今日も
あずにゃんを送り狼してから家に帰ると和ちゃんが遊びに来ていた。
相変わらず憂は和ちゃんにべったりだ。
もう困るなー、憂ったら。
和ちゃんが遊びに来るならメールしてっていつも言ってるじゃん。こないだみたいになったら困るでしょ。
帰って来たら妹と親友が濃厚なlovely女王様love中だったなんてさ…
私も困っちゃってあずにゃん家に避難して、あずにゃんとレッツゴーをデュエット(性的な意味で)するしかなかったよ!
とりあえず今日はサドマゾプロローグとかじゃなかったみたいだから助かった。
なんか和ちゃんが私に話があるみたい。憂は和ちゃんの隣りに座って、なんだか緊張してるみたいだよ。
「唯、落ち着いて聴いてね…その…憂に赤ちゃんが出来たのよ…私の」
落ち着けって言うほうが無理だっつーの。お前、頭良いのか悪いのかどっちなんだよ、眼鏡女郎。
「え!赤ちゃん!?赤ちゃんが出来たの?!で、でもどうやって??」
女の子同士じゃ子供が出来ないことはさすがに私だって知ってるよ。
…と、そのとき、私の脳裏にちょっと前の憂の呟きが浮かぶのだった。
「そう言えばiPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです」
そんなこと言いながらたまごくらぶを読んでた憂…
あれは目の前でペロペロむちゅちゅ~する私とあずにゃんをからかってるんだと思ってたけど、そうか、そう言うことなのかー
でも、これは良いことを聴いたよ!女の子同士でも赤ちゃんが出来るんだもんね!私も…私もあずにゃんと…っ!!
(私とあずにゃんの赤ちゃん…ふたりの名前から取って椎なんてどうかな?!)
まだ和ちゃんと憂がなにか言ってたけど、私の頭ん中はあずにゃんとの幸せな家庭計画でもういっぱい!
待っててね、あずにゃん!一緒に幸せになろ~ね!
よくじつ!
ウキウキ気分で学校にやって来た私にムギちゃんが鼻血と涎を垂らしながらにじり寄って来た。
「おめでとう、唯ちゃん!憂ちゃんと和ちゃんに赤ちゃんが出来たみたいね!」
やだなー、ムギちゃんてば~。また人んちピーピングしてたんだね。
ダメだよ!少しは懲りないとー。
こないだりっちゃんと澪ちゃんのふわふわ時間覗いてしばかれたばっかじゃん。
ゲヒヒとかナヒヒとかあんまりうるさいムギちゃんを黙らせる為にさわちゃん先生を呼び出したんだけど、これはちょっと失敗だったかも。
さわちゃんたらムギちゃんにちゅ~して黙らせただけじゃ飽きたらず、その場でマッディキャンディしちゃうんだもん。
他の先生に見つかっちゃったし、こりゃ減俸かな。あ、ムギちゃんが裏で手を回すから大丈夫なのか!
ちょっと口では言えない状態になってきたムギちゃんとさわちゃんを置いて、私はあずにゃんの待つ音楽室へてくてく向かう。
途中、澪ちゃんを巡って血みどろの格闘を繰り広げるりっちゃんと生徒会長さんを見掛けたけど、ガン無視。
生徒会長さんがギャリック砲を撃とうとしたときはさすがに焦ったけどね。
りっちゃんと澪ちゃんの石破ラブラブ天驚拳が無かったら会長さんに学校吹っ飛ばされてたよ。
「あ、唯先輩♪」
音楽室では私の嫁ことあずにゃんが待っていた!
私の顔を見つけた途端、花が咲いたみたいに笑顔になるんだもん。軽くペロペロしちゃっても仕方ないよね!
あぁん、もう可愛いなぁ、あずにゃんはぁ♪
「そう言えばiPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです」
乱れた着衣を直しながら、あずにゃんはそんなことを私に言った。
まさに私が「赤ちゃん作ろっ♪」って言いかけたそのときだよ。ばっちたいみんぐとはこのことだよね!
「憂から訊いたの?」
「正確にはムギ先輩からです。顔合わせた途端にじり寄って来て…憂にはその後報告を受けました」
「そっか~」
それからあずにゃんは私と向き合って、私の唇に自分のを重ねて来た。
「…私、唯の赤ちゃんが欲しいですよ」
顔を真っ赤にしてとても嬉しいことを言ってくれる梓。これはあれだよね、プロポーズって考えてもいいんだよね!うっしゃぁぁぁッ!おぉっしゃあああぁぁぁッ!!
感動のあまり、それから二回ほど梓をチューニングしてしまった。
「でも…今はまだそのときじゃないと思うんです」
私の腕に抱かれながら、梓は息も絶え絶えにそう付け足した。
「えぇ~、私は早く欲しいなぁ、ふたりの子供。梓の赤ちゃんだもん…可愛いんだろうなぁ」
「そりゃ私も欲しいけど…わがまま言わせて貰えるなら、もう少し唯とふたりの時間を楽しみたいんです」
「梓…」
「赤ちゃんが出来たら時間とか色々大変になるじゃないですか。その時間も幸せなんでしょうけど、でも…」
私の腰に手を回してきゅっと抱き締めてくれる梓。まるで誰にも渡さないぞって宣言してるみたいで…
「もう少し、唯とふたりきりの時間を大切にしたいんです。…だめ、ですか?」
そんな梓が愛し過ぎて、私はまたしても梓をニャンニャン鳴かせちゃうのでありました!
梓の気持ち、ちゃんと伝わったよ。ふたりきりの時間、もっともっとも~っと大事にしようね、梓♪
更によくじつ…よくじつ?
あれ?えぇ?気付いたら私は自分のベッドの上にいた。
お、おかしいよ?えっと…私、ついさっきまで梓をぎゅ~ってしていて…なんで自分んちに?
「あ、お姉ちゃん起きてたんだ。おはよー」
憂も憂で何事もなかったように朝の挨拶をしてくるし、一体、何がなんだか…
「ねぇ、憂。憂って和ちゃんの赤ちゃんができたんだよね?」
「い、いきなり何言ってるの、お姉ちゃん!?そんなわけないでしょ!?」
あ、あれー…?一昨日はあんなに嬉しそうに報告してきたのになぁ…
て・いうか、これってもしかして…
「だ、大体、私と和ちゃんは節度のあるお付き合いをしてるんだし、することと言っても首輪で散歩くらいで…って、お姉ちゃん??」
「ま、まさかの夢オチ…」
う、うそぉ…ムギちゃんのゲヒ笑いとかギャリック砲とかすごいリアリティあったのになぁ…
「うぅ…あずにゃんとの赤ちゃん…しいちゃん…」
今更ながら自分がとんでもない夢を観ていたことに赤面しつつ、でもやっぱりもったいなかったりして…
「朝から元気ないみたいですけど、何か悪い夢でも観たんですか?」
「悪い夢じゃなかったんだけど…むしろ良い夢だったんだけど…だからかなぁ…」
いつもみたいにあずにゃんを迎えに行って、軽くペロペロしてからふたりで登校。
考えてみたら、こーゆー時間的な順序がしっちゃかめっちゃかだったもんね、昨夜の夢。
そっかやっぱり夢だったんだな…
「知ってますか、唯先輩」
へこんでる私にあずにゃんがそう話しかけて来た。
繋いでた手にちょっと力が込められた。およよ。何か大切なお話なのかな?
「そう言えばiPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです」
真っ赤になったあずにゃんは更に私に…
「…わ、私、ゆ、唯との赤ちゃんだったら――」
(正夢オチ?)
最終更新:2010年03月27日 13:43