渚の夢幻城(???F)
マジックハンドによってダストシュートに投げ込まれた御鈴は、石造りの広い部屋で目を覚ました。
「ここ……は…………は!?」
意識を取り戻した御鈴の前には、青く聳える鋼鉄の巨体・・・謎の巨大ロボットが立ちはだかっていた。
(ヤバい!なんだかよくわからないし状況もイマイチ掴めないけど……"これとまともに相対してはいけない"ッ!)
その威圧感に、御鈴の生存本能が警鐘を鳴らす。このままではやられる――!
(扉は後ろに……そこまで動きは早くなさそうだし、逃げられる?否、逃げる!対処に要する何かを見つけるまで……!!)
開くかどうか、背後の扉を手探りで探る。・・・どうやらこの扉は開きそうだと分かると、更に御鈴は考えを巡らせた。
一旦アレと距離を離すにはどうするべきか?矢張りここは、式鬼を呼び出すのが上策・・・!
「(陰鬼を再召喚?いや、4体居てもアレには勝てない……それなら数を!)式鬼招来、弐式鬼!」
手早く弐式鬼を呼び出すと、その内の一体にロボットを調べさせる。
――装甲は強度のある金属製。そしてその表面にバリアのようなもの・・・と言うことは動力は恐らく魔力を利用した永久機関か。
(魔力駆動の機械人形……ゴーレムの亜種?それなら対処法も似たようなものがあるかもしれない……けど無理は出来ないかな、とりあえずは離脱!)
残りの弐式鬼を飛行させると、背後のドアを開き全速力で駆け出す御鈴。暫く走っていると、右手に部屋が見えた。迷わずドアを開き、中へと駆け込んだ。
???F・地下牢
駆け込んだ先はどうやら地下牢のようだ。2つある檻の内、一つは空だが、もう一つの檻に入った白骨死体が何かを握っているのが見えた。
(とりあえず十分な距離は取れたかな……神喰さん達とは分断されちゃったし電話で連絡を取るべきか……。)
鼎と連絡を取ろうと電話帳機能を開いた御鈴の目に、ある番号が留まる――結城辰興。今回の依頼主である彼の処には、丁度雪宗も居た筈だ。
彼らの何れかなら、あれについて何か知っているのではないだろうか?そう思った御鈴は、まずはそちらと連絡をとることにした。
(よし……まずは結城さん達と連絡を取ってこちらの現状を伝えつつ情報収集、何かあれに関する情報が聞ければ……!)
『もしもし、結城だ。』
「もしもし、こちら南条です……ちょっと不味い事になりました」
『不味い事・・・・・・今は例の城かい?』
「ええ、現在3階まで登ってきているんですが、そこで髪結さん達と分断されてしまって……」
『なるほど・・・続けてくれ』
「ダストシュートのような所に放り込まれたので、自分が今何階に居るのかも分からない状態ですね。何より問題なのが……分断された先になんと言いますか…
…巨大なロボットが居たんです、魔力駆動の機械人形……恐らくゴーレムの類だと思います」
そこまで言い終わると、御鈴は一呼吸置いて状況を整理しつつ、話を続けた。
「性能的にははっきり言って異常の一言ですね。知識も感覚もそこまで明るくない私でも分かる程の圧力でした。
真っ向から立ち向かったら、私達の全戦力を発揮しても全滅は免れない事は想像に難くない……勝てないとはいえ野放しにも出来ません」
『なるほどね・・・。』
「今は式を囮になんとか逃げている状態ですが、それも時間の問題です。何かあのゴーレムに関係する情報があれば、と思い現状の報告も兼ねて連絡させて頂きました」
『自動操機・・・という奴か・・・少し待っててくれ。立花さん、心当たりは?』
『状況は把握した・・・昔、うちの奴が同タイプと思われる機体と戦闘した時の記録が残っている。読むぞ。』
受話器の向こうからキーボードを叩く音が聞こえ、程無くして雪宗が当時の記録を読み始めた。
『名称はジェノガーディオタイプ、制御不能に陥った際の最後の手段としてEmethからEを消すことで機能停止に追い込めるのはゴーレム類と共通しているが・・・
何しろ装甲とパワーが桁違い、オマケに動力は擬似生命ではなくエーテルを使った永久機関・・・所謂ロボットと違ってこいつのお陰で常にエネルギーの心配は要らないらしい』
『だが、そこが弱点の一つだ。常にチャージが行われている都合上、此方から過剰にチャージしてやることで自壊する。とあるな。
また、余りに強力なために運用の際は常に同程度の戦力の操機・・・要するに有人機を配備する事が推奨されている。』
『・・・それから、一度だけ通常戦力で破壊された例があるが・・・その後は最悪だ、微妙どころじゃなくな・・・』
「撃破しても最悪……自爆でもするんですか?」
『装甲をパージ、高機動形態に移行して手がつけられなくなったらしい・・・どこのカブトムシだよ・・・』
「……まぁ、現状の戦力では真っ当に撃破するのが不可能ですからね。そこは問題無いと思います。過剰チャージも私自身が直接的な魔力の操作は不得手なので、やはり難しいかもしれません」
『そうとも限らないな。永久機関の動作不良時、予備のエネルギータンクを使うことも考えられる・・・そのリザーブ用のチャージャーがどこかにあるかも知れん。』
「なるほど……有人機を使うにしろ過剰チャージを狙うにしろ、とりあえずはもう少し周囲を探索する必要がありそうですね。
勿論王道で倒せるならそれが一番ですし、式を使ってEmethを消すチャンスも探りつつ付近を調査してみる事にします」
『ああ。これ位しか力になれなくて済まない・・・あ!ちょっと待ってくれ!一つだけ気をつけてほしい。奴の一般的な機体との最大の違い、
それは・・・永久機関から得られる莫大な魔力を撃ち出す・・・・・・エ、エーテルジェノサイドバスター・・・だ、そうだ・・・』
あまりの内容に、話している雪宗自身も信じられないと言った様子だったが、その直後、御鈴はその兵器の存在を確信した。
「製作者の頭を疑いますよ……ッ!?このありえない密度の魔力・・・!早速撃ってくるかもしれません、情報ありがとうございました!何かあったらまた連絡しますので!」
そう言うと、御鈴は大慌てで電話を切る。直接的な魔力の操作は不得手な御鈴でもはっきりと感じ取れた――ジェノガーディオの魔力が高まって行く・・・!
更に、上階からか振動も伝わってきていた。残された仲間達が戦闘しているのだろうか?
(この震動……あのマシンだけのものじゃない。神喰さん達も敵に襲われてる?なんにせよ、早いとこアレをどうにかして合流しないと……)
式鬼に散開指示を出しつつ、表面を調べさせていた個体で攻撃を試みる。・・・しかし、強固な装甲とバリアにより、矢張りダメージは与えられなかったようだ。
(詳しくは分からないけど案の定手応えは無さそう……やっぱり、状況を打開する何かを見つけ出さないと!)
「って、そんな事より私も動かなきゃ!とりあえずこの部屋の中を……? ここ、何かあるみたい……」
白骨死体が握っていたのはどうやら鍵のようだ。
「他には……何も無さそうかな、それなら!」
慎重に骸骨の手から引き剥がすと、扉を開けて全速力で駆け出す。必ず何か対抗手段がある筈――!
ゴォオオオオオオッ!
目の前の廊下を走り出した直後、背後から轟音が響く。続いて先程走ってきた通路を魔力の塊が貫き、ジェノガーディオから直線状にあった障害物を全て薙ぎ払った。
「・・・ここからでも破壊力が伝わってくるみたい、あんなものが直撃したら……!」
走り続ける御鈴の目の前で、直前まで赤色に光っていた部屋のランプが緑色に変わった。先程の衝撃でロックが解除された・・・ということだろうか?
大部屋ではジェノサイド・バスターを回避した式達が時間稼ぎを続けているが、一向にダメージは通っていない。
(なんて防御力……でも今の内に!)
奥のドアを抜けると、それまでよりも広くなった通路――その中央に、大型のリフトが見える。
「これは……そうだ、さっきの鍵!」
急いで先程入手した鍵を取り出すと、リフトの操作盤に差し込んだ。
「これで……動いてっ!」
ガチャリ、と音を立てて鍵が回ると、鈍い動作音を立ててリフトが起動した。地下へと降りる御鈴が感じていたのは、奇妙な感覚――
(なんだか感覚で分かる気がする……この先にあるのは私の運命を一気に変えてしまうようなもの。それでも私は……!)
ズシリと一度揺れて、リフトが着地する。ここはどうやらは格納庫のようだ。見上げると、漆黒のボディのもう一人の巨人が静かに此方を見下ろしている。
「これは……間違いない、これが立花さんが言っていた……!」
覚悟を決め、コックピットに乗り込んだ御鈴。機内を探ってみるとマニュアルを発見した。
(良かった、マニュアルはある……ぶっつけ本番だけど、やるしか無いよね!)
発進シークエンスを開始すると、辺りに合成音声が響き渡った。
SYSTEM Check...Done. BlackPhantom,Scramble!
「ブラック、ファントム……そう、それがあなたの名前なのね!」
床下からせり上がるカタパルトデッキ。黒い巨人は今正に、もう一体の巨人と相見えようとしていた――
せり上がったカタパルトデッキから出撃するブラックファントム。パイロットの御鈴にもかなりのGが掛かるが、今は気にしている場合ではない!
「くうっ……!」
その頃、上階では弐式鬼が交戦を続けていたのだが・・・圧倒的な戦力差の前に、ある者は腕に薙ぎ払われ、ある者はミサイルの弾幕に焼かれ―
―そして、出撃したブラックファントムの前に映ったのは、最後の一体となりながらもジェノガーディオに攻撃を仕掛ける弐式鬼の姿だった。
・・・しかし、その攻撃は装甲とバリアに悉く阻まれ、無常にも、最後の1体を目掛けてジェノサイドバスターが発射される。
直撃を受けた弐式鬼は、防ぐことも適わずにその光に包まれ、消滅した。
「くっ……!6体の弐式鬼がこの短時間で全滅!?全く以ってふざけてる……!」
そして、空中を漂うエーテルの煌きの中、青い巨人はゆっくりとこちらを振り返った。
「残った弐式鬼が居れば援護して貰うつもりだったけど……正真正銘1対1、こうなったらやるしかない!」
マニュアルとコンソールを見ながら、武装を確認する。装甲が厚い相手に銃器は不安が残る。・・・で、あるならば。
「とりあえず様子見……なんて言ってられないよね、近接攻撃で一気に片を付ける!」
御鈴の操るブラックファントムはエーテルセイバーで斬りかかったが、不慣れな操縦のため踏み込みが足りず、ジェノガーディオはいとも簡単にその一太刀を受け止めた。
「防がれた!?不味い……!」
反撃とばかりに青い巨人は豪腕で殴りかかる。打ち据えられた衝撃で、ブラックファントムは羽根のように弾き飛ばされてしまう。
「きゃあぁぁぁっ!」
何とか体勢を立て直し、反撃を試みる御鈴だったが、そこへジェノガーディオが放った追撃のミサイルが迫り来る!
「っ……!」
半数は防いだものの、残り半数がヒットしてしまう。そこへ、突然の着信が・・・。
「電話?よりによってこんな時に……!」
-サクラジマ級強襲空母・ブリッジ-
城を囲む結界の解析に成功し、
九鬼衆の母艦である強襲空母・サクラジマでは城内部のスキャニングが始まっていた。
結界の解析成功の報を受けた雪宗も、結城邸上空に到着したこの艦に乗り込んでいたのだった。
「内部のデータが届いたか・・・どうやら、結界の解析には成功したようだな。」
「はい。城内地下よりジェノガーディオタイプの反応……っ!?待ってください、新たな反応です!」
「機種は!?」
「コードRD-00XBP、ブラックファントムです。」
「・・・亡霊さんか・・・懐かしいわね。」
オペレーターの報告を受けていると、ブリッジに1人の女性が現れた。
「戻ったか、麗華。状況から推測するにパイロットは御鈴ちゃんか…久々に手を借りるぞ、鬼教官殿?」
「はいはーい、相変わらず人使いの荒い婿殿だこと。」
妻に仕事の指示を出しつつ、雪宗は御鈴をバックアップする為に連絡を取ったのだった。
「もしもし、こちら南条……立花さんですか?」
『ああ。どうやら対抗策は見つけたようだな。…行けるか?』
「マニュアルがあったので一応操縦は出来てますけど、流石に状況は簡単じゃ無いですね……」
『(やはり初陣でアレを乗りこなすのは無理、か。)…ちょっと待ってろ、専門家に代わる。』
『ハァイ、貴女が御鈴ちゃんね。雪宗から話は聞いてるわ。…なんて、言ってる場合じゃないわね…幾らナンバー00とはいえ、マニュアルのままでは恐らく今の貴女ではジェノガーディオには勝てないわ。』
「あなたは……いえ、それよりも今マニュアルの"ままでは"と……?」
『あら、ごめんなさい。私は島津 麗華、雪宗の妻よ。…話を戻すわね。ナンバー00には、操作系の補助システムとして搭乗者の魔力回路を利用するシステムがあるの。
元々式鬼の扱いに天性の才能を持つ貴女なら…そちらをメインコントロールに転用すれば、あるいは…』
そこまで言いかけたところで、雪宗が慌てた様子で口を挟む。
『ちょっと待て、麗華。アレを機体全てのコントロールに適用するとなると…』
『…ええ、分かってる。無論パイロットも只では済まないわね…最悪の場合、死亡したケースもあるわ。だから、"亡霊"…なのよね。――尤も今のままでは恐らく犬死にだわ。どちらに賭けるかは…貴女が選ぶのよ。』
「私が……選ぶ……」
一瞬考えた後、御鈴は意を決し、力強い口調で答えた。
「……どうせ倒れるなら前のめりが良いですよね。やります、私がジェノガーディオを倒します!」
『そう。…真冬ちゃん!ナンバー00のモニタリング、行けるかしら?このブリッジで出来るだけのバックアップをするのよ!』
『了解しました!』
『…さあて、ここからは一発勝負よ。マニュアルの36ページに"FASコントロール"の項目があるはずよ。そこを開いて頂戴」
「36ページ……(ページを捲り)ありました!」
『そのページにあるコントロール配分の調整、を参照して値を最大に設定するのよ。…下の方に警告、なんていい子ぶって書いてあるけど、そんなものガン無視よ、ガン無視。今からやるのはイチバチの賭けなんだから。』
「ふふっ、イチバチどころかイチキューかイチジューかもしれませんね……魔導式コントロール、最大っ!」
『イチジューって…大分数増えてるじゃない…ま、そういうの、嫌いじゃないわ。真冬ちゃん、ナンバー00の状況は?』
『FAS配分完了、システム再起動まで残り5秒!4,3,2,1…』
「っぅ……!!(まるで身体の中を直接滅茶苦茶にされてるような……でもこれなら、普段の式と同じようにコントロール出来るはず!)」
『ブラックファントム、FAS再起動!各マニューバ補正値、想定値を超えて上昇中!』
「・・・勝ったな。」
「ええ・・・。さて、あの子は耐え切れるかしら・・・。」
(そうだ。勝つためならば、これが最善の策だ。俺は…俺達はいつだってこうやって勝ってきた…だが、だがしかし今だけは…。)
「・・・後は、祈るのみ、だな。」
「ええ、そうね・・・。」
「ブラックファントム……行きます!ネオ・エーテルセイバー……今度こそ斬ってみせる!」
先ほどまでと違い、明らかに挙動が軽い!深く切り込んだネオ・エーテルセイバーが、Rエーテルフィールドを貫きジェノガーディオに痛手を負わせる。
「!!・・・!?!?」
「届いたっ……!」
反撃とばかりにジェノガーディオが放つミサイルを、交わし、防ぎ、斬り払うブラックファントム。引き換えに襲う激痛は気にも留めず、ミサイルの雨を凌ぎきる御鈴。
「っ……大丈夫、これなら行ける……ここで仕留める!」
「・・・!」
後ずさるジェノガーディオ、なにやら様子がおかしい。
『ジェノガーディオ、装甲遊離の準備に入りました!』
「・・・!マズっ!只でさえ負荷に耐えるのが精一杯の状況で、高機動戦闘に持ち込まれたら・・・!」
「ヤツのRエーテルフィールドを突破しつつ、分離を許さずに倒すには…アレしか、ないか。」
「あの武器の扱いは、彼方の方が得意だったわよね?任せたわよ。」
『・・・御鈴ちゃん、聞こえるか?』
「はい、問題ありません……あれは、件の高機動モードになろうとしてるんですよね?」
『そうだ。このままではFASの負荷とGで、恐らく君の体が持たないだろう。…ヤツの分離を許さずに止めを刺せる武装は、たった一つだ。』
『此方から遠隔で装備のロックを解除する。起動したら、後は画面の指示通りに・・・』
『・・・叫べ。』
「そんな武装が……了解しまし、えっ?……いえ、ここまで来たら信じます!」
『・・・何故かは知らんが叫ばないと当たらないんだよ、あの武器は・・・』
『解除コード送信、行けます!』
『よし、ウェポンコードは…アルティメット・ファントムキックだ、行け!』
「りょ、了解!よし……」
チャンスは一度。必殺の一撃を放たんと構えるブラックファントム。・・・そして、コックピットに"Shout Now!"の文字が表示される。――今だ!
「アルティメェットッ!ファントムッ!キィィィィィィック!!」
「!!!!!」
「はぁ……はぁ……た、倒した……倒せた……!」
「終わったな。しかし…どう転ぶかは…微妙、だな。」
「ええ・・・。それも気になるけれど・・・
ガルシアさん?この城で行われていた術式の解析、そろそろ終わったのかしら?」
「…概ね、な。まさかこれを実行しようなどと言う馬鹿げた輩が要るとは思えなかったがな…。兎も角、これで貸し借りはなし、だ。それで構わんな?」
「ええ、よろしくってよ?」
…永久機関を蹴り破られ、爆散するジェノガーディオ。終わったかに思えたが、戦闘の衝撃で地下室が崩れ始め、さらにFASの反動が御鈴を襲う。
「ぐぅっ!流石に……キツい……かな……」
「!!・・・まずい、遠隔でFASのカットを!」
『だめです、間に合いません!!』
「くっ!このままじゃあ・・・!」
「南条・・・!」
――その時、奇跡が起こった。
『こ、これは・・・!?ブラックファントムの行動システムが自立回路に切り替わっています!』
「何だと!?」
自らの意思で動き始めたブラックファントムは何かを察したかのようにコクピットの脱出装置を作動させ・・・そして自らは――
「!?・・・ブラック、ファントム・・・私を守って・・・?」
『ブラックファントムが・・・自らを柱の代わりにして地下室を支え・・・・・・機能、完全に停止しました。』
(…そうか、そういうことか…ブラックファントムの名に込められた性質は…命を喰らう亡霊と言うだけではない。そのもう一つの意味…それは)
("影の様に付き従うもの"…即ち、忠義の操機に他ならない…御鈴ちゃんを主と・・・認めたということか…?)
「・・・お前はどう思う?俺の・・・風神機。」
ブラックファントムの犠牲により、崩落を免れた地下室。先程の戦闘により壁が崩れ、隠し扉が露わになっていた。
「隠し扉……あそこからなら他のみんなと合流出来る筈……」
(目は霞むし全身引きちぎられたみたいに痛むけど……ブラックファントムの分まで背負ってるんだ、こんな所で止まってられない!)
未だに残る痛みをこらえながら、御鈴は隠し扉の先の梯子を上っていくのだった。
最終更新:2013年05月10日 13:12