純「あーずさ!ちょっとお願いがあるんだけど!」
梓「え、なに?」
純「今日のジャズ研の練習に梓と唯先輩に出てほしいんだけど、だめ?」
梓「へ?なんで唯先輩?」
純「いやあ、こないだの1年連中がまたギター教えてほしいって言ってるんだけどさ、どうせなら二人一緒の方がいいかなって」
梓「まぁ断る理由はないし別にいいけど…ていうか澪先輩はいいの?」
純「だって澪先輩がいたら絶対まともに練習できないもんあんなかっこいい人が横にいるって考えただけでどぎまぎするっていうかさでも別にやりたくないわけじゃないんだよただ私ごときがあの澪せ

というわけで、その日の放課後私と唯先輩はジャズ研の部室へと行くことになった。
こないだの律先輩の一件から見ても唯先輩がまともに練習を教えられるかどうかは大いに疑問だけど、少なくともマイナスになることはないよね。
教えることを通して自らの技術を磨く…うん、間違いなく唯先輩のためになるはず!

唯「いやあ、まさか私が教えるのを頼まれるなんて♪」
梓「唯先輩はお手本やってください。私がその説明をしますから」
唯「えぇ、私だってちゃんと教えられるよ?」
梓「さ、じゃあ行きますよ」
唯「無視!」


梓「はい、それじゃここ唯先輩が今から弾くからゆっくりやってみてね。唯先輩、スローテンポでお願いします」
唯「うぅ…あずにゃん、さっきから私全然教えてない…ていうか私が練習してるみたいだよぅ…」
梓「簡単なフレーズばっかなんだから文句言わないでください!じゃあ…」
後輩1「あの私、平沢先輩に一曲演奏してほしいです!」
後輩2「新歓でやってたグルグルするの、もう一回見たいです!」
梓「ああごめんね、唯先輩最近また練習だらけてたし、弾きたがらないと…」
唯「そこまで言うならしょうがない…特別に弾いてあげよう!私の必殺技にちびっちゃダメだぜ!?」
梓「なっ…!」

そう言うと唯先輩はノリノリでふわふわ時間を弾き始めた。もう、いつも私が言ってもなかなかしないくせに…

ジャーン…ジャーン…ジャーン…ジャーン…

唯「どうだー!」
後輩1「な、なんかかっこいいです!」
後輩2「すごく斬新です平沢先輩!」
唯「ふふ、君たちはなかなか見る目があるねぇ!」
梓「唯先輩、気が済んだら早く練習を…」
唯「特別にもう一曲演奏してあげよー!」
後輩1・2「わー♪」
梓「……」


…唯先輩、いやに張り切ってる。
やっぱり後輩からもてはやされるのは嬉しいのかな…私もそうだったし。
実際唯先輩の演奏は勢いがあって盛り上がるし、あの人柄もあって好かれるんだよね。
あまり先輩らしさがないから逆に親しみやすいっていうか、不思議な魅力があるっていうか。
でも、なんていうか…唯先輩は…

後輩1「すごかったです平沢先輩!」
後輩2「さすがですね!」
唯「いやぁ、それほどでもあるっていうかぁ~♪」
梓「…唯先輩、そろそろ音楽室に戻りましょう。皆待って…」
唯「まだ大丈夫だよー。そうそう、私のことは唯先輩でいいよ!あずにゃんもそう呼んでるから」

後輩1「じゃ、じゃあ唯先輩…もっと教えてほしいです!」
唯「いいよー♪どこ?」
後輩2「えっと…」
梓「め……」
唯「え?あずにゃんなんか言った?」
梓「だめー!!」
唯「へ?」
梓「唯先輩は私だけの唯先輩なの!!軽音部員でもないのに、あんまりべたべたしないで!」

…静寂。部室にいる人の視線が一気に集まるのを感じて、ふと我に返った。
あれ…わ、私いま何を…?

後輩1「す、すいません…」
後輩2「お二人がそういうご関係なんて知りませんでした!」

梓「え…?」


梓「ち、ちが…!」
唯「あっずにゃーん!!」

なにか弁解をしようとしたところで、唯先輩にいきなり抱きしめられて息が止まりそうになる。
ああもうこれは何を言おうと意味ないな。
直感的にそう感じて大人しく唯先輩の腕の中に収まることにした私は、なかなかいい判断をしたんじゃないだろうか。

唯「ごめんねごめんね、私浮気したわけじゃないんだよ、私の一番好きな後輩はいつでもあずにゃんなんだからね!」
梓「そ、そんなこと…言われなくてもわかってます」
唯「てことで皆さん、私たちは愛の巣に帰ります!それでは!」
後輩1・2「お幸せにー!」
純「今度来たときは私にも少しは絡んでくださいねー!」

―――――

そして私たちは部室へと向かっていた。しっかりとお互いの手を握って。

唯「あずにゃん、いじけないでね?私はホントにあずにゃんのこと」
梓「わかってます!多少浮かれるくらいは、誰でもあります。…でも」
唯「?」
梓「…ちゃんと、安心させてほしいです」
唯「…どうすればいいのかな」
梓「…私としか、しないこと…」
唯「ふふ…わかってるよ。」

唯先輩は私に顔を近づけながら、優しく囁いた。

唯「大好きだよ。あずにゃん」

END


  • 愛の巣って…あ!あと純に絡んであげてください。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 02:23:56
  • 純www -- (名無しさん) 2013-01-23 15:56:35
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最終更新:2010年05月12日 21:08