梓「イタッ」
梓「大丈夫です、唯先輩」
唯「大丈夫ってあずにゃん、足から血が出てるよ?」
梓「見た目ほど対した事ありません」
梓「よいしょ(あれ…思ったより力が出ない)」
唯「どうしたの、あずにゃん?」
梓「いえ、何でも(やっぱり上手く力が入らない)」
梓「(どうしよう…)」
唯「もしかしてあずにゃん立てない?」
梓「そ、そんな事!」
唯「あずにゃん、強がらなくても良いんだよ」
梓「…立てないみたいです」
唯「転んだ時にどこかにぶつけちゃったんだね」
唯「大丈夫だよ。私が病院までおぶってあげるから」
梓「いいです。そんな事をして貰わなくても」
唯「あずにゃんは怪我してるんだから遠慮しちゃ駄目だよ」
唯「はい、乗って」
梓「…分かりました」
梓「お、重くありませんか?」
唯「大丈夫だよ、あずにゃん」
唯「あずにゃんのためならエンヤコーラーだよ」
梓「何ですかそれ…」
唯先輩はそれから病院に着くまでの15分間
苦しい顔を一切見せることなく私をおぶったまま励まし続けてくれた
「あずにゃん、もうすぐだからね」「病院で見て貰えばすぐ治るよ」
「私が付いてるから大丈夫だよ」
私はその間「はい」としか答えることが出来なかった
唯「あずにゃん、病院に着いたよ」
梓「はい」
唯「受付は私が済ませてくるからね」
梓「分かりました」
受付を済ませると唯先輩はすぐに私の元へやってきて私の手を握ってくれた
診察の時間が訪れるまでずっと握ってくれた
言葉を発しなかったが私にはその意味が分かった
「中野梓さん」「はーい」
診察の結果は捻挫
最初は力が入らなかったがしばらくすれば問題なく歩けるとの事
唯「良かったね、あずにゃん」
梓「はい」
唯「じゃあ、帰ろう」
唯「私がまたおぶってあげるから」
梓「…はい」
そう言って唯先輩はまた私をおぶってくれた
病院から私の家までの20分間
苦しい顔を一切見せることなく
唯「あずにゃん、着いたよ」
梓「はい」
梓「…」
梓「唯先輩…」
梓「今日は、その…」
梓「ありがとうございます」
唯「えへへ、また明日ね」
梓「はい、また明日」
唯先輩の笑顔が私には一番効くクスリなのかもしれない
終わり
最終更新:2011年07月09日 00:55