ゆっくりいじめ系2023 ある少女のお話

  • ゆっくりレイパーさんからのお題『ゆっくりと人間のハーフが出てくるSS』
  • このSSには厨なオリキャラがでてきます。その手の類が嫌な方は読まない方がいいと思います。
  • 虐待分薄です。






『ゆっくりしていってね!!!!!』

 窓を隔てた下から大きな声が聞こえてきて私は目覚めた。
 毎朝聞きなれた御馴染みの声だ。

「うー……まだ時間あるじゃない……」

 時計を見ると針は6時を過ぎた所だった。
 まだ一時間は余裕があるというのに……。

『ゆっくりしないで早く起きてね!
ギリギリだと学校で頭が働かないよ!!』
「はいはい、わかりましたよ……ったく」

 起きてこなかったら、また五月蝿い声を幾度なく上げられるのだ。
 ただでさえ余計に響くと言うのに……布団を被りこんでも無駄なのが恨めしい。
 二度寝なんてできやしない。

「んっん〜……」

 布団から上半身を起こすと思いっきり背伸びをした。
 仕方ない、起きるとしますか。



「おはようー……」
「おはよう。きちんと早起きできたのね」

 着替えて下のリビングに行くと母が朝食の準備を既に終えていて此方を向いていた。
 机に盛られた料理の数々がほのかに全身を刺激する。
 のっそりと椅子に腰掛けて朝食へ手を付けようとすると母が声をかけた。

「こらっ、揃うまで待ちなさい」
「……はーい」

 我が家では朝食は揃ってから食べることにしてる。
 厳格な家で育った母の言によるものだ。
 そのためにわざわざ余裕を持って起こされてるのかと思うと自分の境遇がつくづく情けない。
 おかげで我が家のモラルと言うか規則は厳しい。
 少しくらいは普通の人みたいにだらだらしたり、ぐだぐだしたりしたいなぁと思う。


「ゆっくり来たよ! ゆっくり窓を開けてね!」

 少しするとリビングの窓に大きな影が映った。
 黒い帽子を被り、丸い下膨れの顔……と言うより顔しかない。

「おはよう」
「ゆっくりおはよう!」

 内側からかかってる鍵を母が開けると下膨れの顔がゆっくりとリビングに上ってきた。
 このためにわざわざ我が家は窓も広ければリビングも広く天井が高く余裕があるのだというから、金持ちの仕業と言うのは恐ろしいものだ。
 そんなことにお金を使うくらいなら家計の方を手助けして欲しいと思うのだが、そこは自立の為とか何やらでノータッチな我が祖父。

「ゆゆーん! 今日もかわいいよ、はにー!」
「あら、今日のあなたもとっても素敵よ!」

 母とでっかい顔は親しげに抱きつくと小さな顔をすりすりとでっかい顔に摺り寄せている。
 相変わらずのバカップル振りに頭が痛かった。

 とっくに気づいてる人もいると思うので今更隠しようがないが、このでっかい顔

 ……もといドスまりさが正真正銘私の父だ。



「ゆっくりいただきます!」
「頂きます……」

 家族三人……と言っていいのかどうかは解らないがとにかく揃った私達は朝食を食べ始めた。

「はにーの料理は今日も美味しいよ!」
「いっぱいあるから沢山食べてね」

 父の隣では母が料理を箸で掴み、父の口元に運んでいる。
 俗に言う“あーん”のシチュエーションだ。
 但し、私の目の前で行なわれてるのは片方がでっかいゆっくり。
 一部のHENATIと呼ばれる人以外は憧れないだろう。むしろ普通の人なら見たくない部類に入るのではないだろうか。

 父と母の姿を横目にご飯を食べ終えると器を台所に片付け、さっさと登校することにした。

「ゆっくり気をつけて行ってくるんだよ!」
「いってらっしゃーい」

 廊下に出ると後ろから二人の声が聞こえてくる。

「はいはい、行ってきます」

 後ろでいちゃつくバカップル二人に呆れながら玄関から私は外に出た。

「今日は天気予報で雨が降るって言ってなかったから大丈夫かな」

 水気には弱いので雨は嫌いだ。





 母はここらでは名の知られた資産家のご令嬢だった。
 そんな家に産まれて育った母だから、規則に厳格で躾に厳しい。
 小さい頃からピアノにバレエに茶道に踊りにと習わさせられていた母は、私にも幼い頃から同じ習い事を課した。
 ……尤もピアノ以外は才能がなく直ぐ止めてしまったが。
 そのピアノも全身から音を感じ取れるゆっくりらしい特質により、人より相対音感が優れていたから。

 ともあれ、そんな母と父との出会いは母曰くまさに運命の出会いだったらしい。
 高校の帰り道、身代金目当ての悪漢に誘拐された母は近くの山の小屋に監禁され、今まさに貞操の危機といったところ、
そこに母の悲鳴を聞きつけてやってきたのが、我が父だったそうな。
 その山小屋のドアを押し倒し、悪漢を瞬く間に蹴散らし、母を救出した我が父は、まさに少女漫画に出てくるヒーローだった。

 ……饅頭でさえなければ。

 ともかく母の瞳にはそんなドスになりたての父が白馬の王子のように映った。
 元より資産家の娘と言うだけあって、お嬢様学校等に通わさせられていて男性に対する免疫もない、人間の男性のイメージも弱い母からすれば、ゆっくりでも恋の対象になった。
 それでもゆっくりに恋すると言うのは、余程感覚がずれていると思わざるをえないが、その娘だと思うとorzと凹む。

 母と父の運命の出会いから、しばらくの間二人の密会やら、アレやらコレやらして結ばれたりとかの期間が続いた。
 実際にノロケ話を聞かされた時は頭が痛かった。
 思春期の多感な時期に迂闊に想像してしまった時は、家出しようかと本気で考えたくらいだ。

 でもそんな両親の蜜月もそう長く続かなかった。
 母が身篭ってしまったのだ

 ……私を。

 ゆっくりと人間の間で? と自身のことながら思うが、母からすれば『二人の愛が届いた』と泣く程喜んだらしい。
 が、そうなると二人だけの問題ではなくなってしまうのは当然。
 祖父母達は、『誰の種だ!』と大怒りするが、それに対して素直に『彼(ドスまりさ)との愛の結晶』と答える母も母であった。
 元は母を救ってくれた恩ゆっくりとして、父に悪い感情を抱いていなかった祖父母達。
 むしろ、礼として父が捕獲されたり退治されないように山の一角を買い上げ、ゆっくりに対して優しくなったくらいだが。
 まー、まさか娘がゆっくりと結ばれて身篭ったと言う話を聞かされては、バーサーカーソウルを使いそうな程の大激怒をしたそうだ。
 客観的に見ても人としてそれが当然だろう。

 しかし、幾ら説得しても軟禁しても頑固な母。
 あの手この手で父を母から引き離そうとしたが、父を始末すれば母は後追い自殺しかねない勢い。
 更には家出して逃避行まで起こしかけた(未遂で終わったらしい)のにとうとう祖父母達も折れた。
 幸い、母の上には兄、つまり私の伯父がおり、跡目として必須と言うわけでもなかったので二人の仲は渋々許された。
 奇跡のような確率である。
 ご都合主義だ。

 母と父、そして私のために。祖父は郊外の土地に塀で囲まれた広めの一軒家とその庭に蔵を立て与えてくれた。
 蔵は父の部屋である。
 流石に父も同居できる家となると、もうどこぞの西洋の貴族か王族かと言うような屋敷にせざるをえず、蔵を建てて父の部屋にすると言うことに落ち着いた。
 蔵の中はきちんとフローリング作りになっており、引き篭もりには最高の家だと思う。
 私によこせと言いたい。
 世間体と言うものもあり、これもどうかと思うのだが私は私生児と言う扱いになり、そのために父は飼いゆっくり@ゴールドバッジという扱いになっている。
 ドスまりさは人を殺すことも可能だから、バッジの入手は通常のゆっくりより遥か天と地の差程に厳しく、ゴールドバッジ以外は許されない。
 それを取るんだから愛は強しということだろうか……。
 ちなみにゴールドバッジを持つドスまりさは日本でも二桁もいないらしい。

 ……むしろ、それだけいる方に驚く。

 世界中を合わせると何匹いるんだろうか。
 金持ちのどーらくなのだろうか。
 それとも父と母みたいなのが他にもいるのだろうか。
 少なくとも私と同じハーフの話なんて聞いたことがない。
 そもそも天文学的確率の奇跡な上に、いても私と同じように秘密にするに決まってる。
 好き好んでハーフと宣言する人は、いたとしても今頃某国の研究機関の中ではないだろうか。



「ゆゆっ! ゆっくりしていってね!」

 市内にある学校へは、バスで通っている。
 家からおよそ15分ほど歩いた所にあるバス停まで毎朝歩くわけだが、このライフワーキングが面倒くさかった。

 家からしばらく歩くと右手の道沿いに雑木林があり、左には道路を挟んで田んぼがある。
 郊外ならではの風景なわけだが、この雑木林が曲者だった。
 この雑木林にも多分にもれず野良なのか野生なのかは解らないがゆっくり達が住み着いている。

 ドスまりさと人間のハーフである私は、外見も機能も殆ど人間だけれどゆっくりの特徴も受け継いでいる。
 ふやけるのが早いせいで水泳は苦手で女の子の楽しみである長風呂もできないわ、耳を閉じても音が聞こえてくるわ、
鼻をつまんでも全身で匂いを感知できるわ……他にも色々あるのだが、ここを通る際の悩みの種は父の能力を受け継いだことだ。

 ゆっくりオーラ。

 ドスまりさには周囲の生物をリラックスさせるオーラを発することができるのは世間でも有名だ。
 ドスまりさがその気を出せば強制的に周囲の生物をゆっくりさせれると言う。
 どうやら私も僅かながらそれを受け継いでしまったらしく、私の周囲にいると気分が落ち着くらしい。
 尤も私はハーフなのか、オーラを上げることも下げることもできない。
 というか調節するやり方が解らない。
 父に教わる気もない。
 友人曰く

『いやー、あんたの側にいると何か落ち着くのよねー』

 らしいし、その程度で済むおかげか、むしろ人間関係を良好にさせる要因になっている。
 この点では父に感謝している。

「ゆっくりできるおねーさん、れいむをゆっくりおねーさんのむれにいれてね!」

 しかし、おかげでゆっくりが良く寄って来る。
 挙句の果てにドスまりさが父なせいか、会うゆっくりはこのように大抵「むれにいれてね!」と要求してくる。
 始めの頃は、『ごめんね、私は群れを持ってないし作るつもりもないの』と丁寧に答えていたが、
『ゆゆ! そんなこといわずにれいむたちとゆっくりしようよー!』と登校途中だと言うのに足元をちょろちょろうろつかれ、毎度おっくうになった。
 酷い時は数匹が足元に纏わりつくのだ。

 ガシッとれいむの頭を私は掴み

「ゆっ! ゆゆーん、おそらをとんでる―――」
「そーい!」

 思いっきり雑木林の方へ投げた。
 我ながら段々と投げるのが上手くなってきたと思う。
 このくらいならゆっくりは衝撃に強いので死にはしない。
 ……落下地点に尖ったものさえなければ。

 最近はもうこのようにとっとと森へ向かって投げてしまうことにしてる。
 遅刻したくないし。
 精神的疲労はもう通り越して久しい。
 ただ、ただ、面倒くさいだけ。

「ゆ、きれーなおねーさんなんだぜ! まりささまとしっぽりす―――」
「白銀の左足!」

 やってきた明らかに性格の悪そうなまりさを道路へと蹴っ飛ばす。
 見えたのは龍の足だけ。
 ぼよんぼよんとまりさの身体が道路を跳ねていき

 ガーーーーーーーッ、ベシャ。
「ゆげっ!」

 やば、後ろから来たトラックがまりさを踏んでいってしまった。
 普段、あまり車が通らないものだからついいつも通り道路に蹴飛ばしたが、今のは下手したら私のせいでスリップしてもおかしくない。
 まぁ、元々森や山沿いの道路はゆっくり注意があるけれども。
 これからは気をつけよう、うん。

「んほぉ! んほぉぉぉ! すっきりぃ! すっきりした―――」
「黄金の右足!」

 雑木林から現われた明らかに顔が酷いゆっくりありすを右足で蹴り上げるとありすはまるで龍のように舞い上がり、道路を越えて田んぼにドボンと落ちた。

 ゆっくりの恋愛は非常に早い。
 出会って告白してつがいになって赤ゆを作るまで平均して一日。
 なものだから、たまにこうして最初から「れ、れれ、れいむとゆっくりしてね!」とかゆっくりの結婚を申し込まれたり、
「まりさとすっきりするんだぜ!」等と直接求められる。
 今でこそ何も思わない鉄の心を手に入れたけれども、慣れるまでは言われるたびに結構鬱な気分になったものだ。
 尚、子供の時にさっきのありすの顔を初めて見た時は、泣き出して両親の元に逃げ帰り、しばらくトラウマになった。
 おかげで父からは『悪いゆっくりには引っかかっちゃ駄目だよ!』とか今でも言われる。
 ゆっくりに引っかかるのを心配されるのは正直凹む。

 ちなみにこの道が三番目に嫌だとしたら一番嫌な場所は市民公園だ。
 あそこはゆっくりが沢山生息してるせいで私が行くとわらわらと集ってくる。
 うぞうぞと足元に集まってくるゆっくりの光景はまだ幼かった私にはおぞましかった。
 次の日、腹いせに一人で出向いて唐辛子に砂糖をまぶしたものを公園にばら撒いて帰った。
 さらに翌日見にいくと、市民公園のあちこちでゆっくりが吐いた餡子が公園中に溢れていて清掃業者の人たちが慌しく餡子の掃除に追われていた。
 本当にゆっくりにも清掃業者さんにも悪いことをした。
 幼い頃の黒歴史の一つである。
 そして二度と行くことはない、と誓った。
 友達に誘われようとも、例え彼氏ができようが絶対に市民公園だけはこれからの人生で絶対に行かないことにし、今も尚守っている。

 こんな風にして育ってきたわけだから私の性格もこのように歪むと言うものだ。 


 そーいえば、市民公園といえばこの間母が

『この間、市民公園のゆっくりが(性的な意味で)襲われたんですって……。
清掃業者さんが後片付け大変だったとか……』

 と言ったせいで父がやたらと心配して私にドススパーク用のキノコをしきりに持たせようとしてきた。

『悪い奴が来たらこれを噛み砕いて力を込めて息を吐いてね!』

 等とドススパーク用のキノコの使い方を教えてくれたが、本気で断った。
 噛み砕けばもしかしたら私にもドススパークが使えるかもしれない……そんなことではなく、いやキノコを噛み砕いて口からドススパークを撃つ姿が嫌なのも勿論あるが、
それ以前に女子高生としてキノコなんて持ち歩きたくない。
 こんなものが鞄にでも入ってるのが人に見られたら、永遠に晒し首である。
 その前に私は首を吊る。

 残念そうにしていた父の姿に罪悪感を少し覚えたが、こればかりは人の娘として私も譲れなかった。
 その前にお父さん、お母さん、私を心配するってことはその人達に襲われると思ってるんですね……。





「おはよー」
「おはよー」
「元気ー?」

 バスに乗ってから駅に止まるたびに少しずつ学友達も乗ってくる。
 通学する中では私が一番遠くバスに最初に乗る。

「今日も髪綺麗だねー」
「いいなー、相変わらず肌が綺麗でモチっとしてて……」
「もう」

 友人の手が私の髪を羨ましそうに手でさっと触れてくる。
 別の友人の人差し指が私のほっぺをちょんとつつく。

「あはは、ごめんごめん」
「そんな怒らないでよ。誉めてるんだからさ」

 不幸なことに私は父に似た。
 少しだけクセのあるふわふわとした髪は金色
 肌は日本人の中では白い方で大福の要素なのか弾力が強かった。
 一番嫌なのは丸顔で目が大きい、完全に童顔なことである。
 これで下膨れまでついてきたら完全に引き篭もりになってたに違いない。


「ねぇねぇ、新しく出来たケーキ家なんだけどさ。
今日の放課後行ってみない? すっごく美味しいって評判でさ」

 情報通の友人が買い食いを提案してきた。

「―――行こうか」

 即答した。
 自慢じゃないが私は甘い物に人一倍目がない。
 多分、これも父のせい。
 ゆっくりとしてあまあまを欲しがると言うやつなのだろう。
 今日は帰りが少し遅くなりそうだ。




 帰りのバス停についた時には日ももう沈む頃だった。
 家には遅くなると連絡してあった。
 遅くなる時は、きっちりと連絡しないと大目玉を食らわせられるのが我が家だからだ

 ゆっくりとバスから降りていくと見慣れた大きな帽子が出口の前からでもちょこんと見えていた。

「ゆっくりお帰り!!」

 私がバスから降りると父がそこにいた。

「ただいま」

 帰りが遅くなる時はいつもこうして父は迎えに来る。
 バスの運転手さんが「相変わらず、できた飼いゆっくりだなー」と言いながらバスを発進させていった。
 昔、母が誘拐された時の教訓なのだろうか。
 それとも例のゆっくりをレイプすると言う存在を気にしてだろうか。

「まりさが鞄を持つよ!」

 そう言うと父は私の持ってた鞄を起用にひょいっと外した帽子の中に入れて被りなおした。
 外では父は自分のことをまりさと呼ぶ。
 一応念のためにだ。
 まぁ、父と呼んでるのを聞かれても父代わりに面倒を見てもらってたとかは犬でもある話なのでそこまで問題はないと思うが、
そんなところまで気を配れるのが長い年月人と暮らして変化したものなのだろう。



「ゆ〜♪ ゆ〜♪ ゆーゆーゆ〜♪」

 殆ど暗い中、残った夕日の赤が薄っすらと父と私の髪を赤く黄色く染め上げ光らせる。
 家までの道は短いけども、いつもこの父と並んで歩く時を長く感じる。
 歩きながら口ずさんでる父の歌は人間から見れば下手な部類に当てはまるが、人間には騒音にしか聞こえないゆっくりの歌ではなかった。

 はっきりと“下手な人間の部類”だった。


 長い間、人と生活することで段々と父は人間っぽくなっていった。
 蓄えられた知識も多ければ語彙力も豊かになる。
 ゆっくりらしさは抜けきってないけれども、父の喋り方はゆっくりらしからぬ人間っぽさが強い。
 考え方や振る舞い方も少しずつ人間っぽくなってきたらしい。
 そんな父の姿を見てると幸せなのだろうかと思う。

 ドスと言えば普通は、ゆっくりの中に囲まれて暮す。
 しかし、父はゆっくりと一緒に過ごすことを捨て人間の中でずっと生活してきた。
 ゆっくりとしてゆっくりらしいゆっくりをせず、ずっと人の輪の中で。
 ゆっくりらしい行動なんて甘い物が好きなことと「ゆっくり」の口癖くらいしかもうないのではないのだろうか。
 そりゃ跳ねたりはするけど。


「ねぇ、お父さん」
「ゆゆゆっ!?」

 父が驚く。
 さっきも言ったように外で父と呼ぶのは互いに控えているからだ。

「ゆっくりしてる?」
「ゆゆっ!?」

 ゆっくりしてる?

 ゆっくりにとってはお互いのゆっくりを尋ねる友好を測る挨拶。
 驚いた顔が抜けると父は凄く嬉しそうに答えた。

「うん! まりさは、とってもゆっくりしてるよ!」

 かすかに残った赤い光に照らされた父の顔はとても明るかった。

「……背中乗ってもいいかな?」


終わり。






後書きと言う名のウザイ言いわけ

 お題SSでした。
 まず一言目はナンジャコレ。
 おかしい、最初のプロットではドススパークを覚えたゆっくりハーフの女子高生がゆっくりの力を利用して世界征服を企む悪の秘密結社と戦うアドベンチャーだったはずなのに……嘘。
 早く出来た物ですが、プロットは結構悩みました。
 一つはハーフが当たり前のように存在する世界を考えましたが、虐待分皆無だったのでパス。
 もう一つはある日突然ハーフであることを〜でしたが、本家と同じになるしあのノリには私の実力では勝てないのでパス。
 逆に考えるんだ。
 逆に考えればいいんだと。
 と味皇様が申したので逆に作って見ました。

 主人公:男⇔女
 人間の親:父親⇔母親
 親ゆっくり:母親⇔父親
 馴れ初め:レイプから始まる恋⇔純愛

 んじゃー、純愛させるかと思って白馬の王子様展開を思いつき、手軽にドスを使う。
 純愛でドスと恋するって……ドスと一緒に生活してる……とあれやこれやしてたらこんな厨SSが出来上がってしまいました。
 俺TUEEEと思ってなるのが厨キャラじゃない、いつのまにかなってしまうのが厨キャラ。
 ちなみに彼女の部屋には両親から貰った父と同じ形の帽子が飾ってあります。
 なんだかんだ言って認めてる親子が書きたかった。
 もうゆ虐SSじゃねぇ。

 ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

by 名無しなんだ

















 以下の部分はゆっくりレイパーさんからの批判が来たら削除します。


オマケ



 最近は慣れてきたが、街中を歩いてるとたまに此方をちらっと見る人がいる。
 父譲りの金色の髪を眺めてるのだろう。
 実際、私だって外国の人がいたら「あー、あの人外国の人かな」と意識が少しは動くし、誰だって多少はあるだろう。

 ただ最近……

「ん、どうしたの?」

 足が止まった私に対して友人の一人が話し掛けてくる。

「ん? いや何でもないよ。ちょっと足がつっかかっただけ」

 心配させまいと私は平静を装って歩きを再開させる。

「ほら早く行かないと帰るの遅くなっちゃう」
「門限あると大変よねー」
「ただでさえ人気で列が出来る店だしねー」

 抱いた違和感を学生らしい会話をして私は振り払い、私達は店へ向かう。

 何時からだろう。
 街中にいるとたまにゾクリとした寒気のようなものを感じるようになったのは……。

 今年の冬は風が強いからなのだろうか。




「どうしたんだボブ?」
「カチョウサン、ニホンノシガイニモ、ユックリイルノデスカ?」
「市街にいるのは流石に駆除されるからなぁ……いても駆除される前に私が頂いてる」
「チカクニ、ユックリガ、イルキガシマシタ」
「ボブ」
「ドウシマシタ?」
「なぜそれを早く言わない?」

「スラム街のように都市で生活する都市ゆっくりを犯す機会なんて最近じゃそうそうないんだぞ。
もし近くにいるのだとしたら最高じゃないか」
「オーウ、カチョウサンガ、フジヤマボルケイノ」
「今度の休日はゆっくりが住んでそうな所を探そうじゃないか。スラムでならしたボブの力を楽しみにしてるぞ」
「ハッハッハッハ、マカセテクダサイ」


終。

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最終更新:2014年12月22日 13:00
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