「澪ちゃんりっちゃんのロミジュリに対抗して、けいおん部では三銃士の劇をやればいいんじゃないかしら!」
ムギ先輩がまたろくでもないことを言い出した。
この人、普段は常識人なのに一度頭のネジ外れるととことんだからなぁ…
「いやいや、軽音部なんだからバンドやるべきじゃないか?」
「実は夜な夜な脚本を書いていてね、配役までもう決めてあるの!」
ここまで完璧に無視するといっそ清々しいですね。
止めようとして見事にシカトされた澪先輩、律先輩の胸にダイブです。
「三銃士って昔アニメでやってたやつだよね。ケロケロけろっぴの」
よりにもよってそっちですか。NHKのほうじゃないんですか。
唯先輩ったらお茶目さんで可愛いなぁ♪
「アレクサンドル・デュマの長編小説ですよ、本来は。日本ではアニメや人形劇で有名ですね」
「おー、
あずにゃん物知りさんだね~。さすが私のあずにゃんだよっ」
いつから私は唯先輩のものになったんですか?もちろん生まれたときからです!
唯先輩にスリスリされてイケない気分になってきた私を
ムギ先輩はやっぱりハァハァしながら凝視していやがりました。
「やっぱり主人公は梓ちゃんしかいないわね!あずタニャンの誕生よ!」
えっ!?私がダルタニャン役!?先輩がたを差し置いてさすがにそんな大役は…
「ヒロインのコンスタンスは唯ちゃんよ。コンスタン唯ね!」
―やります(0.01秒)。やらいでかっ!
唯先輩がヒロインなら、主人公を務められるのは私以外に誰がいますか!
あ、不届きにも立候補するバカがいるなら生きて来たことを後悔するような目に遭わせてやりますからね。
「えー、私ダル役がいいなー。剣使って戦うのとかかっけーし!」
うっせーし!お前は黙って澪先輩とちちくりあってろ!
このデコ助野郎め、私のリストに名前載ったからな。覚えていやがれです。
「心配しないで!りっちゃんにはアトス役をお願いするわ。アト律よ!」
「ぴったりじゃないか、律。すごく似合ってるよ!」
「澪ちゃんはアラミス、つまりアラ澪ね。力のりっちゃんと知恵の澪ちゃんって感じでバランス良いと思うのよね、百合的に」
「バ、バランスって…私はもっと目立たない役のほうが…」
「そんなこと言うなよー。私たちのラブラブっぷりをまた舞台で見せつけてやろーぜ~」
「り、りちゅうぅぅぅ」
私の記憶が確かならアトスとアラミスはそんな仲じゃなかったと思うんだけど…
ていうか、本当にそんな仲だったらムギ先輩と真反対にいるお姉様方大騒ぎですよ。腐りますよ。
「この流れだと私はトレヴィル隊長でしょ?いーわよいーわよ、どーせ私は年増ですよーだ」
「さわ子先生ったら…頼りになるからこそ隊長任命なんですよ、さわヴィル隊長♪」
「嬉しいこと言ってくれるわね。頼りにしてもらえるのは、例えばど・ん・なところかしら?」
「あっ…やっ、も、もう…さわヴィル隊長ったら…みんなの前でそんなとこさわっちゃ…くふぅっ」
「縁の下の力持ちだし、ムギちゃんがポルトス役なのよね?ポツムギなんてどうかしら?」
「あっ…ああっ…素敵…ふたつの意味で素敵です、隊長っ」
ポツムギってあんた…なんなんですか、ポツダム宣言ですか。
原型ほとんど留めてないっていうか、ただのムギ先輩じゃないですか。
「おっ、ポツムギとさわヴィルちゃん、おっぱじめなすったぜ!」
「私たちも負けてられないな。スパンキングのアト律と言葉責めのアラ澪の力を見せてやろう」
お前ら、三銃士読み直してこい。そしてアレクサンドル・デュマに泣いて謝れ。
あとさわヴィル隊長はいつまでもポツムギ先輩の眉毛をいじらないこと(性的な意味で)。
「あずタニャンとコンスタン唯がラブラブなのは原作通りだよね。問題ないよね~」
問題ありありですよっ!
もっと早く抱きついてきてくださいっ!一秒だって離れないでください!
「その他の配役はこんな感じ…かんじ…かっ…幹事長!」
ボナ純
リシュシュー曽我部
デービフォール
姫ディー
憂13世
とんヌ王妃
和ッキンガム
星野ナール夫人
「ポツムギ先輩、ポツムギ先輩」
「なにかしら、あずタニャンちゃん」
「大家のボナシューはダルタニャンとコンスタンスを引き裂こうとする悪役でしたよね。
どうせなら今すぐ斬っちゃっても問題ありませんよね?」
「無理やり連れ込まれた挙げ句にさんざんな言われようだわ!」
小うるさい毛ガニが なんかほざいてますけど、悪役何だから仕方なし。
だってボナ純ですよ?ボナで純なんですよ?ボナ純ジャンプとかフライングボナ純とか
わけわかんない能力で私の愛しいコンスタン唯にストーカー行為を働くんですよ?万死に値します!
ていうか、毛ガニの分際でコンスタン唯と夫婦って設定なんて!それだけですでにギロチンものです!
「あ!ねぇ、バザンていたわよね、アラミスの従者に。私、その役ならやってもいいわよ。アラ澪様に一生ついてくわ!」
ハァ?むしり取るぞ、毛ガニが!全宇宙で最も愛らしいコンスタン唯をさしおいてアラ縞パンだぁ?
鉄仮面被せてベルイール要塞に放り込むぞ!
「素人はこれだから困るのよね。自分の気持ちを押し付けるだけの身勝手さに真実の愛は生まれないわ。
澪たんの心がどこに向かっていてもそっと見守るのが真のファンよ」
意外や意外、リシュシュー曽我部、まともなこと言ってるし。
まぁ、実際、ストーカー行為やってたくらいだから全然まともじゃないんだけどね、
それでもどこぞのKY筆頭株主に比べたら良心的なくらい良心的です。
「リシュシュー曽我部って、枢機卿を曽我部に替えただけじゃん!漢字三文字ってとこしか共通点ないじゃん!」とか
突っ込みどころは満載ですけど…
「出やがったわね、元生徒会長いやさ日陰の便所虫!恋は後出しOKじゃん!
物陰でハァハァするだけで満足したからアラ澪様をゲットできなかったのよ!」
「うるっさい、死ね!」
「お前が死ね!」
澪先輩ってすごくかっこいいし、憧れちゃうよね…そんな風に考えてた時期が私にもありました。
コンスタン唯という生涯の伴侶を得た今はそんなの気の迷いだったって断言できるけどね!
それにさぁ…
「ねぇ、アト律ぅ…今日はコンデンスミルクを買ってきたんだ…」
「私のデコにぶっかけたいって言うんだろ?」
「だ、だめ?」
「悪ぃけど、今日はパスな」
「えっ!!ど、どうしてだよ!?他に好きな娘が出来たのか?そうなのか!?律刺して私も死ぬ!」
「今日も早とちりだなぁ、アラ澪ちゅわんは♪」
「えっ?あっ、あんっ!」
「今日は私が攻めるよ。たっぷりたっぷりコンデンスミルクを垂らしてさ、アラ澪の苺をペロリンチョ」
「ひゃあっ!いきなりカチューシャ解放モードは反則だぞっ!格好良すぎて気絶するだろ!」
「いいよ、トンじゃうアラ澪も可愛いよ」
「やだよぉ…アト律のかっこいいとこ、一秒だって見逃したくないもん」
中身、あんなだよ?ぶっちゃけ残念以外の何物でもないよ?
それにアト律先輩相手に勝てるわけないよ。
あの二人の間に割って入るってことは私とコンスタン唯の間に割って入るってのと同じだよ?
校長先生の出番が増えるくらい有り得ないよ。
ていうか、そんな輩がいたら滅殺だけどね!
「ちょっと、ムギ。配役を決めるのは勝手だけどノドカッキンガム侯爵ってのは語呂悪すぎじゃないかしら?」
「ごめんね、和ちゃん。それ、ワッキンガム侯爵って読むのよ。
そこはかとなくファッキンガム宮殿を彷彿させると思うんだけど…」
「………」
「和ちゃん、がんばって!」
「憂…そういえば憂も…」
「うん、憂(ウイ)13世…」
「…お互い支え合っていきましょうか」
「えっ?そ、それってプロポーズだったりするのかな!?」
「何言ってるのよ。そんなわけないでしょ」
「そ、そっか…そうだよね…」
「プロポーズなら子供のときに憂からして貰ったもの」
「…!!の、和ちゃん…覚えててくれたんだ…」
「当たり前じゃない。憂との想い出をどこかに置き去りにするような真似、私がすると思う?全てが大切な宝物よ」
「和ちゃん…」
和ッキンガム公と憂13世がくっつくなんて超展開があったらトンヌ王妃の立場ないよね。
いや、あっても困るんだけど。
ていうか、軽音部関係者以外もかなりの人数集まっちゃってますけど、どうするんですか、一体。
ムギ先輩のバイト先の人は辛うじて知ってますけど、なんかヤンキーっぽいのもいるし、
…あと、なんか公園とかに寝泊まりしていて、ユーフォニアムを使うっぽい娘がすっごいこっち見てるんですけど…
「姫ディーちゃんはねー、隣の席の子なんだー。結構仲良しなんだよ~。ギー太と私のラブラブな関係もわかってくれたし」
そう言っていかにもギャル系なケバいババァに抱きつくコンスタン唯…って、ちょっとちょっと!
目の前に恋人がいるって言うのに、なに堂々と浮気しようとしてるんですか!
「ゆ、唯先輩!その人から離れてください!早く離れて!!」
「えへへ~、あずにゃんたら焼き餅?」
「そうですよ!愛してますから!いや、それ抜きにしてもコンスタンスとミレディが仲良しなのはおかしいです!ライバル同士なんですよ」
「そうだっけ?」
「ダルタニャンを奪い合うんです!しかもミレディはコンスタンスに毒を飲ませて殺す役割なんですから!危険です!汚物なんです!」
「毒って人聞き悪いわねー。毒牙にはかけても毒なんか盛らないわよ」
「どくが?カットナルとかケルナグール?」
「性的な意味でかぁッ!?」
とうとう本性を表しやがりましたか!最初からおかしいと思ってたんですよ!
雌豚の臭いをプンプンさせながら、発情した目でずっとコンスタン唯を視姦しくさってやがりましたからね、この売女!
「毒婦!今すぐコンスタン唯から離れるです!」
「ふ~ん…見るからにチンクシャなあなたじゃ平沢さんも満足してないだろうし…ここは私が慰めてあげようかしら。
私たち相性良さそうなのよ、体のほうも」
「なにを…ズベ公ォッ!」
「なんだかんだ言ってもたかが後輩じゃない。私は同級生でしかも隣の席よ。
あなたの知らない平沢さんをよーーーく知ってるのよ」
手袋!手袋はありませんかどっかに!?今すぐこいつの豚っ鼻に手袋をぶつけるんです!
三銃士らしいでしょ!?決闘で白黒つけようじゃないですか!
「ふたりが何言ってるかよくわかんないけど、私とあずにゃんなら相性抜群だよ~♪」
さわヴィル隊長とだいぶふわふわ時間になってきたポツムギからサーベルを借りようと、
いや、より殺傷力の高いマスケット銃(に偽装したAKアーマライト) をふんだくろうとした矢先、
愛しのコンスタン唯が私に抱きついてきた。
コンスタン唯への想いがクライマックスだったせいか頬擦りされたときに軽く達してしまったのはナイショだ。
「ギターもそうだし、こうやって抱き合うとすっごく幸せな気持ちになるんだよ~」
「ゆ、唯先輩ったら~」
「だって、あずにゃんは私のお嫁さんだもん♪」
ぃよっしゃぁぁぁぁぁぁッ!!!!勝負あったぁッ!!!!見てください、雌豚のあの苦味走った吠え面ァッ!
そうなんですよ、たかが同級生に恋人が、いえ未来の嫁が負けるわけがなかったんですッ!!!!
ま、考えたら当たり前ですよね、私たち、体も心も相性バッチリなんですからね!
ちょっと胸がデカいくらいで良い気になるなです、ズベ公!
「あ、そうそう…梓」
「はい?」
「さっき姫ちゃんに本気で焼き餅焼いてたでしょ」
「それはその…唯が取られちゃうんじゃないか心配で…」
「焼き餅焼いて貰えるのは嬉しいけど、それって私を信じてないのと同じだよね」
私を抱きしめながら、顎を撫でてくる唯。その声はなんだかいつも以上に大人びていて………
え?もしかして二期ED版!?
「恋人の私を信じられないなんて、梓は悪い子だね」
「あ…ああ………」
「そんな悪い梓には押しおきだねぇ………」
―――っ!?こ、これはまさか………ドS唯覚醒!!
「梓の悪いところを並べ立てながら、じっくり責めてあげるね♪」
「あ、やっ………」
「唯は梓のために!」
「梓は唯のため…にゃあああぁぁぁんッ!!!!」
ごめんなさい、アレクサンドル・デュマ先生。
私たちの演じる三銃士は、あなたの書いた冒険活劇とはちょっと違う味付けになっちゃいそうです。
- デビちゃんがいたww -- (名無しさん) 2010-06-06 15:50:12
- 不覚にもアラ縞パンでふいたwww -- (名無しさん) 2010-06-19 22:55:44
- すげぇ超大作www -- (名無しさん) 2010-07-11 00:54:09
- あずにゃんの唯とその他の人物(特に純)の扱いの差が凄いなwwww -- (名無しさん) 2010-07-12 07:59:43
- 元ネタ知らないけどゆいあずが見れればいいよね! デュマさんも草葉の影で『ゆいあず最高!』って言ってるさ!! -- (名無しさん) 2010-07-31 20:46:12
- 最高やなd=(^o^)=b続き無いの? -- (名無し) 2012-08-15 21:01:56
- 今度は白雪姫で…。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 11:08:53
最終更新:2010年06月02日 20:19