47 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
『余所見禁止令』
キーンコーンカーンコーン…
「ふぅ」
今日の学校も終了、これから放課後です。
「ん~終わったー♪」
純ちゃんが体を伸ばしながら嬉しそうに言いました。
「あはは、でも純ちゃんはこれから部活でしょ?」
「まあねー、うしっ今日は気合い入れて早めに行こうかな~」
「純が?珍しい…雨でも降るんじゃないの?」
梓ちゃんがわざとらしく目を大きくしなから外を見て純ちゃんをからかいます。
「なにをー!!言っとくけど部活は真面目にやってんだかんね!!」
「あはは、ゴメンゴメン」
「ふふ」
頬を膨らませる純ちゃんが可愛くて私も思わず笑ってしまいました。
純ちゃんは「くそー」と言いながら素早く部活に行く準備をすると「覚えてろよ!!」と私達に告げ去っていきました。
「なんか悪いことしちゃったかな?」
「まあ純だから平気だよ」
「あっ梓ちゃんひどい」
私達は顔を見合わせてクスクスと笑いました。
2010/10/24(日) 21:39:17 ID:lPTbEebQO [2/10]
48 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「よしっ私も部活に行こうかな。憂、途中まで一緒に行こう?」
「うん♪」
ほんの少しの距離なのに私を誘ってくれる梓ちゃんは本当はやさしい子です。
そうして二人で廊下に出ると、聞き覚えのある声がしました。
「おっ梓と憂ちゃんじゃんか」
「あっほんとだ!!うーい!!あずにゃーん!!」
振り返るとお姉ちゃんと律さんが居ました。2人ともこっちに向かって大きく手を振っています。
「恥ずかしい…」
梓ちゃんは少し呆れ顔です。
素直じゃないなー。なんて思っていたらお姉ちゃんがこちらに向かって走ってきました。
「あーずーにゃーん♪」
そう言いながら勢いよく梓ちゃんに抱きつきます。梓ちゃんは「止めてください!!」と言って抵抗します。
「ふふ」
2人がこうしてじゃれあう姿は微笑ましくて笑みがこぼれます。
「またやってんのかよ」
律さんが笑いながらゆっくりとこちらに来ました。
2人がじゃれあっているので私は律さんの方へ少しあるいて距離をとります。
「律さん達もこれから部活に行くんですよね?」
「まあね。…てかさ、憂ちゃんはあれ見てどう思ってんの?」
律さんがお姉ちゃん達を指差してそう私に聞いてきました。突然の質問に私は「へっ?」と変な声を出してしまいました。
2010/10/24(日) 21:41:41 ID:lPTbEebQO [3/13]
49 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「いやさ、憂ちゃんって唯大好きじゃん?だからああいうのどう思ってんのかなーって」
「えーと、微笑ましい…と思ってますけど」
私は素直な気持ちを言いました。
「嫉妬とかしないのか?」
「しっ嫉妬ですか?…えっと少し羨ましいなーとは思ってます。あっ少しですよ!?少し!!」
嫉妬だなんて考えたことなかった。もともとお姉ちゃんはスキンシップが好きで梓ちゃんを特に可愛がっているからしょうがないと思っていたから…
「そっか、憂ちゃんは純粋だなー」
「そっそんな、考えたことなかったんで言われると気になっちゃいますよ」
「そうなのか?」
なんか今日の律さんは少し意地悪です。…うぅー
「ははっほら見てみなよ、まだやってんぞあいつら」
そう言われたのでチラっとお姉ちゃん達のほうを見てみると先程と変わらずじゃれあっていました。
「あはは、本当ですね」
「あれ?憂ちゃん余裕だね」
「だって少しだけですもん。でもあれですね、2人だけ楽しそうなのは少し寂しいです…」
「おっ?」
2人に対して嫉妬という感情は一切でてこないけど、確かに少し寂しいかもしれない。
そう思った私は…
2010/10/24(日) 21:43:56 ID:lPTbEebQO [3/10]
50 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「りーつーさん♪」
お姉ちゃんと同じように律さんに勢いよく抱きつきました。
「おぉ!?//うっ憂ちゃん!?」
「律さんがこんな気持ちにさせたんだから責任とって下さい!!」
「ははっいいぞー、いくらでもとってやる!!うりうり~!!」
律さんは私を抱き返してきて私のことをぎゅっとしてくれました。こんなふうに抱きしめるのはお姉ちゃんくらいしかいないので新鮮です。
「きゃー♪」
お姉ちゃんとは違う抱きしめかたに少し違和感がありましたが楽しいと感じていました。
お姉ちゃんが梓ちゃんを抱きしめる気持ちが分かったかも知れないです。
すると…
「憂…」
いつの間にかお姉ちゃんが梓ちゃんから離れてこちらに近づいていました。
「おっ唯、あずにゃん分はもういいのかー?」
「………」
お姉ちゃんは律さんの質問に答えようとせず私をじっと見つめてきます。
私が声をかけるとお姉ちゃんはニコリと笑って手を差し伸べてきました。
「憂、こっちにおいで」
いつもの可愛らしい笑顔とは少し違うお姉ちゃんの笑顔に私は戸惑ってしまいなにも答えることが出来ません。
2010/10/24(日) 21:51:13 ID:lPTbEebQO [5/13]
51 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「憂ちゃんは今あたしとラブラブしてんだから唯は梓のとこいってろよ~」
律さんがそう言うと私を抱きしめる腕に力を強めました。思わず「ひゃっ」なんて声を出してしまいます。
「りっちゃん、憂が嫌がってるから離れて…」
お姉ちゃんがいつもと違う笑顔で静かに言います。
「嫌がってないよなー憂ちゃん♪」
「えっあっ…」
嫌ではないのは本当なので素直に「はい」答えようとしました。
でも、答えようとした瞬間―
「憂…おいで」
お姉ちゃんがまた笑顔で私に手を差し伸べてきました。
なにかしないとと思った私は少しだけ手を伸ばします。
「…あっ」
次の瞬間お姉ちゃんは私の手首を少し痛いくらいに掴むと、私を思いきり引っ張りました。私の体は律さんの腕の中からお姉ちゃんの腕の中へと移動していました。
「おっお姉ちゃっ」
「あっりっちゃん、私用事があったの思い出したから今日は帰るね」
「えっ?ちょっお姉ちゃん!?」
律さんは少し驚いた顔をしてお姉ちゃんを見ていました。
「おっおう!澪とムギには私が言っておくよ」
「ありがとうりっちゃん♪じゃーね~」
2010/10/24(日) 21:53:33 ID:lPTbEebQO [4/10]
52 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
頭が混乱している私をよそにお姉ちゃんは「ほら憂、行くよ」と言って掴んだままだった私の手首を引っ張り帰ろうとします。
「あずにゃんもバイバーイ♪」
私達の少し後ろに梓ちゃんはいたようで、こちらも少し驚いた顔をして私達を見ていました。
「あっはい!さようなら唯先輩!!憂もまた明日!!」
「あっうん!梓ちゃんバイバイ、りっ律さんもさようなら!!」
私が挨拶をしているのにお姉ちゃんは歩くのを止めてくれません。私はお姉ちゃんにぐいぐいと急かすように引っ張られそのまま学校を出ました。
――――――
――――
――
唯が憂ちゃんを連れ去って姿が見えなくなったところで私はやっと言葉を発した。
「いやーびっくりしたー」
「それはこっちの台詞です」
「おぉ梓、いたのか」
「ずっといましたよ!!」
気をまぎらわせるためにからかったらが怒られてしまった。
2010/10/24(日) 21:55:11 ID:lPTbEebQO [5/10]
53 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「ていうか本当にびっくりしたんですよ!?唯先輩が離れたと思ったら律先輩と憂が抱き合ってて、そしたらあんなことに…」
「あははー、ちょっとしくったな~…あっ言っとくけど憂ちゃんから抱きついてきたんだぞ!!」
やっぱり憂ちゃんが抱きついてきたところをみてああなったみたいだな。
「なんで憂が!?」
「いや、私が煽ったのがいけなかったんだけどな…てへ♪」
「てへ♪じゃないですよ!憂になにしたんですか!?さっさとはいてください!!」
私は半分脅されつつ憂ちゃんとのやりとりを梓に話した。
「…はあ、なんでそんなこと言ったんですか?」
「んー…憂ちゃんってさ怒んないじゃん?だから唯のこと持ち出したらちょっとはなんかあるかなーって…」
「………」
梓から無言の圧力を感じる。梓はじと目で私を見つめつつゆっくりと口を開いた。
「憂は繊細なんですからもう二度としないでください…分かりましたか?」
「はいぃ…」
流石の私もここは反省。
「まったく、周りから見たら軽く修羅場でしたよあれ…」
「私もまさか憂ちゃんを煽ったつもりが唯をあんなに怒らせるとは思わなかったよ」
でもまったく予想していなかった訳ではなかった。唯は本当に憂ちゃんのことを溺愛してるのを知っていたから。
唯が憂ちゃんに手を差し伸べたのを制したのはからかったつもりだったんだけど…
「憂ちゃん関係のあの手の冗談は駄目だったなー」
「…ですね」
「唯以外で梓が一番憂ちゃんに近いから気をつけろよー」
「…今日のことで唯先輩にとって一番の敵は律先輩だと思いますよ」
…確かに。
「これからは憂ちゃんにボディタッチすんの控えよう」
「それがいいと思います」
「じゃ部活行くかー」
そういって私達は部室へと向かった。…憂ちゃんには後で謝ろ。
―――
―――――
―――――――
2010/10/24(日) 21:56:10 ID:lPTbEebQO [6/10]
54 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
学校を出てしばらくしましたが、お姉ちゃんが私の手首をまだ放してくれません。
「おっお姉ちゃん待って!」
「………」
話も聞いてくれません。
こんなお姉ちゃんは初めてでどうしていいか分かりません。それにお姉ちゃんが先を歩いて顔が見れずどんな顔をしているのか分からないので不安になります。
「お姉ちゃ、きゃっ!!」
お姉ちゃんしか見ていなかった私は反対側から歩いていた人にぶつかってしまいました。
私はその人とお互いに謝りあい、別れました。
「憂…大丈夫?」
気がつくとお姉ちゃんが足を止めてこちらを心配そうに見ていました。
「うっうん、大丈夫だよ」
「本当?良かったぁ」
そう言ってぶつかった所を空いている方の手で優しく撫でてくれました。久し振りにお姉ちゃんの優しさに触れた気がしてとても安心しました。
2010/10/24(日) 21:57:55 ID:lPTbEebQO [7/10]
55 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「お姉ちゃん、あのっ」
「余所見してたの?」
「え?あっ…うん」
余所見してたというかお姉ちゃんに付いていくのに必死で周りを見る余裕がなかったのです。
「…珍しいね」
「そうかな?」
「うん。憂が余所見するなんて珍しいからお姉ちゃんびっくりしちゃたよ…本当に」
そんなに珍しいかな?と疑問に思いましたが、お姉ちゃんに相当心配をかけてしまったようです。
「ごめんなさい…」
「なんで謝るの?」
「心配かけた…から」
そう言うとお姉ちゃんは目を細めて「そうだね」と言って頭を撫でてくれました。
「心配したよ?」
「うん…ごめんなさい」
お姉ちゃんの手が今度は頭から頬に手を移動させてきます…少しくすぐったいです。
そのままじっと見つめられます。顔と顔の距離が近くて緊張してしまいます。
すると…
「だからね…憂」
お姉ちゃんが口を開きます。
「余所見しないでね?」
そう言ったお姉ちゃんの瞳からなぜか目が離せなくて身動きが取れません。
でも私の口からは自然と言葉が出ました。
「うん」
私の言葉を聞いたお姉ちゃんは嬉しそうに笑うと優しく私を抱き締めてくれました。
ああ…やっぱりお姉ちゃんの抱き締めかたは落ち着きます。嬉しくなって私も抱き締めかえします。
2010/10/24(日) 21:59:29 ID:lPTbEebQO [8/10]
56 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「あ…」
しばらく抱き合っていたところでお姉ちゃんが声をあげました。そして体を離すと、私の手をとりました。
「…ごめんね」
「え?」
「手首、赤くなってる」
見ると確かに握られていた手首が少し赤くなっていました。気がつかなかった…
「強く握っちゃってたもんね…痛かった?」
「ちょっぴり痛かったけど、もう平気だよ」
「ほんとう?」
「本当だよ」
お姉ちゃんは「じゃあ」と言って指を絡めてきました。恋人繋ぎです。…照れますね。
「えへへ、これなら痛くないよね?」
「お姉ちゃん…」
「よし、じゃあ家に帰ろうか~」
「うん♪」
そうして私達は家へ向かいました。ふいにお姉ちゃんが「うーいー」と可愛らしく私を呼びました。
「なに?」
「しつこいかもだけど、余所見は危ないから絶対にしちゃダメだよー?」
「うん、今度から気を付けるね」
上機嫌になったお姉ちゃんが手をぎゅっとしてくれました。
そして…
「えへへ、憂大好き!!」
「私もだよお姉ちゃん♪」
そう言って私はもう余所見はしないようにしようと思うのでした。
―fin―
2010/10/24(日) 22:00:14 ID:lPTbEebQO [9/10]
感想をどうぞ
- これは……。
>余所見は危ないから絶対にしたゃだめだよ
危ない目にあわせるのは…唯ですねw
「じゃあ」と言わないと、憂とは仲良くもしてくれない、むしろ痛い目に合わせるヤンデレ唯さんに、誰も気づいていないのが少し怖いですね…w憂ですら気づいていなそう。
いつも憂がシスコンなのに、これは唯がすこしヤバいので新鮮でした! -- (名無し) 2010-12-19 20:17:40
- 憂のことになると盲目的になる唯っていいね
いつもあの調子だから焦る唯ちゃんギャップ萌え -- (名無しさん) 2010-11-13 12:00:17
- 修正おつ!
ちょっと怒ったお姉ちゃんにときめいたぜ……
-- (唯憂は正義) 2010-11-13 10:06:22
- 途中のレスが抜けてるよー(泣) -- (唯憂スキー) 2010-10-25 00:29:03
最終更新:2010年10月27日 21:08