今日は誕生日。
私のじゃなくて、もっと大切な人の誕生日。
愛する人が、この世に生まれた日だもの。
私のじゃなくて、もっと大切な人の誕生日。
愛する人が、この世に生まれた日だもの。
だから、今日は早くバイトを終わらせないと。
大好きな唯ちゃんに「おめでとう」を言うために。
大好きな唯ちゃんに「おめでとう」を言うために。
「唯ちゃん」
私が呼ぶと、彼女は子犬のように駆けてくる。
そんな姿が可愛くて、私はつい目を細めた。
そんな姿が可愛くて、私はつい目を細めた。
「ムギちゃん!バイト終わったの?」
白い息を吐きながら、唯ちゃんは笑う。
彼女は、この寒い中外にいた。
バイト先の店の外…マフラーに顔をうずめて立っていた。
彼女は、この寒い中外にいた。
バイト先の店の外…マフラーに顔をうずめて立っていた。
「うん。…中で待っててくれればよかったのに」
「いいの!お店の邪魔になっちゃうし、それに…」
そう言って、彼女は私の隣に移動して赤くなった手を差し出した。
そっと指を絡めると、唯ちゃんはくすぐったそうに笑った。
そっと指を絡めると、唯ちゃんはくすぐったそうに笑った。
「仕事してるムギちゃんのこと、ずっと外から見てたよ」
いたずらっ子のように言う唯ちゃん。
そんな笑顔がとても魅力的で、思わず繋いだ指に力を込めた。
そんな笑顔がとても魅力的で、思わず繋いだ指に力を込めた。
「ふふふ…ムギちゃん、熱いコーヒー慌てて持っちゃって火傷してたよね?」
そんな所まで見られていた。
少し恥ずかしい気持ちだったけど、それほどに彼女が私の事を見てくれていたと思うと、
心がとても暖かくなった。
少し恥ずかしい気持ちだったけど、それほどに彼女が私の事を見てくれていたと思うと、
心がとても暖かくなった。
「ねえねえ、どこに行くの?」
唯ちゃんはキラキラした目で私を見る。
ああ、本当に可愛いなあ…。
ああ、本当に可愛いなあ…。
「…秘密♪」
そう言って見ると、たちまち唯ちゃんはお餅みたいに膨れた。
膨れっ面も可愛いから、こうしてついついいじめたくなってしまう。
膨れっ面も可愛いから、こうしてついついいじめたくなってしまう。
「さあ、唯ちゃん行こう?」
彼女の手を引き、リードする。
いつもは唯ちゃんが引っ張って行ってくれるけども…
今日のお姫様は唯ちゃん、貴女だもの。
いつもは唯ちゃんが引っ張って行ってくれるけども…
今日のお姫様は唯ちゃん、貴女だもの。
「…うん」
唯ちゃんが少し遅れてついてくる。
…こんな姿の私たちは、周りからどんな風に見えているのかな。
ただのお友達同士?それとも恋人?
後者だったら良いな。
…こんな姿の私たちは、周りからどんな風に見えているのかな。
ただのお友達同士?それとも恋人?
後者だったら良いな。
「…?ムギちゃん、ここ公園だよ?」
目的の場所に着いて、きょとんとする唯ちゃん。
夜の公園はしんみりとしていて、とても寂しかった。
夜の公園はしんみりとしていて、とても寂しかった。
「ここで良いの、唯ちゃん。座ろう?」
そう言って彼女の手を引き、ベンチに座る。
とても冷たかったけど、唯ちゃんが隣に座るとそんな事は忘れてしまった。
とても冷たかったけど、唯ちゃんが隣に座るとそんな事は忘れてしまった。
唯ちゃんがそわそわとこっちを見てくる。
「…なあに?」
そう聞くと慌てたように顔を背けて、もじもじとする唯ちゃん。
焦る唯ちゃんをもっと見ていたいと思ったけど、私だって焦っている。
だって、こんな事をするのは生まれて初めてだもの。
焦る唯ちゃんをもっと見ていたいと思ったけど、私だって焦っている。
だって、こんな事をするのは生まれて初めてだもの。
「…唯ちゃん、目を閉じて?」
そう言うと、唯ちゃんは笑いながら目を閉じる。
…ほんのりと桜色に染まるほっぺは、私への期待だと思いたいな。
幾度となくその柔らかなほっぺにキスをしたけど、今日は少し違うの。
…ほんのりと桜色に染まるほっぺは、私への期待だと思いたいな。
幾度となくその柔らかなほっぺにキスをしたけど、今日は少し違うの。
そっと彼女の手を取り、左手の薬指に指輪をはめる。
その感触にびっくりしたらしい唯ちゃんが目を開く。
その感触にびっくりしたらしい唯ちゃんが目を開く。
「む、ムギちゃん、これって…」
驚きながら指輪と私を交互に見る唯ちゃん。
そんな慌てた顔、初めて見たなぁ。
そんな慌てた顔、初めて見たなぁ。
「誕生日プレゼント」
それだけ言って、綺麗な彼女の手の甲に口付けをした。
「唯ちゃん、私達は結婚出来ないけれど、私はずっと唯ちゃんを愛するわ」
唯ちゃんのほっぺが、少しだけ赤くなった気がした。
可愛い可愛い、私のお姫様。
可愛い可愛い、私のお姫様。
「知ってる?手の甲へのキスの意味。これはね、唯ちゃんに服従しますって意味なの」
唯ちゃんはまだ驚いたように私を見つめる。
そして、やっと気づいたみたいに笑った。
そして、やっと気づいたみたいに笑った。
「…ありがとう、ムギちゃん」
ゆっくりと、花が咲くように笑う彼女につられて、私も笑う。
愛する人の笑顔。
指輪でこんな笑顔が見れるなら、お釣りが返ってくる。
愛する人の笑顔。
指輪でこんな笑顔が見れるなら、お釣りが返ってくる。
「…ハッピーバースデー」
私は笑いながら、唯ちゃんの唇にそっとキスをした。
私が今、とても幸せな様に彼女も幸せだったらいいな。
私が今、とても幸せな様に彼女も幸せだったらいいな。
…唇へのキスはね、愛情。
愛する人の生まれた日に、私のありったけの愛を込めて。
愛する人の生まれた日に、私のありったけの愛を込めて。
唯ちゃん、貴女のことが大好き。