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突然ですが、私には恋人がいます。

こちらは「病み憂です。」の続きになります。

112  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:20:31 ID:KGO6OAbo0 [1/10]

投稿します。 2ch唯憂スレ>>218の続きになります。 
例によって鬱展開注意。



―――――――――――――



どうも!平沢唯です。

突然ですが、私には恋人がいます。
名前は憂といいます。
しっかりしてて、優しくて、とても頼れる恋人です。
そして私と憂は、二人で暮らしています。
ご飯は憂が作ってくれます。憂の作る料理はとても美味しいです。
他の家事も、ほとんど憂がしてくれます。
買い物なども、憂が全部してくれます。
2日に一度は私の欲しいものを聞いて、買ってきてくれます。
私が欲しがるのは、ほとんど漫画雑誌や音楽CDなどです。
なんで自分で買いに行かないの?なんて言われそうですが、これには訳があります。
私は、憂に外出を禁止されています。
外には危険がいっぱい、とのことで私はずっと家の中です。
携帯電話も憂に没収されました。
誰かが家に来て、玄関のチャイムを押しても出ちゃ駄目、とも言われています。

逃げ出せば?とも言われそうですが、それもできません。
私はここを出たら、帰る場所が無くなってしまうのです。
それに、何より憂が悲しみます。
憂の悲しむ顔は見たくありません。憂と離れるのも嫌です。

学校にも行く必要はありません。
憂が退学届けを出して、昨日学校にあった私の私物が帰ってきました。
軽音部も、私の代わりに憂が入部したそうです。
憂は今朝も私のギー太を担いで学校に行っていました。

憂が学校に行っている間、私は自分の部屋で漫画雑誌を読んだり、テレビを見て過ごしています。
お昼は憂の作ってくれたお弁当を食べています。
お弁当を食べ終えたら、午後のテレビを見て、憂が帰ってくるまでお昼寝です。

そして私は、玄関のドアが開く音で目を覚まします。
憂の帰宅です。
私はすぐ起き上がり、憂を迎えに行きます。

「うーいー、おかえりなさい!」
「ただいま、唯」

憂の手にはビニール袋が握られていました。
たぶん、帰宅途中お買い物してきたのでしょう。

「あ、はいこれ。いつもの雑誌買ってきたよ」
「おぉ、ありがとう、憂♪」

私は憂から雑誌を受け取ります。
これは、明日読みます。

「唯、今日もいい子にしてた?」
「うんっ!ずっと静かにしてたよ~」
「よしよし、ならご褒美に冷蔵庫のアイス食べていいよ?」

憂が私の頭を撫でてくれます。
とっても、嬉しいです。



113  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:22:18 ID:KGO6OAbo0 [2/10]

私は色んな荷物を持って重そうにしている憂からギー太を受け取り、リビングに向かいます。
一旦、ギー太と買ってもらった雑誌を床に置き、私は冷蔵庫から食べていいと言われたアイスを。
私がソファーに座ってアイスを食べていると、制服から着替えた憂が隣に座ってきます。

「唯、アイス美味しい?」
「うん、おいひいよ!」

アイスを咥えながら答えたので、美味しいよ、と上手く言えませんでした。
憂はそんな私を見つめながら、ニコニコ笑顔です。

「そうだ、唯。おかえりの挨拶は?」
「あ、忘れてたよ~。えっと・・・お帰り、憂・・・ちゅっ」
「んっ・・・唯・・・♪」

おかえりの挨拶。早い話・・・キスです。
もちろん頬や手の甲にするものではなく、唇にするキスです。
憂はキスが大好きです。
外出、帰宅の時はもちろん入浴の時や眠る前などにもします。

「あ、唯・・・アイス溶けてるよ」

私から唇を離した憂が言います。
いけない。アイスのこと忘れてた・・・。
慌てて溶け始めている方を舐めます。
憂は挨拶が終わって満足したのか、「さてと!」と気合を入れてソファーから立ち上がります。
もう時刻は5時を過ぎていて、夕日でリビングがオレンジ色に染まっていました。
これから晩御飯の支度のようです。
私はテレビを点けました。この時間は、ニュース番組が多いような気がします。

「ねえ、唯は晩御飯何が食べたい?」
「えっとねー・・・シチューがいいなぁ・・・」
「またシチュー?唯ったらシチューが好きなんだね」

そうです。私はシチューが好きです。
私と憂が姉妹から恋人になった日に食べた料理だからです。
憂はシチューにブロッコリーを入れます。
私はあれが苦手でしたが、今では平気で全部食べれます。
トントン、と食材を包丁で刻む音が聞こえてきます。
憂はエプロン姿がとてもよく似合ってます。

『続きまして、次のニュースは・・・』

テレビはニュース番組を映していました。
最近、暗いニュースばかりな気がします。
でもまぁ、外に出ない私にはあんまり関係がないのですが。

テレビを見ていると、時間があっという間に過ぎていきます。
いつの間にか、シチューの良い匂いが漂ってきています。
もうすぐかな。そういえばお腹が空いてきたような気がします。

「唯、出来たよー?」

テーブルに食器を置く音と、憂の声。どうやら晩御飯ができたみたいです。
私はテレビを消し、ダイニングテーブルの方に向かいます。



114  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:23:57 ID:KGO6OAbo0 [3/10]

テーブルには既にシチューやサラダなどが並べられていました。
私は椅子に座り、スプーンを手に取ります。
遅れて憂もエプロンを脱いで椅子に座ります。

「いただきますっ!」

私はまず、シチューを食べました。
どうでもいい話ですが、平沢家はシチューにご飯です。

「唯、シチュー美味しい?」
「うんっ!美味しいよ!憂のシチューなら毎日食べたいなぁ・・・」

あの日と同じで、とっても美味しいシチューです。
憂が恋人で、本当に良かったです。

「唯は、料理の上手な人、好き?」
「え?もちろん好きだよ?だから憂が大好きっ!」
「そっか。よかったー・・・」

ところで、シチューとご飯を食べる時ってどうしてます?
私は、まずスプーンでシチューを食べて、そのあとお箸でご飯を食べてます。
ご飯にシチューをかけて食べる人も居ると聞いた事がありますが。

なんて事を考えているうちに、あっという間にシチューやご飯、サラダが消えていきます。
憂は軽音部に入ってからよくご飯を食べるようになりました。
やっぱり、お腹が空くのかな。お茶とお菓子を部室で食べてるはずなのに。

      • そして食後。
私と憂は、食後の紅茶をゆっくり飲みながらテレビを見ていました。
今、テレビに映っているのは可愛らしい動物・ペットの番組でした。

「いいなぁ・・・うーいー、私も犬飼ってみたいよ~」
「うーん・・・でも、犬は散歩がね・・・。私は忙しいし、唯を外に出すわけにはいかないし」
「あう・・・そっかー・・・」
「そうだ。お風呂準備してくるね。今夜は“早寝”したいし」

そう言うと、憂は立ち上がってお風呂場の方へ。
“早寝”したい。この言葉の意味はよくわかっています。
早い話・・・今夜私と愛し合いたい、ということです。
少し胸がドキドキしてきます。
何故なら、憂はとっても激しく私を求めてくるからです。
まず、逃げられないように私を縄で縛って・・・。
後はもう、憂が満足するまで憂の全てを受け入れるだけ。
でも、憂が満足する頃には大体もう窓から朝日が差し込んでいます。
なので、大体週末に“早寝”する事が多いです。

      • そっか。明日は学校お休みなんだ。
曜日感覚が少し狂っている自分に気付きます。
澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん。そして・・・あずにゃん。
皆、明日は何か予定あるのかな。やっぱりお出掛けでもするのかな。

「唯、お風呂準備できたよ。入ろう?」
「あ、うん。今行くよー」

前は、お風呂は一人で入るものでしたが、今では憂と一緒に入るのが当たり前になっています。
お風呂でも憂は何でもしてくれます。



115  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:25:44 ID:KGO6OAbo0 [4/10]

例えば・・・こうして、私の服を脱がしてくれるのも憂です。
身体はもちろん、髪も憂が洗ってくれます。
私は風呂イスに座ってじっとしてるだけ。

「はい、終わったよ」

憂が私の頭にタオルを巻いてくれます。
後は、肩までゆっくりお湯に浸かって・・・身も心もスッキリさせるだけ。
今夜は“早寝”なので、憂はいつもより丁寧に隅々まで私の身体を洗ってくれました。

そして入浴後。
濡れた体を拭くのも、私にパジャマも着せてくれるのも憂です。

「うーいー、体拭くのもパジャマ着るのも、自分で出来るよー・・・」
「だーめ。私がやってあげないと、心配なんだもん」

もう。憂ったら心配性だよ。
まるで私、赤ちゃんみたい。
そのうち憂がいなきゃ何もできなくなっちゃうよ。

「唯、こっちに来てー」

もちろん、私の濡れた髪を乾かしてくれるのも、憂です。
ブォォォ・・・とドライヤーが大きな音を出しながら、熱風で私の髪を乾かします。
私の髪が乾くと、今度は自分の髪を乾かし始める憂。
いつも私が最優先で、その次が自分なのです。

そして一足先にリビングへ戻った私は、時計を見ます。
時刻は、夜の9時。前の私なら、今頃やっとお風呂に入る時間。
私は冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出し、ぐいっと飲みます。
そしてキャップを閉め、再び冷蔵庫に戻した頃。

「お待たせ。それじゃ、寝よっか」

憂が私の手を掴みます。私は黙って頷きました。
これから、またきっと朝まで・・・。
胸をドキドキさせながら階段を上り、私の部屋へ。
たまには憂の部屋がいいな、なんて言ってみたのですが、憂は私の部屋の方が落ち着くそうです。

「唯っ・・・」

部屋に入るなり、私はベッドに押し倒されました。
憂の手には、例の縄が握られています。

「・・・縛るよ?」
「うん・・・」

私は、背中の方に両腕を回します。直後、縄で両腕が縛られる感覚。
私の胸の高鳴りも、最高潮に達します。

「唯・・・好きっ、大好き・・・!」

憂の手が私のパジャマを脱がし、下着を脱がし・・・。
もう、この後は・・・頭が真っ白に・・・。




チュン、チュン・・・
雀の鳴き声がします。カーテンの隙間から陽の光が漏れています。



116  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:27:23 ID:KGO6OAbo0 [5/10]

気付けば、もう朝のようです。
今回も憂は朝まで私を離しませんでした。

「はぁ、はぁ・・・唯・・・すっごく良かったよ?」

憂が満足そうに笑顔を見せながら、額の汗を拭います。
そして私の両手を縛っていた縄を解いてくれました。
両腕は少し痺れて、痛みますが・・・もう慣れっこです。

「憂・・・」

幸せで、心地良い疲労感が私を包み込みます。
もうこのまま目を瞑っていればすぐ眠れちゃいそうです。
私は自由になった両腕で、憂を抱き締めます。

「あ・・・唯、もう寝る?それとも朝ごはん食べる?」
「うーん・・・このまま寝たい・・・」

少しお腹は空いてますが、もうへろへろに疲れているので―――このまま眠りたいです。
それに、既に私の意識は半分夢の世界に行っていて・・・。

「・・・すー、すー」

気付けばもう、私はぐっすりと眠っていました。
最後に、憂のくすりと笑う声が聞こえたような気がします。


そして、何時くらいでしょうか。
私は玄関のチャイムの音で目を覚まします。
      • 誰かが来たようです。
眠い目を擦りながら、時計を見ます。長い針が6、短い針が2を指していました。

よほど重要な用事があるのでしょうか。玄関のチャイムがしつこく鳴っています。
隣でぐっすり眠っていた憂も、ついには目を覚まします。

「んー・・・もう、うるさいなあ・・・」
「あ、おはよう、憂」

憂もさっきの私と同じく、眠そうに目を擦りながら起き上がり、時計をじっと見ます。
玄関のチャイムは、まだ鳴っています。

「・・・出るの?」
「うん。唯はここで待っててね」

憂は気だるそうに立ち上がると、タンスから適当に洋服を引っ張りだし着始めます。

「あ、部屋は後で私が片付けるから、唯はベッドでじっとしててね」
「うん、わかったよ」

服を着終えた憂は、そう言うと部屋を出て行きました。
私はとりあえず、再び横になります。
      • シーツはぐちゃぐちゃ、床には私と憂のパジャマや下着、そして縄が散乱しています。
やっぱり私が片付けようかな。でも憂にベッドでじっとしてて、って言われたし・・・。

1階から、ガチャリと玄関のドアが開く音がします。
続いて上手く聞き取れませんが、憂と誰か女性の話し声が。
一体誰が来たのかな。ドアを開けてお話するってことは、憂のお友達かな。

結局、長い会話の末に・・・憂はその女性を家の中に入れたようです。



117  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:29:49 ID:KGO6OAbo0 [6/10]

トントン、と階段を上る音がします。この音は・・・憂かな。
長い間一緒に暮らしてると階段を上る音で誰だか何となくわかります。

「・・・唯、話があるんだけど」

やっぱり、憂でした。
憂は部屋に入り、ドアを閉め、鍵を掛けます。
一体どうしたのでしょう。

「梓ちゃんが来て、唯に会いたいって」
「えっ・・・あずにゃんが?」

思わぬ来客に、思わず驚いてしまいます。
憂の顔が険しいです。

「最初は断ったんだけど。どうしてもって・・・」
「そっか・・・」

憂が溜め息をつきます。

「・・・いい?唯は、病人のフリをして」
「病人・・・?」
「唯は病気で学校を辞めたことになってるから・・・。梓ちゃんもお見舞いのつもりで来たって」
「う、うん・・・病人のフリだね、わかったよ。 ごほっ、ごほっ」

私は演技で咳き込んでみせます。
それを見て憂は少し安心したのか、いつもの微笑みを少し取り戻します。

「えっと。それじゃ、パジャマ着て? その間に少し部屋を片付けるから」
「うん、わかった」

私はタンスから自分のパジャマを取り出し、着ます。
その間に憂が部屋を片付けます。

「それじゃ、梓ちゃん連れて来るから・・・もうベッドに横になって」

憂はそう言うなり、部屋を出て階段を降りていきました。
私は言われた通り、ベッドに潜り込みます。

やがて、憂のそれとは違う階段を上る足音が。
なんだか少し緊張します。
最後にあずにゃんに会ったのはいつだっけ・・・?

足音は私の部屋の前で止まり、次の瞬間コンコン、とドアがノックされます。
私は一度深呼吸をしてから、返事をしました。

「どうぞー・・・?」

私が返事をすると、すぐドアが開いて―――

「唯・・・先輩?」

―――あずにゃんが、私の部屋に入ってきました。

あずにゃんは、手に花束とケーキの白い箱を持っていました。
本当にお見舞いに来てくれたんだ。

「あ、あずにゃん・・・」

本当に久しぶりで、思わず涙が出そうになってしまいます。
ついでに、憂以外の人に会うのも久しぶりです。

「唯先輩・・・病気は大丈夫ですか・・・?」
「えへへ、まぁね・・・」

あずにゃんは床に座ると、ケーキと花束をテーブルに置きました。

「皆さん、心配してましたよ?本当にいきなり退学なんかしちゃって・・・」
「あ、うん・・・」



118  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:31:21 ID:KGO6OAbo0 [7/10]

「携帯も繋がらないし、憂も病気だ、としか言わないし」
「・・・。」

思わず黙りこくってしまいます。
みんな、心配してくれてたんだ・・・。
なんだか病気だと嘘をついているのが申し訳なくなってきます。

そして私が何か言おうとした瞬間。
あずにゃんはいきなり立ち上がり、部屋のドアの鍵を掛けてしまいます。
え?いきなり、どうしたの・・・?

「唯先輩。病気なんて、嘘でしょう?」
「・・・!」

ドキリとします。
演技がバレた・・・?

「あの唯先輩がいきなり病気で学校辞めるなんて、ありえません!」
「で、でも・・・」
「唯先輩。何があったんですか・・・?」

あずにゃんが、真剣な眼差しで私を見つめます。
私は一体、どうすればいいのでしょう。
正直に話すべき?
でも、正直に話せば、憂の立場が・・・。
あずにゃんが部屋の鍵を掛けてしまった今、憂の助けは望めそうにありません。

「・・・憂が関係してますよね?」

二度目の、ドキリ。
何で?ひょっとして、あずにゃんは全部知っている?なんて思ってしまいます。

「憂も、様子がおかしいんです。唯先輩のことは何も話してくれませんし・・・」
「・・・。」
「学校が嫌だ、早く家に帰りたいなんて漏らしてた時もありましたし・・・」
「・・・。」
「ひょっとして、憂に何か口止めでもされてるんですか?」

私は辛うじて首を横に振り、それを否定します。
嫌な汗が、全身から滲み出てきます。

「唯先輩、目が死んでます。前の、あの元気いっぱいな目じゃありません・・・!」
「そ、そんなこと、ないよ・・・」

思わずあずにゃんから目を逸らしてしまいます。
そして、掛け布団をぎゅっと握ります。

「あれ・・・?唯先輩、その手首・・・!」
「あっ・・・!」

あずにゃんが私の腕をガシッと掴みます。



119  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:33:16 ID:KGO6OAbo0 [8/10]

しまった・・・。
私の手首には、縄の跡がくっきりと残っていて―――

「唯先輩・・・これ、縄の跡ですよね?」
「・・・。」
「ヒントだけでもいいんです。何かあったのなら・・・話してくれませんか・・・?」
「あ、あずにゃん・・・」

私の腕に、ぽたりと雫が落ちました。
見れば、あずにゃんは―――涙を流しています。
本当に、本当に・・・私のことを心配してくれているのです。
もう・・・何だか、全て話してしまいそうになります。

「あ・・・あずにゃん・・・私―――」

しかし。
ドンドン、とドアを叩く音で私はハッとします。

「お姉ちゃん?梓ちゃん?どうしたの?鍵なんか掛けて・・・!」

憂です。
私は思わず、言おうとした言葉を全て飲み込んでしまいます。

「・・・唯先輩。これが最後のチャンスです。私に助けを求めてください・・・!」
「助け・・・?」
「私なら唯先輩を救えます!今なら、またあの楽しい毎日に戻れます!さぁ、早く・・・!」

あずにゃんが差し出した、手。
最後の救いの手。



120  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:34:53 ID:KGO6OAbo0 [9/10]

私はどうしたいの?
憂とずっと一緒?それとも、また前みたいに毎日楽しい日々を―――

「お姉ちゃん!?梓ちゃん!?」

憂が更に強く、ドアを叩きます。

「唯先輩・・・!」

あずにゃんが、私の名を叫びます。



そして私は――――――――――











――――――――憂を選びました。




「―――ごめんね、憂。今開けるよ」
「ゆ、唯先輩・・・!?」

あずにゃんの瞳から、大粒の涙が零れ落ちます。
それでも私は、ドアの鍵を開けました。
憂が慌てて部屋に入ってきます。

「ど、どうしたの・・・?鍵なんか掛けて・・・梓ちゃんも泣いてるし・・・」
「なんでもないよ。あずにゃんったら、久々に私に会えたからって嬉し泣きしちゃって」

あずにゃんは黙って俯いていました。
涙がポタポタと零れ、カーペットに染みを作っているのが見えます。
私は、あずにゃんが差し伸べてくれた救いの手を―――自分から振り払いました。

「・・・ごめんね、梓ちゃん。お姉ちゃんは病気が重くて、もう寝なくちゃいけないの」

憂が遠まわしに『帰れ』とあずにゃんに言います。
あずにゃんは立ち上がり、帰り支度を始めます。
私はそれを黙って見ていました。

「唯先輩・・・お元気で」

あずにゃんの、最後の別れの言葉。
それが、私の心に重く響き渡ります。

「お姉ちゃんはベッドで休んでて。私は梓ちゃんを玄関まで送っていくから」

そう言うなり、憂とあずにゃんは私の部屋を出て行きました。
出て行く時、ちらりとあずにゃんが私を見ました。その目は、『まだ間に合います!』と訴えていました。
今から急いで追いかけて、あずにゃんに助けを求めることも、十分可能です。
でも、私はそれをしません。
いいのです。
このまま、ずっと憂と暮らします。
本当に・・・これでいいのです。



だって憂は、私の恋人だから・・・。







おわり




123  軽音部員♪  [sage]  2010/06/13(日) 18:37:52 ID:KGO6OAbo0 [10/10]

以上です。
歪んだ幸せ、堕ちた唯! を書いてみました。
ちなみにこの後、二人は幸せに暮らしました。作者が言うんだから間違いない。
なので、ハッピーエンドなのです。ええ。
最終更新:2010年06月13日 22:48
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