放課後コーヒータイム
その日、下校するべく玄関の扉を開くと…
唯「わぁ、寒いねー」
紬「そうだね…っくしゅん!」
唯「ムギちゃん、大丈夫?」
紬「うん…ちょっと風が冷たかったから…」
唯「…ちょっと待ってて!」
紬「え?唯ちゃん?」
唯ちゃんは突然校内に戻っていってしまった。どうしたんだろう、何か忘れ物でもしたのかな…
それにしても、まだ11月だというのに夕暮れの空気は思っていたよりも冷たい。
そろそろ手袋も用意した方がいいかな…そんなことを思っていると、不意に頬に温かいものが押し当てられた。
そろそろ手袋も用意した方がいいかな…そんなことを思っていると、不意に頬に温かいものが押し当てられた。
紬「きゃんっ!」
唯「あ、ごめーん…びっくりしちゃった?」
紬「う、ううん…ところで、それは…?」
唯ちゃんの手には、缶コーヒーが一本握られていた。
さっきはこれを押し当てたんだ…正直びっくりしたけど、すごくあったかくて、頬にはまだぬくもりが残っていた。
さっきはこれを押し当てたんだ…正直びっくりしたけど、すごくあったかくて、頬にはまだぬくもりが残っていた。
唯「自販機で買ってきたんだー!はいムギちゃん、どうぞ!」
紬「え…でも、唯ちゃんの分は?」
唯「買おうと思ったんだけど、お金足りなくってさー」
紬「じゃあ、お金渡すから買ってきて?」
唯「いいよいいよ、もう帰らなきゃ遅くなっちゃうし」
紬「でも…」
唯「いいからいいから!ほら、これはムギちゃんの!」
唯ちゃんは強引にコーヒーを握らせて、その手を優しく包みこんだ。その温かさに、思わずドキッとしてしまう。
唯「ムギちゃんは毎日おいしいお茶入れてくれるんだから、私にもコーヒーくらいはおごらせて?ね?」
紬「う…うん…」
私は唯ちゃんの笑顔に何も言い返せなくなって、ただ握られた手を見つめていた。
とても温かい、唯ちゃんの手。それは、私の手のひらにあるコーヒーよりもずっと優しい温かさだった。
とても温かい、唯ちゃんの手。それは、私の手のひらにあるコーヒーよりもずっと優しい温かさだった。
唯「ムギちゃん?早く飲みなよー」
紬「う、うん!じゃあ…いただきます」
私がコーヒーを飲んでいるのを、唯ちゃんは嬉しそうに眺めていた…けど。
唯「はっくしょん!」
紬「ゆ、唯ちゃん?」
唯「あはは…私も体冷えちゃったかも」
そんな唯ちゃんを見て、私はあることを思い付く。
それは少し恥ずかしいけど…でも、唯ちゃんがこのまま震えているのは見たくない。
それは少し恥ずかしいけど…でも、唯ちゃんがこのまま震えているのは見たくない。
紬「唯ちゃん、どうぞ」
唯「え…?」
紬「飲んで?体あったまるから」
唯「でも、これはムギちゃんの…」
紬「もう私のなんだから、どうしたっていいでしょ?だから…ね?」
唯「ホントに…いいの?」
紬「うん♪さぁ、早く飲まなきゃ冷めちゃうわよ?」
唯「じゃ、じゃあ…ちょっとだけもらうね」
今度は私が唯ちゃんを眺める方になる。体があったまったからか、やっぱり唯ちゃんは嬉しそうだ。
紬「唯ちゃん、あったまった?」
唯「うん!あったまったよ!…あ、そういえばこれって間接キスだね」
紬「…そ、そう…だね…」
臆面もなくそんなことを言う唯ちゃん。恥ずかしく、ないのかな…私はこんなにドキドキしてるのに…
唯「ムギちゃん顔赤いね、そんなにあったまったんだ?」
紬「う…うん…」
唯「あ、もうこんな時間!早く帰ろう?」
そう言って、唯ちゃんは右手を差し出した。私は一瞬ためらったものの、おずおずとその手を握った。
紬「帰ろっか、唯ちゃん♪」
唯「うんっ♪」
もしかしたら、これから唯ちゃんと二人で帰る時は手袋はいらないかもしれないな。
だって唯ちゃんの手は、こんなにも私の手を温めてくれるんだから。
終わり