あずにゃん、おいで」

ベッドの上で両手を広げる唯先輩に、私は迷わずダイブを決め込んだ。
すると、唯先輩はぎゅうっと包み込むように私を抱きしめ返し、おまけに頭をなでなでしてくれるサービスつき。
思わずふにゃんっとだらしなく頬が緩んでしまう。あぁ、この瞬間をどれだけ待ち望んだことだろう。
私はやがて、全身の力が抜けていくのを感じながら、その全てを唯先輩に委ねていった。

「えへへ、部活の時とはまるで別人だね。こんなあずにゃん、きっと世界中で私しか知らないんじゃないかな?」
「きっとじゃなくて、絶対です。親にだって、こんな甘え方はできません。後にも先にも唯先輩だけですよ」
「嬉しいこと言ってくれちゃって。これだからあずにゃんは好きで好きで堪らなくなっちゃうよ♪」

唯先輩は『お礼だよ』と私の首筋にちゅぅっと吸いついてきた。

「んっ…!」

私はビクッと身体を震わせ、その刺激に慣れるためにきゅっと目を瞑った。

「あずにゃんは部活の時もずっとこうされたかったんだよね?ごめんね、我慢させちゃって」
「そ、そういう唯先輩だって、本当は早く抱きつきたくて大変だったくせに…」
「うん、ほんとは放課後あずにゃんに会った時からずっとこうしたかったんだけど、
 あずにゃんも我慢してるってこと知ってるから、私も頑張らなきゃって思って……でも辛かったよ」
「お互い苦労してるんですねぇ……」
「だ・か・ら、もう我慢しなくていいいもんねー♪」
「うにゃっ」

唯先輩は私に勢いよく覆いかぶさると、タガが外れたように容赦なく抱きしめまくる。
身体の使える部分は余すことなく利用し、密着していない身体と身体の、僅かな隙間さえも許さない。
私も負けじと抱きしめる力を強くしていく。唯先輩に負けないぐらいに強く、強く、強く、強く、強く………。

「ふにゃぁ…」
「あれ、あずにゃんもうダウン?」
「くっ……なんの、これしき……」
「ほい♪」
「んにゃぁっ!?」

理性を取り戻しつつある私に、唯先輩は無情にも追い打ちをかけてくる。
正直、理性なんて保てたもんじゃない。私の身体は、唯先輩の攻撃を受けた部位から使い物にならなくなっていく。
そして、とうとうその猛威は、私という人間を構成し、制御している頭のほうにまで進撃してきて、

「ふにゃぁ…」
「あれま」

結局、私はなす術もなく唯先輩に抱き伏せられてしまった。
ベッドの柔らかさと唯先輩の柔らかさに挟まれて、豪華なサンドイッチができあがっている。幸せすぎて死にそう……。

それから、完全に思考回路がマヒしだした私は、本能的にもっともっとと唯先輩を求めはじめていった。

「なに?あずにゃん」
「ん……ん……」

しかし、未だに余裕の色を見せつける唯先輩は、意地悪な笑みを浮かべてこう言う。

「あずにゃん、上目遣いだけじゃわからないよ?ちゃんと口で言ってくれなきゃ」
「やぁ……そんな、意地悪しないでよぉ……」

私はいやいやと首を振って、赤ん坊が母親に抱っこをせがむように、両手を差し出しておねだりしている。
でも、それでも、唯先輩はまだ足りない言う。これ以上、虐めないで……。

「じゃあ言って?そしたら、あずにゃんの願いはなんだって叶えてあげる」
「うぅぅ~…」

この期に及んで、持ち前のプライドがそれを阻止しようと邪魔をする。
こんなのは不本意だ。本当は早く唯先輩に抱きしめてもらいたくて、うずうずしているのに。
充分に火照ってしまった身体は切ないぐらい唯先輩を求めて鳴いているのに。
もう……ムリ……死んじゃう……。

「ゆい、おねがい……もうムリ、だからぁ……いっぱい、いっぱい抱きしめてぇ……もっと、私を愛してよぉ」

私はポロポロと涙を零しながら懇願した。
もう、自分がどんな言葉を口にし、どんな表情を向けているのかさえわからない。
なにも、考えられない……。

「ごめんね、あずにゃん……ちょっと意地悪し過ぎちゃったみたい。辛かったよね?」
「ぁ………んむっ……」

すると、唯先輩は優しく微笑むと、自分の唇を私のそれに静かに重ね合わせてきた。柔らかい…。

「んんっ!!?」

瞬間、私の身体に、今まで溜めこんできた快感の波が、津波のごとく一気に押し寄せてきた。
頭は痺れ、視界はチカチカと点滅する。

あぁ……蕩けちゃう……

「ん、ぴちゅ……ちゅ、んむぅ……」
「ん……ちゅむ…ちゅ……」

絡みついた舌と舌どうしが、滅茶苦茶に口内を愛撫し、暴れまわる。
私はただ一心不乱に、唯先輩を求めることしかできない生物と化していた。



そこから先のことは……よく覚えていない……。





おわり


  • 泣きながら甘えるあずにゃんが良すぎる -- (名無しさん) 2010-07-21 15:21:29
  • 鼻血が・・・ -- (名無しさん) 2010-08-02 10:02:39
  • 泣いて甘えるあずにゃんに白旗…(- -) -- (名無しさん) 2010-08-17 15:36:46
  • 唯先輩いけ -- (あずにゃん) 2010-12-30 15:10:24
  • あずにゃんキモい -- (名無しさん) 2010-12-31 02:42:16
  • ↑ふざけ、あとあずにゃん可愛いよ…鼻血問だ -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 11:18:26
  • 唯梓は正義 -- (風吹けば名無し) 2016-06-19 12:43:13
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最終更新:2010年06月02日 20:21