「ただいまー、あずにゃーん」
「おかえりなさい……って、あれ?ちょっと待ってください!」
今日の帰りは遅くなるとは聞いてたけど、これってもしかして……
唯先輩に近づいていって匂いを嗅いでみる。
「……唯先輩、他の女の匂いがします」
「えー、そっかなー?そんなことないよー?」
「嘘です。お酒とタバコの匂いもしますし……唯先輩も顔真っ赤じゃないですか」
まだ未成年のはずなのに。
「えーっと、なんだっけ?ごーこんってやつー。りっちゃんに誘われちゃってねぇー」
「もう!なんでついて行っちゃったんですか!?」
「なんでって……お菓子とか食べれるって聞いたから……」
律先輩……とりあえず、澪先輩に連絡してお灸をすえてもらわないといけないですね……
あの人もホントに懲りないですね。この前も澪先輩怒らせて部屋に3日間入れてもらえなくなったばっかりなのに……
結局唯先輩の部屋に泊まっていったんですよね。
「……はぁ、もうついていっちゃダメですよ?未成年なのにお酒まで飲んで……」
「ええー?お菓子おいしかったのに……お酒は苦かったけどねー」
「とにかく、ダメなものはダメなんですっ!」
口調はビシッとしてるけど、お酒が入ってるせいか随分ふにゃふにゃな敬礼だった。
「もう、今回は許してあげますよ」
唯先輩の可愛さに免じてです、とは口が裂けても言えませんけど。
「……あのー、あずにゃん?///」
「?どうしましたか、唯先輩?」
「今、その……可愛さがなんとかって……///」
頭が真っ白になる……
えっと……こんな時は……
「い、嫌だなぁ唯先輩!人の心の中勝手に読まないでくださいよー///」
「でも、あずにゃん。口が裂けても言えないーって言いながら思いっきり言ってたよー?」
「ぅ……あうぅ……」
……ダメだ……これ以上反論できない……
「あのー、唯先輩?これは、その……なんといいますか……その……」
「いいよーあずにゃん。そんなに照れなくたってぇー」
うぅ……言い返したいのに言い返せないよ……
「それにー、ごーこん行ったっていうのも、私のこと心配して怒ってくれたんだよねー、あずにゃん?」
「だって……唯先輩は可愛いから
合コンでも引っ張りだこでしょうし……それに……」
……いや、何言おうとしてるんだろう……こんなの流石に恥ずかしすぎて言えないよ……
「『……私という女がいるのに……唯先輩の馬鹿ぁ!』……でしょー?」
「……唯先輩、それ、自分で言ってて恥ずかしくないですか?」
「いやーそうなんだけどねー///でも、当たってたでしょー、あずにゃん?」
「うっ……はい……///」
……なんでこういう時だけ鋭いんだろう、この人は。
「でもね、そんな心配いらないよ。だってね、あずにゃん、私が大好きなのは……」
そういって、唯先輩は顔をゆっくり近づけてきて……
「……世界中で、あずにゃんだけなんだから、ね?」
拙い、このままいったらキスして、いつものように押し倒されてしまう。
流石に玄関で、いろいろやってしまうのは危険すぎる……
「……あの、唯先輩!とりあえず、上がっ……ひゃうっ///」
……あれ、キスされてないのに押し倒された?
「ちょっと、流石に玄関でしちゃうのはっ!……って」
「……すぅ……んぅ……あずにゃーん♪……すぅ……」
……ドキドキした私が馬鹿でした……
「もう、お酒なんか飲むからですよ、唯先輩……」
押し倒してきたと思ってたら、唯先輩は丁度私の胸のあたりに頭を乗っけて眠り始めてしまった。
「でも、こんなのもたまにはいいかもしれませんね……」
いつもは逆に抱きしめて寝ることが多いからね……
いつも唯先輩がしてくれるように、私も唯先輩の頭を撫でてみる。
「私も唯のこと、大好きだよ」
そう言って、私もそのまま眠りにつくことにする。
明日の朝、もう1回しっかり怒らないとだね……
「おやすみなさい、唯先輩。また明日です」
……でも、夢の中でも、会えたらいいな。
最終更新:2010年10月10日 17:41