「ふーっ、ふーっ」
「ふうーっ!…はぁ、何でうまくいかないんだろ」
「
あずにゃん何してるの?」
「わあっ!ゆ、唯先輩いつからそこに?」
「今来たところだよ~」
「そうでしたか…もう、驚かせないで下さい」
「驚かすつもりはなかったんだけど…それより、ふーふーって何やってたの?」
「えっ、こ、これはですね」
「ま、まさかヤケドしたとか!?」
「へ?」
「大変!すぐにお水で冷やさなきゃ!」グイッ
「ちょ、ちょっと唯先輩!ヤケドじゃないですよ!」
「え、ふーふーって指に息を吹きかけてたんじゃないの?」
「そんなわけないでしょう。第一、ヤケドだったら水道に直行してますよ」
「じゃあ、ふーふーって何やってたの?」
「そ、それはあれですよ。つまり…」
「あっ!分かった!」
(ギクッ…口笛の練習してたってバレちゃった…?)
「んも~、あずにゃんったら水くさいんだから~」ダキッ
「にゃっ!ち、違うんですこれは…」
「ふでぺんの練習なら私も付き合ってあげたのに!」
「…はい?」
「ふでぺんふっふーって口ずさもうとしてたんでしょ?」
「たしかにゆいあずでふでぺん歌ったときは楽しかったですけど…違いますよ」
(あ、わざわざ否定しなくてもよかったな…)
「じゃあ、ふーふーって何のこと?」
「も、もういいじゃないですか。何でもないですよ」
「すごく気になるよ~…あっ」
「もしかして口笛の練習とか?」
(うっ、鋭い…)
「く、口笛ぐらい吹けますよ。馬鹿にしないで下さい」
「ほんと?じゃあさ、口笛で何か吹いてみてよ!」
「え?」
「私曲名当てるから!」フンスッ
(く、食いついてきた…どうしよう)
「やってよあずにゃ~ん」
「しょ、しょうがないですね。じゃあ…」
(ええい、一か八か…!)
「ふーっ」
「うん?」
「ふーっ、ふーっ!」
(なにこれ、かわいい…)
「んもーう、あずにゃんったらキュートなんだから♪」テレテレ
「茶化さないで下さい!本当に恥ずかしいんですから…」
「ごめんごめん。でも、口笛なんてすぐできるようになるよ。ほら」
「~~~♪」
「あ、ふわふわ時間ですね」
「ピンポーン。あずにゃんさっすが~」
「唯先輩がうまいから分かったんですよ」
「えへへ、ありがとう」
「私はね、小さい頃にとみおばあちゃんから教わったんだ」
「おばあちゃんコツをうまく説明してくれたからね、一日でできるようになっちゃった」
「だからあずにゃんも、コツを掴めばすぐに吹けるようになるよ!」
「そうだったんですか…それで、コツって一体?」
「まずはこうやって、口をすぼめながら少し前に突き出すんだよ」ンー
「次に、べろは下の前歯の裏に当てておくこと」
「あとはふーって吹くだけなんだけど、この吹き方が重要なのです!」フンスッ
「ろうそくの火を消すみたいに吹くんじゃないんですか?」
「それだとうまくいかないんだよ。ふーって吹くとき、息を唇の裏に当てようとするの」
「唇の裏?」
「うん!そうすると…~♪」
「わ、すごい…」
「ねっ、高くて良い音が出るでしょ」
「本当ですね」
「じゃあ、次はあずにゃんの番だよ!」
「は、はい。やってみます」
「えっと、口をすぼめてから…」ンー
(あずにゃんキスしようとしているみたい…というか、目を閉じるなんて卑怯だよ…)ドキドキ
「こんな感じですか?」
「う、うん。あとはふーってやるだけだよ」
「ふうーっ」
「う~ん、まだちょっと息を吐き出す感じになってるかな」
「もう一回やってみよっか」
「は、はい。えっと、口をすぼめながら…」ンー
(やっぱり目を閉じてる…もしかして無意識なのかな…)
「ひゅーっ」
「あ、ちょっとできたかも…」
「おおっ!その調子だよあずにゃん!」
「少しコツが分かった気がします」
「もうちょっとだよ、頑張って!」
「はい!よし、まずは口をすぼめて…」ンー
(そ、そのキス顔は反則だよぅ…)
──5分後
「ぴゅーっ」
「や…やった、できた!」
「おお~!よくやったよあずにゃ~ん!」ダキッ
「にゃっ…えへへ。唯先輩、ありがとうございます」
「お礼なんていらないよ。あずにゃんが自分で頑張っただもん」
「そ、そんなことないですよ…」
「ふふっ…あずにゃん、私ね」
「何ですか?」
「あずにゃんが口笛練習してるときの顔見てたら…すごくドキドキしちゃった」
「ど、どうして…?」
「なんだか、キスしようとしているみたいだったから…」
「なっ…///」
「目を閉じているあずにゃん…可愛かったよ」
(そっか…私、目を瞑っていたから…)
「
ねえ、あずにゃん」
「は、はい…」
「今度は私と一緒に愛の口笛を奏でてみない…?」ボソッ
「お、お願いします…」
おしまい
最終更新:2010年10月15日 13:33