「・・・んぉ!?」
目を覚ました私の視界に広がっていたのはいつもと変わらない天井に壁に家具一式。
右を見ても左を見ても木の一本も見当たらなかった。
寝具もきっちりと布団を使っており、藁でもばければ枯葉でもない。
「・・・・・・私んち、だよなぁ・・・?」
何処をどう見ても紛れもなく饅頭の香りのこびり付いた住み慣れた我が家だ。
巨大なゆっくりが眠っているということも、超絶美人の人外社長がでっかい瓢箪を担いでいるということもない。
もちろん、触手を生やしたきもいありすの姿も、ライガーもホッキョクグマも真っ青のきめら丸姿もない。
薄暗い部屋の中で耳を澄ませば、我が家のゆっくりども寝息が聞こえてくる。
「・・・夢オチか」
それにしてもアホ丸出しのこっ恥ずかしい夢だった。
何だよ、ドスお姉さんって。ジャンプ系バトル漫画の見過ぎだ。
馬鹿馬鹿しい、寝直そう。
「・・・んあ?」
ぽよん。
横になった瞬間、そんな擬音がよく似合う柔らかいものが後頭部に当たるのを感じた。
れいむでも下敷きにしたかと思い、頭の下のものを引っ掴んで見ると・・・
「ゆゆっ!おかーさん、ゆっかりんとゆっくりしていってね!」
「・・・誰がお母さんか」
いや、まず突っ込むべきところはそこじゃない。
我が家のゆっくりはれいむ、まりさ、すいかの三種だけのはず。
ゆっかりんなんて拾った覚えないぞ?
「・・・・・・・・・もしかして」
まさか、と思いつつもおもむろに標準的なゆっくりのサイズのゆっかりんの頬に頬擦りをしてみる。
ゆっかりんの頬、暖かいナリ。悔しい、悔しいが認める。こいつ気持ち良い。
すりすり・・・すりすり・・・
ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・
「お前・・・でかゆっかりん?」
「いまはちいさくてかわいいゆっかりんよ!」
「そうか、お休み」
きっとこれも夢だ。
そう結論付けた私はゆっかりんを放り投げて、再び布団の中にもぐりこんだ。
翌朝、やっぱりゆっかりんはそこにいて、夜中には気付かなかったが彼女の後頭部には変な張り紙があった。
『ゆっかりんを連れて本社社長室まで来なければ・・・・・・』
世の中には回避不可能なイベントというものが存在することを実感した。
差し出し人はもはや言うまでもないだろう。
そんな訳で大学の講義をすっぽかして本社へと赴いた私とゆっかりんは社長室に案内された。
素材は分からないが見るからに高級そうな扉を開け、中に入った私たちを出迎えたのは社長と3匹のゆっくり。
それと妙な目を胸に取り付けた、紫色の髪をちょっと野暮ったい感じに短く刈った可愛らしい女の子だった。
「れみりゃザウルスに、角の生えたきめら丸に、なんか触手が2本生えた気色悪いありすに、それに・・・」
「小五ロリではありません」
「・・・地球の男に飽きた社長のツバメ?」
我ながら半端に古い上に分かりづらいネタを振ったものだ。
それも違います、という少女の突っ込みを聞き流しつつ私は3匹の様子をじっと伺う。
「ゆゆっ!ありすきしょくわるくなんかないわ!」
「ぎゃお~!たべちゃうぞ~!」
「おお、ゆっくりゆっくり!」
見たところ、角や触手、着ぐるみを除いては何の変哲もない普通のゆっくりだ。
特徴と呼べるようなものを強いて挙げるならば、過去にどこかで見たことがあるくらいだろう。
というか、間違いなく夢だと思っていたあの時に遭遇したゆっくりだった。
「お前ら、ちょっと見ない間に縮んだか?」
そう尋ねながらありすの触手をちょうちょ結びにして、きめら丸の角に引っ掛けてやった。
「おお、不快不快」だの、「いながものおおお!」などと喚いているが相手にする必要はないだろう。
紫髪の少女が「読めなかった。無意識に・・・」とか何とかわけの分からないことを呟いている。
「ところでどうしてゆっかりんが縮んだ上に我が家に?」
「あなたの戦いを観戦していたら治療が間に合わない程衰弱しちゃったのよ」
「で、仕方ないから小型化して助けたと?」
「そういうことよ。貴女の家に・・・「言わなくても分かるんでケッコウデス」
どうせ面白そうだからとかそんなところだろう。
「んで、社長室なんかに呼び出して何の用です?」
「実は貴女に伝えておかなくちゃならないことがあるのよ」
「私に?」
「まずはこれを見て欲しいのだけれど・・・お願いできるかしら?」
何故か社長によく懐いているれみりゃザウルスの頬を引っ張りながら、彼女は少女に話しかけた。
「想起『テリブルスーヴニール』」
「・・・んお?」
少女の言葉と同時に、社長室が全く異なるつくりの研究室風の真っ白な部屋とへ姿を変えた。
社長曰く「彼女の能力でこの子達のトラウマを映像化してもらっているのよ」とのこと。
この子達、というのはもちろん例の3匹のゆっくりのことだ。
「ゆぅぅ・・・こわいぃぃ・・・」
「おお、心的外傷心的外傷」
「ぎゃおーーーーーー!!」
その証拠に真っ白な部屋を見た3匹は酷く怯えていた。
「「「「ぬふぅ!」」」」
「「「「ずっぎぢー!?」」」」
研究室風の部屋では男が一列に並んで無数のゆっくりをレイプしている。
ゆっくりの種族は様々で、胴体付きのものもいれば、うーぱっくと呼ばれる変わったゆっくりの姿もある。
そんな有象無象のゆっくりを数人の男が入れ替わり立ち代りすっきりさせていた。
「にんっしんっしたものはおらんか!?」
「「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」」
「そうか。次の組に交代しろ!ゆっくりどもはケージに戻しておけ!」
「「「「了解しました!」」」」
現場監督と思しき中年男の号令に従って、男達はゆっくりを連れて部屋の外へと出て行った。
しかし、彼らと入れ替わるようにしてまた数名の男たちがゆっくりを連れて部屋へと入ってくる。
「撃ち掛け、用意!」
「「「「撃ち掛け、用意!」」」」
「「「「やめてね!ゆっくりさせてね!?」」」」
「はじめ!」
「「「「ぬふぅ!」」」」
そうして再開されるゆっくりレイプ。
その中には後のありすもいるらしく、彼女の悲鳴が聞こえてきた。
「ゆびぃ!やべで、やべでえええええ!ありぢゅ、まぢゃしゅっぎぢぢだぐないよおおおお!?」
「やめてね!ゆっくりできないよ!」
「ゆひぃ!いぢゃい!いぢゃいいいいいいい!?」
ゆっくり達は双眸からぽろぽろと涙を零しながら、その行為の中断を懇願する。
が、誰ひとりとしてやめる気配を見せず、ズンズンッとゆっくりのまむまむにモノをねじ込み続ける。
正直、胴体付き相手にそれをやっている光景は引く。
「「「「ずっぎぢー!」」」」
「にんっしんっしたものはおらんか!?」
「「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」」
「そうか。次の組に交代しろ!ゆっくりどもはケージに戻しておけ!」
「「「「了解しました!」」」」
先ほどと同じやり取りの後、またしてもゆっくりを抱えた男達が室内に入ってきた。
そしてまた同じような光景が繰り広げられる。
「「「「ずっぎぢー!」」」」
「にんっしんっしたものはおらんか!?」
「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」
「こちらのれいむがにんっしんっしたと言っております!」
「そいつは真偽の確認の後にんっしんっしたゆっくり用の部屋に移送!ほかはいつも通りだ!」
「「「「了解しました!」」」」
そう言って男達が出て行くとまた別の男達が入ってきて同じ事を繰り返す。
なんとも混沌とした光景である。開いた口がふさがらない。
「「「「ずっぎぢー!」」」」
「にんっしんっしたものはおらんか!?」
「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」
「こちらのまりさがにんっしんっしたと言っております!」
「そいつは真偽の確認の後にんっしんっしたゆっくり用の部屋に移送!ほかはいつも通りだ!」
「「「「了解しました!」」」」
そう言って男達が出て行ったところで、映像に変化が表れ、にんっしんっしたまりさを追いかけてゆく。
にんっしんっ個体用と書かれたプレートのついた扉を開かれたその先には一辺70cm程度の箱が所狭しと並んでいた。
その中にはいずれも何らかの形のにんっしんっをしたゆっくりが壁際にがっちりと拘束された状態で収められている。
その体には流動食を流し込むためのチューブが取り付けられており、飢えることも渇きを覚えることもないらしい。
「どうだ。前の部屋よりずっと広いだろ?しかも、マジックミラー&防音ガラス仕様だからプライバシーはしっかり守られているぞ!」
「ゆ゛っ!?まえのおへやのほうがいいよおおおお!ぜばぐでもびんなどおはなぢがでぎだもん!?」
「にんっしんっした己の不運を呪うんだな!」
「うぞでず!ばでぃざほんどうはにんっぢんっぢでまぜんんんんん!?」
「じゃ、死ね」
男の冷酷な宣告の直後、まりさは真っ白な床に叩きつけられ、底部からの圧力で餡子を吐いてしまった。
「ゆげぇ・・・おぉ゛・・・」
「はい、さようなら」
嘔吐の苦しみから解放される間もなく踏みつけられ、更に餡子を吐き続ける。
そして、数十秒後。生命を維持するのに必要な量以上の餡子を吐き出したまりさは永遠のゆっくりへと旅立っていった。
「ったく・・・ちゃんと始末しとけよ?」
まりさを潰した男が来る以前から部屋にいた眼鏡をかけた神経質そうな男が、あるれいむが産んだ赤ゆっくり達を調べながら毒づく。
数秒後、この赤ゆっくり達も「ハズレか」という言葉と共に、床にたたきつけられ、3分にも満たないゆん生を終えた。
「なかなか産まれないな・・・」
「仕方ないさ。裏の情報網でもゆっくり人間の存在はせいぜい数体しか確認されていないんだからな」
「しかも、その情報も真偽は極めて怪しい、と?」
どうやら、この男達はゆっくり人間の製造に関する研究を行っているらしい。
そんなものを造って何がしたいのかは、きっと頭が痛くなるような理由だろうから特に知りたくもないが。
そんな馬鹿げたやり取りの後で急に場面が切り替わった。
今度はれみりゃザウルスの視点だろうか。
「ぎゃお゛~!もうだべられないどぉーっ!?」
「嫌なら食うな。その代わり死ぬだけだ」
「う゛う゛うう゛う゛うう゛ー!?」
無理矢理口を押し広げられ、その中に大量の餡子をねじ込まれる。
1回の量が私の握りこぶしくらいはあるような餡子の塊を何度も何度も。
しかし、男の手にしたバケツにはまだ10個ほどその塊が残っている。
「ほら、急いで食え!」
「う゛ー!ぎゃおー!?」
抗議しても、抵抗しても結局全て徒労に終ってしまう。
人間とゆっくりの力の差に物を言わせて強引に餡子の塊を食べさせられる。
そんな拷問を10回ほど受けたところで、ようやくバケツが空になった。
「う゛ーーーっ・・・ごんなの、えれがんどじゃないんだどぉ~・・・」
「ようやく食い終わったか。じゃあ次は運動だ」
男はれみりゃザウルスに首輪をつけると、運動用の部屋へと彼女を連れて行った。
数々の虐待用ツールの並べられたその部屋はゆっくりにとっては相当広く、運動部屋に相応しいものだった。
「さあ、走れ!」
「う゛~っ!ぐるぢぃーーー!?」
最初は拒絶していたが男に鞭で打たれ、その痛みと恐怖から逃げるようにして運動を始めた。
満腹以上の餡子を詰め込まれた体は非常に重く、下手をすれば中身を吐き出しそうになる。
が、その都度男が口を押さえつけて吐かせないようにするので叶わない。
それどころか、吐しゃ物のせいで呼吸が出来なくなってしまい余計に苦しそうだった。
「さあ、走れ!もっと走れ!」
「う゛あーーーーーーーー!?」
「でないと・・・あっちに放り込まれるぞ!」
男が指差した先には小さな窓がついていて、そこから隣の部屋の様子が伺える。
決して広くない隣室にいるのは7匹の胴体付きゆっくりれみりゃ。
1匹は1m弱の立派な成体だが、他は50cm前後の子どもだ。
れみりゃ種は基本的に陽気で、これだけの仲間が揃えば普段ならば仲良く踊っているものである。
しかし、そこにいたれみりゃ達はゆっくり特有の鬱陶しい笑みを浮かべる余裕すらなく、目を真っ赤にして泣きじゃくっていた。
「う゛ーーーー!れみりゃはぢにだぐないんだどー!おねーさまだぢがぢぬんだどー!?」
「えれがんどなおぜうざまはでびりゃだげでいいんだどーっ!!」
「でびりゃのあがぢゃん!もうげんがはやべるんだどー!!?」
スピーカー越しに聞こえてくるその音声はこれから起こる惨劇を十二分に予期させた。
そして、予期どおりの光景が目の前で繰り広げられる。
「う゛ーーーー!いだいどおおおお!?」
「えびりゃのあん゛よ゛がーっ!」
「う゛ーーーー!う゛ーーーーっ!?」
それはまさに蠱毒そのもの。
姉が妹を突き飛ばし、母が我が子を制止するために圧し掛かってぽかぽかと殴る。
たいした膂力もないれみりゃの闘争ゆえ、一見するとふざけているようにしか見えないが、徐々にそれゆえに凄惨さを帯び始める。
不可抗力で目を突き破られたあるれみりゃが床に伏して絶叫したのが、そのきっかけだった。
「うぎゃあああああああああああああああああああ!?」
「うぅ?・・・わかったどぉ!おべべをねらえばいいんだどぉ~!」
決定打を与えられない状況に業を煮やしていたれみりゃ達は、偶然によってもたらされた必殺の攻撃に頼り始めた。
姉の、妹の、母の、娘の2つしかない、流石に再生しようのないそこを狙って7匹がぶつかり合う。
抱き合ったまま転がり、相手の上に馬乗りになることに成功したものが相手の目を抉り出すが、その隙に横から目を穿られる。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「ぎゃお゛ーーーーーー!?びえない゛いい゛い゛い!ぐらいどーーーっ!?」
「うー・・・・・・」
「ままぁ~・・・れみりゃ・・・」
数分後、そこには両目を失ったれみりゃ5匹と、片目を失ったれみりゃ2匹ののた打ち回る姿があった。
既に息絶えたものや痛みでうずくまるものにぶつかりながらも狭い部屋の中を徘徊する両目を失った母れみりゃ。
そんな地獄のような光景を見てなおも闘志を失わなかった、片目だけは何とか守り抜いた2匹は未だに争い続けている。
「う゛ーーーー!ぢね!ゆっぐりぢね!」
「えでがんどなでびりゃはぢなないんだどー!れびりゃがぢぬんだどーっ!?」
まるでゆっくりふらんのように死ねを連呼しながら揉み合う2匹。
殴り、噛みつき、踏みつけ、突き飛ばし、圧し掛かり・・・お互い、目に攻撃を当てられないながらも確実にダメージを蓄積させてゆく。
決着がついた頃には片目こそ相変わらず勝利を収めたれみりゃもまた右腕と翼を失い、全身に出来た傷から肉汁を垂れ流していた。
その後、修羅と化した(というには幾分緊張感を欠く容姿だが)幼いれみりゃは全盲の母が躓いて転んだ隙をうかがって襲い掛かった。
「う゛ーーーー!やべるんだどー!?おがーざまになにずるんだどーっ!?」
「うー!ぢね!しね!?」
「やべるんだどーっ!うーーーーーーー!?」
「ぢね!ぢね!ぢね!ぢね!?」
「うっう~・・・うー・・・」
ようやく、家族同士の殺し合いに決着がついた。
もちろん、その間もずっとれみりゃザウルスは走りっぱなしだったのは言うまでもないことだろう。
「よし、とりあえずドス食わせてみるか?」
「ほら、食え食え」
「やめてください、おおすぎます」
今度は元きめら丸視点。
彼女の隣には3m程度の大きさのドスまりさと思しき何かが逆さ向きに転がっていた。
口を塞がれた巨大饅頭は半分以上焼け焦げた底部をうねうね動かしている。
「ー!・・・・・・っ!?」
一切の移動もドスパークも封じられたドスまりさは何とか動かせる部位だけを動かして起き上がろうともがいている。
しかし、彼女の巨体はその程度では微動だにせず、そうこうしている間にも男が彼女の皮を剥ぎ取ってゆく。
更に皮を失った部分の餡子を穿り出すと、それを角の生えた・・・というよりも角を刺されたきめぇ丸にねじ込む。
「やめてください、もどしてしまいます・・・エレエレエレ」
「しかし戻したものを更に戻す!」
意味も無く叫んだ男は右手できめぇ丸を押さえ込むと左手で彼女の吐いたものを掬い、乱暴にそれを飲ませる。
流石のきめぇ丸もこれには死に物狂いで抵抗するがやはり人間には敵わず、ゆっくりにとっては酷い匂いを漂わせるそれを飲まされた。
「お、おお・・・くさいくさい・・・」
そう言いながらもニヒルな笑みは絶やさないきめぇ丸だったが、きめぇ丸特有のシェイクには普段の切れが全くなかった。
それからも色んなものを見せられた。
子どもの成長速度を強化され、ひたすら子どもを産まされ続けるれいむ。
レイパー因子を外部から投与されて後天的にレイパー化させられたありす。
この両者の交わりは1週間に140匹という驚異的な多産を可能にした。
それと同時に己の蛮行に苦しむありすと、毎日今生の別れを繰り返すれいむの心を凄まじい勢いで蝕んでいった。
「でいぶうううう!ぎょうもずっぎぢごべんなざいいいいいいいいいい!?」
「いyAあああああああああああAaaaa!?ZuggiりぢだぐNaいいいいい!?」
「「ずっぎりー!」」
「「「「「「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」」」」」」
「ゆ、ゆっくりSiていってNE!」
「だがお別れなんだな!」
「れいぶNoあがぢゃんGaああああああああああ!?」
「あぢずのどがいはなあがぢゃんんんんんんんん!?」
あるまりさ達は若手のドスまりさの用いるキノコを食べて、ドスパークの練習を強要されていた。
しかし、そのキノコを食べたからと言って簡単に撃てるような代物ではない。
「ゆ゛ヴぁ!?」
「ゆびぃ!?」
パンッ!という軽快な音が室内に響くと同時に黒いものが四散する。
言うまでも無く、ドスパークに失敗したまりさが爆ぜたのだ。
それを見たまりさ達は訳も分からずに怯え、泣きじゃくる以上のことなど何も出来ない。
運良く原因がキノコにあることに気付いて吐き出したとしても、お仕置きと称して人間に潰されてしまう。
知能強化と称して中身を増量させられたぱちゅりーの皮が破れ、そこから中身が漏れ出して死んだ。
人語を話せるように改造されたみょんとめーりんはオリジナリティがないという理由で潰された。
あるちぇんは何となく潰された。
「「「「「「「「「「ごれぢゃゆっぐぢでぎないよ!」」」」」」」」」」
そこはまさにゆっくりにとっての地獄だった。
「で、これがどうしたんです?」
それが映像を見終えた私の率直な感想だった。
確かに私はゆっくりを飼っていて、多分それなりに可愛がっている。
しかし、その一方でお菓子として食べることもある。
それゆえ、ゆっくりがいたぶられる光景に可哀相だとは思うが憤ることは決してない。もちろん、喜びもしないが。
「実は彼らはゆっくりで世界征服をたくらむ悪の秘密結社なのよ」
「・・・なんかコロコロの悪の組織みたい」
本当にあいつらは何がしたいんだろうね?
ミニ四駆やベーゴマやヨーヨーで世界を征服しようって言うんだからとても正気とは思えない。
そんな馬鹿丸出しの組織が実在、それもゆっくりを用いてだなんて・・・。
「放っておけば?」
「そうしたい所なんだけれどね・・・」
と、頭をかきながら呟いた社長はおもむろに私を扇で指した。
「問題は貴女のようにドスパークを使えるゆっくり人間が誕生するかも知れないってことなのよ」
「・・・・・・ああ、なるほど」
確かにそりゃ危険だ。
キノコの一本でもあれば、酷い時にはそれすら無しに破壊光線を撃てる人間。
外見によって識別も金属探知すらも無効化し、おおよそ文明のある場所ならどこにでも侵入できる。
ついでに言うと、人間一人の侵入を完璧に阻む都市なんて存在するはずもない。
しかも、社長によると「姿を消す能力を有するドスまりさ」もいるらしい。
そんな能力を持ったゆっくり人間が悪用されてしまえばどうなるか・・・まともな脳みそを持つ人間であれば説明するまでもない。
「って、そうじゃなくて・・・」
「何の意図があって私にこんなものを見せたのか、ですね」
「アンタ、便利ね?」
異能力を身に着けたゆっくり人間が世間に出回るとどうなるかとか、ドスパークを使えることを受け入れている自分はどうなんだろうとか・・・
まとまり無く色んな事を考えていた私の思考の中から最も重要な一点を正確に代弁してくれたのは紫髪の少女。
よく見ると実に可愛らしい子だ。あ、今照れた・・・なんてやってる場合じゃない。
少女から視線を外し、改めてれみりゃザウルスをあやしている社長の顔を見つめた。
「そうそう。それで貴女に注意しておきたかったのよ」
「注意?まあ、何となく予想できるけど・・・」
「“私、狙われるかもしれない?”」
「そこは心より空気を読もうね、お嬢ちゃん・・・」
薄々感付いていても第三者に指摘されると結構へこむ。
しかし、がっくりとうなだれる私に社長は更に追い討ちをかけてくれた。
「あと・・・貴女がドスパークを使える理由なんだけれど」
「いや、別に聞きたくないから」
「却下♪」
「“力の源泉を知らないと暴走する恐れがある”」
「フォローされても聞きたくない・・・」
頭を抱える私の都合なんてお構い無しに、ついに力の正体が明かされた。
「実は・・・貴女の前世がとても有名なドスまりさだったのよ」
・・・案外普通でほっとした。
---あとがき---
次回、第一の刺客リオれいむ!
ドスお姉さんと謎の組織の激しい田打開の火蓋が今・・・切って落とされる!!
なんて事はきっとありません。どうせ今後も緩々です。
この作品のネタ元は『
ゆっくりいじめ系2023 ある少女のお話』のあとがきから
勝手にゆっくり人間を増やすのもアレだろうということで、スピリチュアルな理由付けになりましたが。
社長とか、紫髪の少女とか何かもう色々やりたい放題です。さーせん><
【登場キャラ紹介という名の作者の独り言】
ノリと勢いで前世が饅頭になり、更に訳の分からない力に目覚めさせられてしまった酔いどれ女子大生。
今後の訓練次第では不可視化も習得できるので遅かれ早かれ極めて危険な人間兵器になる。
ゆっくりに懐かれやすいのも、ゆっくりとの交渉能力が高いのも前世がドスまりさだかららしい。
ミステリアスのパーフェクト美人女社長。多くは語るまい。
テレパスっ娘。何故いると訊かれればお答えしよう。作者の趣味、と・・・。
名前を思いついたのは書き終えてから。元ネタはグラビモス。
後日談にて今後のみの振り方を明かされなかった気の毒なやつ。
元ネタはテンタクルス。正直、これはもうゆっくりじゃないよ・・・。
そう考えるとホ○ミスライムってすげぇなと思ってしまう。
うん、なんだ。ティガれみりゃの人のれみりゃを可愛く書くスキルは異常だと痛感した。
こんな奴虐待できるかチクショウwww
byゆっくりボールマン
最終更新:2009年02月14日 04:15