「なに、これ…」
絡み合う二人の写真を見て、私はそう言うしかなかった。
だって
あずにゃんは私のものなんだよ。他の誰でもない、私だけのもの。
なのに、なのになんで澪ちゃんと…
「あ、唯先輩!どうですかね、私変じゃないですか?」
なんでそんな風に照れたりするの?澪ちゃんと一緒なのがそんなに嬉しいの?
「いやぁ、澪先輩と二人って緊張しますね。なんかドキドキしちゃいました!
澪先輩ってなんかあったかいんですよ。肌が重なるとぽかぽかしてるんです」
やめてよ。どうして真っ赤になってそういうこと言うの!?あずにゃんは、あずにゃんは…
「あれ唯先輩どうしたんですか?黙りこくっちゃって」
「……」
「あ、もしかして焼きもちですか?」
「…そんなんじゃないもん」
「そうですか?そのわりにさっきから泣きそうな顔してますね」
「……」
「ふふ、唯先輩もそういう顔するんですねぇ。私が澪先輩とくっついてるのがそんなに悔しいんですか?」
「わ、私は…」
「でも唯先輩だってよく私以外の人に抱きついてるじゃないですか。お互い様ですよ」
「違うよ、私はあんな風にしないもん!」
「違うって何が違うんですか?」
「う…」
あずにゃんはニヤニヤと私の顔を覗き込んだ。
たまらず私は目をそらして、また写真に視線を移す。
「ねぇ唯先輩、どんな風に違うんですか?」
「だから私は…こ、こんな風に押し倒したりしないもん」
「こんな風にってなんですか?」
「こ、こんなに近づかないし…」
「頬擦りまでする人がよく言いますね?ほら、私と唯先輩がどんな風に違うのかちゃんと説明してくださいよ」
「う…」
あずにゃんが押し付けるように差し出す写真を見ながら、私はある考えに至っていた。
あれ、これってまさか…でもあずにゃんはそんなことしないよね。だけど、もしかしたら…
悶々と考えているうちに、やがてその予想は的中していることに気付くのだった。
「ほら、何とか言ってくださいよ?」
「あ…あずにゃんは…私以外とこんな風にくっついちゃだめなんだよ…」
「へぇ、ずいぶん勝手なこと言いますね。自分は誰彼構わず抱きつく癖に」
「違うもん!あずにゃんは私のなんだから、私にだけ抱きつかれてればいいの!」
「ふふ…やっぱり焼きもちじゃないですか」
「だ、だから…」
「いい加減…認めてくださいよ」
「!!」
あずにゃんは私の頬に手を当てて、そっと呟いた。
「唯先輩が誰かに抱きつくと、私はいつも焼きもちやいてるんですよ?唯先輩だってやいてくださいよ…」
「あずにゃん…」
あずにゃんは寂しそうな目をしてうつ向いた。
そっか、やっぱりあずにゃんは私に焼きもちやいて欲しくて澪ちゃんとあんな写真撮ってたんだね…
「…うん、私焼きもちやいてたよ」
「先輩…」
「だからもうあずにゃんのこと離さないからね。もうあんな写真撮って欲しくないから」
「…ずっと、離さないでくださいね」
「…うん」
あずにゃんは私のもの。そして私はあずにゃんのもの。ずっとずっと、こうして抱き合っていようね。
おわる
- だめだよ、澪しゃん? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 10:54:21
最終更新:2010年06月02日 20:19