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唯×紬 @ ウィキ
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yuimugi

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ラブコール

「うぅ…」

携帯の画面に表示された唯ちゃんの電話番号を眺めながら、私は発信のキーを押すべきかやめるべきかを悩んでいた。
なにも深く考える必要なんてない。ただたわいない話をすればいいだけ。
でも、何を話せばいいの?一度学校で会ってるわけだし、特にこれといった用事があるわけでもないし…
強いて言うなら、ただ単に唯ちゃんと話がしたいだけ。かといって、そうはっきり言うわけにいかないし…
用もないのに掛けて変な子って思われたらどうしよう。そもそもこんな時間に掛けたら迷惑になるんじゃ…

「…やっぱりやめとこう」

私は諦めて携帯を閉じた。これでもう5日、唯ちゃんに電話を掛けられずにいる。
明日こそは、明日こそはと思いながらずるずると時間だけが過ぎていく。…私の弱虫。どうしてもっと積極的になれないんだろう…

最近、唯ちゃんは私とあまり話をしてくれない。
別に私のことを避けてるわけじゃないんだけど…りっちゃんや梓ちゃんとばかり話してる。
それがなんとなく寂しくて、もやもやして…でも自分から話しかける勇気がどうしても沸かなくて、それならと電話で話そうとしたのに、それすらできなくて…

「……私の弱虫」


そんなこんなで軽い自己嫌悪に苛まれながら、私は部屋の明かりを消してベッドに飛び込んだ。
もういいや、寝ちゃお寝ちゃお寝ちゃおー!なんて、澪ちゃんはいい歌詞を書くなぁ…なんて思考をはぐらかそうとしていると、不意に携帯の着信音が鳴った。

「…誰だろう」

もしかして…なんて淡い期待を胸に抱きつつ携帯を開くと、そこには――

「唯ちゃん…!」

暗闇の中に光る画面に表示されたのは、今の今まで掛けようとしていた唯ちゃんの名前。
なんで、どうして?突然期待が現実に変わって、私の頭は真っ白になる。
それでもこのまま放っておくわけにもいかない。私はゆっくり深呼吸をして息を整えると、意を決して通話のキーを押した。

「もひもしっ!?」

…いきなり噛んじゃった。うぅ、私のばか……

『あ、ムギちゃん?こんばんはー。今大丈夫?』
「う、うん!大丈夫!」
『ごめんね、メールして聞いた方がよかったんだけど』
「あ、その手があったんだ…」
『え、なに?』
「なんでもないの!それでどうしたの?」
『うん、特に用があるってわけじゃないんだけどね?…どうしてもムギちゃんとお話したくて』
「え…?」


『ほら、最近なかなか二人になれなかったでしょ?ムギちゃん、澪ちゃんとばかりしゃべってたし…』
「そ、それは唯ちゃんがりっちゃんや梓ちゃんとお話してたから…」
『…絶対ムギちゃんの方が先に澪ちゃんとくっついてたもん』
「ううん、唯ちゃんがりっちゃんたちとお話する方が早かったわよ。じゃなきゃ私…」
『私…なに?』
「えっと…」
『……』

唯ちゃんは黙ってしまった。直接話すのと比べて、電話での沈黙は不安感が大きい。
どうしよう、黙ってちゃダメだ…でも、こんなこと言うの恥ずかしい…ううん、こんな時に勇気出せないでどうするのよ私!

「あ、あのね?」
『…なに?』
「私、もし唯ちゃんが一人でいたなら話しかけてる。ホントは、ホントはもっと唯ちゃんとたくさんお話したいって思ってるの」
『…ホントに?』
「ホント!でも唯ちゃんがりっちゃんたちと仲良くしてるの邪魔したくなかったから、それで話しかけられなくて…」
『…ムギちゃん』
「なに…?」
『私がりっちゃんとかあずにゃんとたくさん話してるの見て、どう思った?』
「…やだなって思った」

そう、私は嫌だった。りっちゃんたちに取られてしまったみたいで。…大好きな唯ちゃんを。


『…私もね、嫌だったよ。ムギちゃんが澪ちゃんと仲良くしてるの』
「…うん」
『…私たち、お互いに焼きもち焼いてたのかな』
「そう…みたいね」
『ムギちゃん』
「なあに?」
『…あのね、私ね…?』
「…うん?」
『ムギちゃんのこと…好きだよ』

その言葉を聞いた瞬間、私の体はカーッと熱くなって、心があったかくなって…嬉しくなる。
それは、ずっと言いたかった言葉。ずっと言われたかった言葉だから。

「…私も唯ちゃんのこと、大好き」
『なんか、あんまりびっくりしないんだね?』
「うん…なんでかな」
『多分、今までもなんとなくわかってたからかな。あと電話だからっていうのもあるかも』
「…じゃあ、また明日直接言ってもらおうかな」
『もうっ…ムギちゃんったら』
「唯ちゃん」
『なに?』
「眠くなるまでおしゃべりしても、いい?」
『うん。いいよ』

その夜は、夜遅くまで色々な話をした。最近話せなかった色々なこと。部活のこととか、学校のこととか、他にも、色々。

ありがとう唯ちゃん。私に電話を掛けてくれて。明日会ったら、ちゃんと私から言うからね。

大好き、って。


終わりです



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