日の放課後、その女子生徒はサッサと帰りたかったが、先生から用事を頼まれてしまい ました。用事を済ませ、教室にかばんを取りに行きました。
「こ、怖いな~。早く、取りに帰ろう」
ちょうど、その時、廊下にはこの女子生徒しかいなかった。恐怖のため、少し、早足で 歩きました。しかし、運の悪いことに躓いて転んでしまいました。すると、
「ねえ、大丈夫?」
と、セミショートの女の子が声をかけてきました。
「は、はい。ありがとうございます」
「ん?君は一年生?ははあ~、さては道に迷ってるんだね。よろしい、この先輩が案内して あげよう」
「あ、いえ、そういうわけじゃないんですけど」
「じゃあ、どうしたの?なんか、おっかなびっくりで歩いてたんだけど」
「じ、実は・・・・・・」
その女子生徒は、セミショートの女の子に事情を説明しました。
「それは、不思議なことだね。よし、私が助けてあげよう」
「え、いいんですか。でも危険ですよ」
「大丈夫、大丈夫。私に任せなさい(頑張って解決して、あずにゃんに褒めてもらおう)」
その女の子は得意げに胸を叩いた。すると、一枚の写真が落ちてきた。
「ん、これは・・・・」
その写真を見ると、ツインテールで、ネコミミをつけている女の子だった。
「どう、可愛いでしょ」
「え、ええ。なんていう名前なんです」
「あずにゃんって言うんだよ」
「あずにゃん?ほ、本名は」
「おっと、中野梓ちゃんで、あずにゃんって言うんだ」
「そうですか、中野梓さんって言うんですか。・・・・・・え」
確か、噂では唯さんは中野梓さんって言う女の子のことが好きなはずでした。
(もしかしたら、この人が唯さん)
「ん、どうしたの?」
「あ、いえ、な、なんでもありません。それよりも、この写真って・・・・・」
「気になる?それはそうだよね、とっても可愛いもんね」
「え、ええ、そうですね」
「でしょ~。あ、でも、あんまり好きになっても駄目だよ」
「は、はあ・・・・・・・」
「それはね、私の恋人だからだよ~。よし、君には特別に私達の馴れ初めを話してあげよう」
「え、ちょっと・・・・・」
唯さんは女子生徒の腕を掴み、引っ張り始めました。
「た、助けて~」
「助けてなんて、人聞きが悪いな~。そんなに心配要らないよ。きっと幸せな気分になれるよ」
「待ちなさい!」
突然、声がしたかと思うと、そこにはブロンド色の髪をした女子生徒が立っていました。
「な~に、ムギちゃん?そんな怖い声を出して」
「一度やってみたかったの。そんなことよりも、唯ちゃん。こんなところでのんびりしていて
いいのかしら?」
「どうして?今、私はこの子に私達の馴れ初めを話さないといけないのに・・・・・」
「そんなことよりも大事なことよ。今、部室で梓ちゃんが唯ちゃんが来るのを待ってるわ」
「分かったよ、ムギちゃん。ごめんね、この話は今度してあげるよ」
そう言うと、唯さんは急いで去っていった。
「大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます」

「気にしなくていいわ。それで、何があったの?」
「実は・・・・・」
女子生徒は簡単に事情を説明した。
「なるほど。一昨日と昨日の子の知り合いだったのね」
「そ、それで、大丈夫なんでしょうか、あの二人は」
「多分、心配要らないわ。時間をちょっと置けば大丈夫よ。・・・・・・・・・・唯ちゃんたら、
調子に乗って、初夜の経験まで、赤裸々に話すんだもの。あの二人だって恥ずかしくなるに
決まってるわ。梓ちゃんが止めに来なければ、たまたま隠れて聞いてた私も危なかったし」
「え、あの、最後のほうがよく聞こえなかったんですけど」
「気にすることじゃないわ。最後に一つだけ、唯ちゃんを嫌わないでね。普段はとってもいい子
だから」
「は、はい」
「ではまた~」
そう言って、ムギさんは去っていきました。

「ここはこうやるんだよ」
「なるほど。ありがとうございます、澪先輩」
バタン!!
「あずにゃん!」
「ん、どうしたんですか。そんなにあわて、にゃ」
「ごめんよ~、あずにゃん。私がいなくて寂しかったでしょ」
「あ、あの、唯先輩、今、私、澪先輩に勉強を教えてもらってるので後にして下さい」
「そ、そんな~。あずにゃんは私よりも勉強を取るんだ」
「い、いや、そういうわけじゃ・・・・・」
「うぅ~、昨日はあんなにベットで私を求めて来たのに」
「な、なにを言ってるんですか!」
「あずにゃんは、私のこと、嫌いなの?」
「・・・・・・嫌いじゃないです。けど、分別をしっかりつけてもらわないと」
「好きって言ってくれないの?」
「・・・・・・・す、好きですよ、唯先輩」
「ありがとう、あずにゃん。でも、ごめんね、我侭ばっかり言って勉強の邪魔しちゃって」
「そ、そんなに気にしないで下さい」
「優しいね、あずにゃん。・・・・・・・・・・・好きだよ」
「私も好きですよ、唯先輩」
「あずにゃん・・・・」
「唯先輩・・・・・・・」
「私は邪魔みたいだから、練習でもしてるよ」
「・・・・・・・・・はっ。すいません、澪先輩。続きを教えてください」
「あう~、捨てないで~、あずにゃ~ん」
「ズズ~。はあ~、今日も平和だな~」


  • 唯先輩が面白すぎ! -- (あずにゃんラブ) 2012-12-30 04:06:41
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最終更新:2011年04月15日 22:25