133 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2010/01/05(火) 23:57:36 ID:/viZKKiA
こんにちは、平沢憂です。
今日は日曜日。お姉ちゃんはお出かけの準備をしています。
唯「じゃあちょっと、和ちゃんちに行ってくるね~~~」
憂「うん!」
寝ぐせがちょっとはねてるお姉ちゃん、かわいい! パタン。
さて、午前中からお出かけと言う事は、お昼はいらないのかな。と言う事は、お洗濯は終ったからお掃除…あ、お姉ちゃんの部屋もしなくっちゃ!
ピロリロリロリン。
憂「あれ?」
携帯が鳴ってる。私のじゃない。
憂「あっ」
テーブルの上にお姉ちゃんの電話。『あずにゃん』。ピロリロリロ、リロリロリン。どうしよう?
私は少し迷って鳴り止まない電話を取った。
憂「もしもーし」
梓『あ、唯先輩、おはようございます。なかなかでなかったってことは、さては私の電話で起きたんじゃないですか?』
む。違うよ梓ちゃん。お姉ちゃんを起こすのは私の大切な大切な仕事なの。 ……ちょっとイタズラしちゃおっかな♪
憂「う~~~~~ん……あずにゃんおはよ~~~」
梓『ホントに寝てたんですか……憂に甘えてばかりじゃダメですよ! あっ、準備できたんで、そろそろ来てもらっていいですよ』
へ? 固まる私。
梓『…自分から言い出しといて、ま さ か 忘れてないですよね?』
ごめんなさい梓ちゃん。その通りみたいです。
憂「ま、まさか~。今準備してるとこだよ~」
梓『…本当ですか? とにかく、用意して待ってるんでそろそろ来てください』
憂「え……と、あず…にゃんの家だっけ?」
梓『……怒りますよ?』
電話を切って、ヘアゴムとエプロンを猛スピードで外しながら、お姉ちゃんの部屋に駆け上がる私。もう、お姉ちゃんったら……。バンッ!
憂「あっ」
読みかけの漫画、食べかけのお菓子、私に内緒で食べちゃったアイスの空箱。脱ぎ捨てた制服。テーブルを中心にお姉ちゃんの手が届く範囲に均等に散らばってます。
……ああ……片付けたい!
強い欲求を振り払って私はお姉ちゃんのタンスの中から服を引っ張り出す。ラブハント、チャレンジ、ミルクガール、ポリスマン、いなかの米……。ちがうちがう!これは部屋着!
何とかお出かけ用の服を着て、髪留めをつけて鏡の前でポーズをとる私。うん、バッチリ。後はギー太を忘れないように……。
憂「あっ!!」
なんてことなの……!私の一番大好きな『ハネムーン』がベッドの上に脱ぎ捨ててある。
しかも、お姉ちゃんの脱ぎたて……。脱ぎたて・・・脱ぎたて・・・。
憂「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くっ」
私はギー太とお姉ちゃんの携帯を握って家を飛び出した。
134 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2010/01/06(水) 00:00:57 ID:/viZKKiA
息も絶え絶えに到着した私を梓ちゃんはぽかんと見つめていました。
梓「ギターの練習もするんですか?」
憂「ハァ・・・ハァ・・・へ?」
声が出ない私を梓ちゃんは家に招き入れてくれた。
梓「ギターは後にして先にこっちやっちゃいましょうよ。片付かないですし」
と、?マークが頭を埋め尽くす私を台所に連れてくる。
憂「お菓子・・・・・」
薄力粉、小麦粉、砂糖。バターにミルク。卵。軽量カップや泡だて器も用意してくれてる。
梓「バレンタインデーに、憂に教えてもらったやつをなんですけどね。
憂の誕生日プレゼント。がんばりましょう、唯先輩!」
と、ニコッと微笑む梓ちゃん。どきどきしていた私の心音がすうっと収まって、胸がぽかぽかになって、ぶわあああってこみ上げて…何も言えなくなって。
梓「バター、もう溶けてるから・・・・・・。私卵溶きますね。唯先輩は粉をふるってください」
憂「うん。……あずにゃん。」
梓「はい?」
憂「ありがとう」
梓ちゃんはくすっと笑って、どうせ忘れたでしょうと、かわいいピンクのエプロンを渡してくれました。
ちょっと胸がいっぱいになっちゃって、お姉ちゃんを演じるつもりがちょっと手際よくやりすぎちゃって、ばれちゃうところだった。
でも、ケーキ焼いて、ふっくら焼きあがって、どきどきしながら二人で食べて、目を合わせておいしいって言った時、本当に心のまま素直な私でした。梓ちゃんに出会えて本当によかった。
憂「重いよ……」
お掃除もまだで洗濯も入れなきゃいけないから、ギターの練習は結局しないで梓ちゃんの家をお暇しました。帰りに夕飯の材料を買って、片手に少し残ったケーキ。背中はギー太。ゆっくりゆっくり、おうちに帰る。
その間、考えるのはお姉ちゃんのことばかり。
梓ちゃんの約束忘れちゃうなんて…私の誕生日……どうでもよくなっちゃったのかな……。
135 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2010/01/06(水) 00:05:08 ID:ZsISH5cP
憂「ただいま~……」
ズドドドドドドドドッッッ!!!!
唯「う~~~~~~い~~~~~~っ!!!!!」
憂「おねっ、きゃあっ!!」
玄関開けると同時に髪を逆立てて顔を真っ赤にしたお姉ちゃんが飛びついてきました。
憂「ど、どうしたのお姉ちゃん!!?」
唯「ういういういういういっ!! え~~~~~~ん!!」
お姉ちゃんは私を抱きしめて大声で泣き出しました。開けっ放しの玄関を何とか閉めて、お姉ちゃんの背中をさすろうとして、両手がふさがってる事に気づく。
憂「と、とにかく部屋に入ろう? ね?」
唯「憂が誘拐されちゃったと思ったよ~~~~~~っ!! うわ~~~~~~ん!!」
憂「ええっ??」
唯「家に帰ったら憂いないし、タンスの中から服がいっぱい飛び出してるし、ギー太もいないし。憂に電話しなきゃと思ったら電話もないし、ういういういうい~~~わ~~~んっ!!! ドロボウが憂を連れてっちゃったと思って……わ~~~~~~~ん!!」
私に抱きついたお姉ちゃんを引きずりながら部屋に入る。そこはまさに泥棒が入った後の部屋の様。引き出しも、クローゼットも、冷蔵庫も、台所も、電子レンジも炊飯ジャーもみんな空いてる。お姉ちゃん、こんなに一生懸命私を探してくれたんだ……。
憂「心配かけてごめんね、お姉ちゃん」
胸の中で泣くお姉ちゃんの背中をゆっくりゆっくりさすってあげました。
唯「だから憂はわたしに変装してたのか~」
まだ大きな瞳からぽたりぽたり涙をこぼすお姉ちゃんに事情を説明しました。あれからずっとお姉ちゃんは私の手を離しません。
唯「……あずにゃんに謝らなきゃ。約束やぶっちゃった事」
憂「私も梓ちゃんを騙しちゃったから、一緒に謝ろう、ね?」
ちなみにお姉ちゃんは梓ちゃんとの約束を忘れていたのではありませんでした。和さんにラッピング用のリボンと包装紙を分けてもらってから梓ちゃんのおうちに行くつもりだったようです。
唯「でもよかった。憂が無事で本当によかったよ~~~」
と、お姉ちゃんはぎゅうって抱きしめてくれます。そんなお姉ちゃんを私もぎゅうって抱きしめます。お姉ちゃん、どんなプレゼントよりこうやってお姉ちゃんの側にいることが、なによりもうれしいよ。
136 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2010/01/06(水) 00:11:03 ID:ZsISH5cP
おしまい。うん、かっこいい唯ちゃんが想像つかん!
長文、駄文、お目汚し失礼しました。
最終更新:2010年01月06日 10:05