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あったかクリスマス(後編)


38  あったかクリスマス(後編)1/5  [sage]  2009/12/24(木) 22:20:54 ID:wakyYTL8

クリスマスイブの夜。
私はケーキや料理をテーブルに広げて、二人きりのクリスマス会の準備を整えていた。

憂「…お姉ちゃん、まだかな」

今年は梓ちゃんの都合が悪いということで、軽音部のクリスマス会は行われない。
にも関わらず、お姉ちゃんは用事があると言って出かけてしまっていた。
お父さんとお母さんは旅行に行っていて、今この家には私一人しかいない。ちょっぴり、寂しいかも。
それにしてもお姉ちゃん…こんな時間までどこに行ってるんだろう。

憂「もしかして…彼氏と会ってるとか?」

いやまさか、お姉ちゃんに限ってそんなことは…
あり得ないことじゃない。お姉ちゃんはかわいいし、内緒で誰かと付き合ってたってなんの不思議もない。

考えたくないけど、今頃相手の家で二人きりになって、プレゼントを交換してたりして…

「メリークリスマース♪」パーン!
憂「きゃあっ!?」

突如、背後から破裂音と聞き覚えのある声が聞こえた。ドギマギしつつ振り向くとそこにはサンタ…いや、
いつか見た赤いワンピースのサンタ服に身を包み、腰くらいまである白い髭を生やしたお姉ちゃんが…私の後ろに立っていた。



39  あったかクリスマス(後編)2/5  [sage]  2009/12/24(木) 22:24:23 ID:wakyYTL8

憂「お…お姉ちゃん?その格好…」
唯「ノンノン、私は唯じゃありません、サンタです!」

お姉ちゃ…サンタは誇らしげに胸を張った。
自分から名前を明かしてしまっていたりクラッカーの中身の紙くずが帽子の上に乗っていたりと、思わずお姉ちゃんと呼んでしまいそうになるそのサンタに、私は再度質問した。

憂「サンタさん、その格好は?」
唯「去年さわちゃんに着せてもらったの借りてきたんだー♪あ、ついでにつけ髭も貸してくれたんだよ!」
憂「先生の家に行ってたんだ…よかった…お姉ちゃん、すごく似合うよ♪」
唯「えへへー♪」

私の言葉を聞いて嬉しそうに微笑むお姉ちゃんは、あっさりサンタ設定を解除してしまったようだ。
帽子についた紙くずを取り除いてあげていると、お姉ちゃんは思い出したように私に言った。

唯「憂、お料理全部準備し終わった?」
憂「えっと…あとはスープあっためるだけだよ」
唯「そっか!じゃあ早速…」
憂「うん、スープ準備するね」
唯「プレゼント交換しよう!」
憂「えっ?」

私はお姉ちゃんの言葉に驚いていた。まさかこのタイミングで言い出すとは思わなかったから。
てっきり、料理を食べてお腹を膨らませてからだとばかり…



40  あったかクリスマス(後編)3/5  [sage]  2009/12/24(木) 22:28:11 ID:wakyYTL8

唯「憂、早く早くー!」
憂「う、うん!」

少し不安だけど…渡さないわけにもいかない。私は心を決め、用意していたプレゼントを取り出した。

唯「じゃあ…メリークリスマス、憂♪」
憂「メ、メリークリスマス!」
唯「えへへ…それじゃ一緒に開けよ♪」
憂「うん…」

私は予想外にドキドキしていた。もし喜んでもらえなかったらと考えると、とても不安になる。
そして今私の手の中にあるお姉ちゃんのプレゼントも、私をドキドキさせていた。とても柔らかい感触だけど…一体なんだろう?

唯「じゃあいくよ?せーので開けようね」
憂「う、うん!」
唯憂「せーの!」

私たちは同時に包みを開けた――

憂「これ…」

お姉ちゃんがくれたプレゼント。それはエプロンだった。ピンクの、とてもかわいいエプロンだ。

唯「えへへ、憂いつも同じやつ着けてるから…似合うといいんだけど」

そして私がお姉ちゃんにあげたプレゼントは、膝掛けだった。これもピンクの生地だ。

憂「お姉ちゃん、ギター弾くたびに冷たそうにしてたから…膝掛け、作ってみたんだ」

私たちは、お互いに交換したプレゼントをジッと見つめていた。そして…

唯「…憂」
憂「…お姉ちゃん」



41  あったかクリスマス(後編)4/5  [sage]  2009/12/24(木) 22:31:35 ID:wakyYTL8

唯憂「ありがとうっ!」

二人一緒に、お礼を言い合っていた。

唯「…ぷっ!あはは…」
憂「ふふっ…あはは…」

なんだかおかしくなって、私たちは笑い合う。
さっきまでの緊張はすっかり消え、幸福が私の心を満たしていた。

唯「ねぇ憂、さっそく着けてみて?」
唯「うん♪あ、だから料理の準備のこと聞いたんだね」
唯「ピンポーン♪私も膝掛け使ってみるね?ギー太乗っけても冷たくないか確かめてみよっと」
憂「じゃあ私も…」

私は鏡の前でエプロンを着けてみた。…今まで、エプロンを着けるのにこんなにも幸せな気分になったことなかったな…

唯「わぁ、似合う似合うー♪」
憂「えへへ…♪あ、お姉ちゃんはどう?膝掛け」
唯「うん、すっごくあったかいよ!今度りっちゃんたちに自慢しちゃおーっと♪」
憂「もう、お姉ちゃんったら…ほどほどにしなきゃダメだよ?」
唯「はーい♪あ、そういえばさっき私が帰ってきた時、なに独り言言ってたの?」
憂「な、何でもないよ!ス、スープあっためるから、お姉ちゃんはケーキ食べる準備して!」
唯「おー♪…あ、憂?」
憂「なに?」

唯「ホントに、ありがとね」
憂「…うん。私も…ありがとう、お姉ちゃん」



42  あったかクリスマス(後編)5/5  [sage]  2009/12/24(木) 22:33:29 ID:wakyYTL8

――今年は、去年みたいにホワイトクリスマスにはならなそうだけど…
その代わり、とてもあったかい、とても幸せなクリスマスになりました。

ありがとう、お姉ちゃん。


おしまい
最終更新:2009年12月24日 22:39
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