ブボッ
やってしまった
唯先輩の部屋で二人で過ごす日曜日
ギターの練習したり、他愛ないお喋りしたり
合間に唇を重ねたり、抱き締められたり抱き締め返したり
付き合い始めて2ヶ月程経っていて、少し気を抜いてたのかも知れない
唯先輩はベッドでぺらぺらと雑誌を読んで、わたしは床に座ってむったんを掻き鳴らしていた
あ、出そうだな、と意識した後
トイレに行く振りをして取り敢えず部屋の外に出ようか
このままスカせるか
などと考えてしまったのがまずかった
さっさと部屋から出てしまえばよかったんだ
立ち上がろうと力を入れた瞬間、無情にもわたしのお尻からはよりによって可愛いげの欠片もない音が出てしまった
死にたい
それだけだった
嫌な沈黙が部屋を支配する
恐る恐る唯先輩に視線を移すと、先程と変わらずにうつぶせで雑誌を読んでいる
聞こえない振りをしてくれているのは解る
聞こえなかったはずがない
それほどまでに、先程のその音は大きかった
せめて笑ってからかって欲しい
もお、あずにゃんったらあ、って
駄目だ、明日、死のう
さようなら唯先輩、むったん、トンちゃん、お父さんお母さん、先輩方、さわ子先生、憂、純、和先輩
プウ~~スッ
頭の中で遺書を書いていると、不意にそんな音が聞こえた
「へっ?」
間抜け過ぎる声を出して唯先輩を見ると
「えへへ~おならしちゃったあ」
と、いつものふわふわした笑顔で頭を掻く
ズルいです
そんなのズルいです
「
あずにゃん」
唯先輩が声をかける
「は、はい?」
相変わらず間抜けな声で返事をする
「わたし達、くさい仲だね」
へへ、と笑う唯先輩に、バカですか、とこれまた可愛いげのない事を言いそうになって口をつぐむ
「あずにゃん?」
黙ったままのわたしに、唯先輩は先程とは違う声色で話しかける
「ズルいです」
「ほえ?」
「唯先輩はズルいです!おならの音まで可愛いって何なんですか!」
わたしなんてブボッですよ?ブボッ
それに比べて何なんですか本当に
どこまで可愛くて・・・優しいんですか、あなたは
「あずにゃんも可愛いよ」
気が付くと、唯先輩に抱き締められていた
「可愛くなんかないですよ」
そう呟きながら、力を抜いて唯先輩に身を委ねる
「ほら、可愛い。いい子、いー子。」
肩にかけたままのむったんが少し邪魔だな、と思ったのは内緒
おわり
- なんだこれwww -- (名無しさん) 2013-08-02 00:43:55
最終更新:2011年11月15日 00:40