せっかくの休日だからということで唯先輩の家でギターの特訓。
…のはずだったのに唯先輩はゴロゴロしてばかりで、あまり効果はなかったかもしれない。
「ほら唯先輩、もう一回やりますよ」
「唯先輩は疲れるほどやってませんから。ずっとソファと床で交互にゴロゴロしてただけじゃないですか」
「だけじゃないよう…あ」
「…どうしたんですか?」
唯先輩は何かを発見したようで、パッと顔を上げた。
「雨、強くなってきたね」
さきほどから振り出した雨はあっという間に強くなり、雨音がはっきりと聞き取れるほどになっていた。
「そういえば、雨音激しくなりましたね」
「憂、大丈夫かな…」
「傘は持ってでたようですけど、こう強くなると心配ですね…」
「あ、そうだ、2階の窓閉まってるか見てくるね」
「はい」
唯先輩がリビングから階段へ歩きだそうとしたときだった。
窓から目がくらむような光が差し込むと共に、窓が揺れるほどの音が鳴る。
「にゃっ!?」
思わず声を上げてしまい慌てて口をおさえる。
「大変、大変、早く確認してこなくちゃ」
「あ………」
唯先輩は駆け足で階段を駆け上っていってしまった。
「どうしよう…もう雷、鳴らないよね…」
祈るように言葉をつづったがそんな簡単にはいかず、雷はしばらく続いた。
どうすることもできずにソファに座って縮こまる。
「ふぅ、よかった窓閉まってたよ…ってあずにゃん?」
ソファで縮こまっていた私に気づくとすぐに隣へと駆け寄ってきた。
「ちょっと涼しくなってきちゃって」
「たしかにちょっと涼しくなってき…」
今日一番ともいえる雷鳴が轟いた。
「にゃっ!?」
私は思わず唯先輩に抱きついていた。
「あずにゃん…雷、怖かったりする?」
「怖くなんてないです!…ただ…その、少し苦手なだけで…にゃっ!?」
またしても雷鳴。
離れかけていた身体をすぐに戻すように唯先輩に抱きつく。
「よしよし、大丈夫だよ~」
頭を撫でられ少しだけ安心してしまう私がいた。
「唯先輩は雷怖くないんですか?」
「怖くないって言ったら嘘になっちゃうかな」
「でも全然平気そうですけど…」
「あずにゃんが怖がってるのに、私も怖がってたらあずにゃんを守ってあげられないもん」
そう言って笑いかける唯先輩を直視できずに顔を伏せる。
「あり…がとうございます…」
嵐が収まるまで私は、唯先輩に抱きついていた。
雨脚が弱くなり最後には雲の隙間から日光が差し込んだ。
「あ、やんだかな?」
「の…ようですね」
少し名残惜しい気がしたが、唯先輩から離れ外の様子を確認する。
さっきまでの雨は嘘だったかのように晴天が広がっていた。
「おお、すっかりいい天気になったね」
「はい、憂も帰ってこれそうですね」
「うん、あ、そうだバスタオル用意しておこうっと」
「あ、あの、唯先輩」
「なぁに、あずにゃん?」
「あの…雷のときじゃなくても、たまにはさっきみたいにしても…いい…ですか?」
「うん、いいよ~」
唯先輩はパタパタと足音を立てながらバスタオルを取りに走った。
「あ!そうだ、あずにゃん!」
「どうしたんですか、そんなに慌てて」
「確認しないと」
「2階の窓ですか?それなら…」
「違うよ、おへそだよ、おへそ」
「おへそ…ですか?」
「そうだよ、雷様に取られてないか確認しないと」
唯先輩はTシャツをめくり上げおへそを私に見せる。
「な、なにやってるんですか!?」
「だから、確認だよ、私のおへそちゃんとついてる?」
「ついてます!ついてますから早くしまってください!」
「ふぅ、よかったぁ、じゃあ次はあずにゃんの番だよ」
「だ、大丈夫です、ついてます!」
「ほら、ちゃんと見せないとわからないよ」
「わかります、わかりますから!」
「だめだよ、ちゃんと確認しないと!」
「にゃっ!?」
唯先輩は私に飛び掛るようにおへそを確認しにきた。
「ただいま~」
リビングのドアが開き、現れたのは飛び掛った人の妹の平沢憂。
その目に飛び込んできたのは、自分の姉が自分の友達の服を無理やり脱がそうとしている場面。
「え~と、私ちょっと外で虹でも探してくるね」
「憂--------------------!!!」
おわり
- さすが憂www -- (名無しさん) 2010-10-17 01:14:46
最終更新:2010年10月10日 17:39