「ほら唯、起きてってば」
「ん……あと10分……」
「それさっきも言ってたよ?」
 せっかく今日は二人でゆっくりできるのに、唯は一向に起きようとしない。
 しょうがないから奥の手を使おうかな……。
「ほら、唯先輩、起きてくださいよ」
 ぴくっ。
 まだ付き合う前の呼び方で唯に声をかけると、唯はぴくりと反応した。
「んぅ……あずにゃん……」
 と、こちらは付き合っても変わらない呼び方で返事をしてきた。
「さ、起きてください」
 反応したことに気をよくして、唯先輩の体に手を回すと、
「あずにゃんも一緒に寝ようよ~」
 逆に唯先輩の布団に引き込まれた。
「わわっ」
 油断していた私は、大した抵抗もできずに唯先輩の布団へと納まってしまった。
「ん~あずにゃんあったか~い」
 すりすり。
 そのまま唯に抱き抱えられ、頬ずりをされる。
「ちょ、ちょっと唯……」
 久しぶりの感触がくすぐったい。
「それじゃおやすみ~」
 と、そんなことを考えていると、唯はいつの間にか私を抱き枕にしてすやすやと寝息を立てていた。
「ちょ、ちょっと、唯?」
 言葉をかけても帰ってくるのは穏やかな寝息だけ。
 おまけに後ろから抱きしめられているから抜け出すこともできない。
「……はぁ」
 また、唯のペースに乗せられちゃったな……。
 だけどそれが心地良い。
 ……背中に唯の体温を感じながら、私ももう一眠りすることにする。
「――おやすみなさい」



Fin


  • ほっこりするね~ -- (あずにゃんラブ) 2013-12-31 02:28:15
  • 穏やかな雰囲気、好きです -- (名無しさん) 2018-03-22 12:01:49
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最終更新:2009年11月14日 02:19