高3になってしばらくしてからのある蒸し暑い日のこと
部室の窓を全開にし空気を循環させていた
「梓ちゃん」
憂の声がし振り返る
梓「どうしたの?」
憂「お姉ちゃんまたこっち来れないって」
梓「うーんわかった、唯先輩も忙しいだろうし」
憂「ごめんねせっかく用意してくれてたのに」
梓「うぅん、憂が謝ることないよ」
この前も急用やなんやらで来れなくなり今回は店の人手が足りないので臨時にバイトに入ってるらしい
家に帰ったら片づけないと・・・
久々に会うんだから歓迎しようと家で用意して学校に来たのにまた水の泡だ
向こうは向こうで忙しいんだと自分に言い聞かせるもやっぱり寂しい
純は日直、憂もどこかに行ってしまい誰もいない
新歓ライブも近いというのにどこに行ったのだろう
その時ぶわっと風が舞い込む
楽譜や私の髪が風に流れる
風がやむとまた静かな世界、なはずだった
微かにだが背後から誰かの鼻歌らしきものが聞こえる気がする
振り返り驚く
梓「憂?いたんだ」
?「え、あ、あずにゃん!?」
梓「唯先輩・・・!?どうしてここに?」
唯「さぁ、最近あずにゃんのこと考えたらワープできるようになっちゃったー」
梓「なんですかそれ・・・あ、もうそろそろ憂と純が帰ってきますから顔だけでも見せておいてはどうです?」
唯「うーん、悪いけどいいや、今日はあずにゃんに会いに来たんだし」
梓「私に何か用でも・・・?」
唯「えっとね」
そこにギシギシと老朽化した校舎に響く足音
純「あー遅くなっちゃったー」
憂「梓ちゃんが待ってるし早くしないと」
唯「あずにゃん私の背中に乗って!」
梓「え?なんでですかいきなり」
唯「いいのいいの早く」
久々に見る唯先輩の真剣な眼差しに今はただ素直に従うしかなかった
しぶしぶ肩に手を回し背中に乗る
人におんぶしてもらうなんて何年振りだろうか
唯「行くよ!」
梓「へ?どどこに」
何処に行くと聞く暇もなく目の前が真っ白になる
1秒もしなかっただろうか地面があることに気付く
梓「ここは?」
唯「トイレだよ」
よく見ると確かにトイレである
梓「なんですかさっきの」
唯「ワープです」フンス
梓「は?そんなことよりなんでこんなところに」
唯「それはもちろん・・・」
その時の唯先輩の目つきと言ったら色気さと猛獣らしさを足して二で割った感じ
その時またカツカツの足音
純「梓~練習するぞ」
憂「梓ちゃん~」
しかし同級生の声をよそにトイレの個室は熱い
梓「ちょっと・・・今はだめです」
唯「なんで?いいじゃん聞こえないよ」
梓「場所と時間わきまえてくださいよ」
唯「だってこの時間にしか来れないんだもん」
純「じゃあ私ここ探しておくから憂は下の階を探してきて」
憂「うん」
憂が下の階に行ったものの危機は収まらないっていうより大きくなる
どんどん足音が大きくなり心臓の脈を打つ速さも上がっていく
鍵は閉まってない、これは怪しまれることはないが逆を言うと開けられる可能性も否定できない
すると口に暖かく柔らかい感触
拒否権なんてなかった
完全に不意を突かれ声が漏れてしまいそうになる
恐らく私と純の距離は1メートルもないであろう
その緊張感といなかった間の寂しさがより快感となり焦らせ求めてしまう
そんな私を優しく抱きしめてくれる唯先輩
しかしキス&抱きしめじゃ息が続かない
意識していたのに声が漏れてしまう
梓「はぁ・・・はぁ・・・」
純「誰かいるの?」
やばい、これは唯先輩の写真集を親に見つかるよりもっとやばい
すると唯先輩は悪戯な顔でウインクした
私はそれだけで何が言いたかったのかすぐわかった
つづきはあとでね と
白い世界へと吸い込まれた瞬間純が入ってくる
間一髪だ
悪いけど今日はお休みにしてもらうね
だって唯先輩と・・・ね end


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最終更新:2011年07月09日 00:10