ここは街の一角にあるとある喫茶店。
知り合いも少ないし、人通りも少ないしということで、
いつのまにやら行きつけのデートスポットのようになっている。

「はい唯先輩、あ~んです♪」

そして私は、あずにゃんに差し出された生キャラメルソフトと対峙していた。
むむ、こいつできるな、などと意味のわからない敵意を差し出されたソイツに向け、
意を決して口を開ける。あずにゃんは相変わらずご機嫌の様子だ。

「おいしいですか?」
「ん…おいひぃ…」

口の中で広がるあま~い口溶けに、頬に手を当てて身悶えする。
もう一口お願いします。

「じゃあ交代です、あ~ん」

しかし、その願いは届かず、あずにゃんは差し出した手を引っ込める代わりに、
先ほど私がそうしたようにあ~んと控えめに口を開いた。

「はい、あ~ん♪」
「あむ…」

あずにゃんのお口が可愛く動く。あずにゃんのお口の中では、
私が感じたのと同じような、甘く艶めかしい世界が広がっていることだろう。

あずにゃんが食べ終わるのを確認すると、その口周りにはベッタリとアイスがついていて…。
これはさすがに、早く拭ってあげなければ人目をひいてしまうレベル。
私はすかさず、テーブルに置いてあったおしぼりを取り出すと、あずにゃんの口元に近付け…

「なにするんですか…」

…れなかった。
あずにゃんがぷいっと顔を逸らしたからだ。

「え、だって、あずにゃんのお口についたアイスを……」
「それなら、もっといい方法があるじゃないですか……ん」

いやいやいや待ってあずにゃん?
まさかここでそれをやれと?
まあ確かに私たちの間ではお約束な展開だろうけど、
さすがにこの場所では………あ。

今なら誰も見ていない。というか、お客さん誰もいない。
やれる……いまならやれるっ

私はテーブルから身を乗り出し、唇を差し出したあずにゃんの口元に、
そっと舌を這わせていった。うん……甘い。

あずにゃんは目を閉じて、私がその全てを舐め取るまでじっとしていた。
私の舌が、あずにゃんの口周りをくすぐる度に、くすぐったそうな、
そしてどこか色っぽい声が、耳をくすぐって染みついていく。
あ………ワタシ、ヤバイ………

「んむっ…!?」

ごめんね、あずにゃん……どうやら私がムリでした、いろいろと。

わずか10秒ほどではあったけど、しっかりあずにゃんの唇を堪能すると、
私は満足したように唇を離し、「御馳走さま♪」と悪戯な笑みを送った。

「すみません、わたし……ちょっとお手洗いに…」

あずにゃんは口元を手で押さえながら、
赤く火照った顔でそう言って席を立つと、足早に掛けて行ってしまった。


私の勘が告げている。あずにゃんはしばらく戻ってこないと…。




ちょっと悪いことしちゃったかな……。





おわり


  • もうこのラブラブカップルめ! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 11:21:09
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最終更新:2010年06月02日 20:21