ゆっくり加工場系14 地ゆっくり

「ゆっくりしていってねーゆっくりしていってねー」
別にゆっくりが言っているわけではない、ここはゆっくり加工所
牛や馬の厩舎のようなつくりの中で、ここ幻想郷で現れた謎のイキモノ
ゆっくり種を加工するところだ

ゆっくりたちは驚くことに「生きている饅頭」とでもいうもので
食事や生殖を行い、しかしその体はあんまん肉まんクリームまんなどの饅頭である
「「ゆっくりしていってね!」」
多重音声で答えるゆっくりたちに野菜クズや草などを与える
ここはゆっくり霊夢、魔理沙、アリスなどを混成で育てるという場である
広さは10畳程度、地面は土でところどころに鶏を育てるような小屋がある
屋根と網で囲いがしてあるのは内部の逃走を防ぐ役割の他空から迫る捕食種のゆっくりレミリアに対する処置である
数人の男たちがそういういかにも動物の餌を振り撒きつつ、口にする言葉は
「ゆっくりしていってねーーゆっくりしていってねー」
念仏を唱えるように続けるとゆっくりたちがそれに続いて
「ゆっくりしていってね!」とつづけながら撒かれる餌に飛びつく

「うわっ」
そのうちのある男が足元に当たったものを見つけて飛びのく
金色の髪のゆっくりが地面に突っ伏している
「これはゆっくりアリスか、死んでるぞ」
持ち上げると、その顔は強張っており口からぼろぼろと土がこぼれる
「おおこわいこわい」
側に居たゆっくり霊夢と魔理沙が目を細め、体を寄せ合うと
なんともうさんくさい表情でそんな言葉を吐く
「こいつどうしたんだ?」
普通、動物を飼ってる厩舎などでは死んだ動物の死因を突き止めるのは人間の仕事だが
ゆっくり種の場合は他のゆっくりに聞けば返ってくる、その点は楽だ
「とかいはだから、ほどこしはうけないんだってー」
「あんたたちよくそんなのたべれるわね、とかいってたぜ」
「都会派?なんだそりゃ」
くだんのゆっくりアリスを持ち上げ見てみれば随分とほおがくぼんで髪などの色艶も悪い
するとふたたび「おおこわいこわい」をはじめた2匹をぽんぽーんと蹴り飛ばし
年かさの男が近づいてきた。
2匹は「ぷんぷん」と怒ったが少し遠くに餌を投げるとすぐ忘れたように追っていった。
「ゆっくりは死んだやつあざけるのが腹がたつがやー」
少し年かさの男は訛っている
「アリズは外で知恵をづけっど、それにとらわれるんだなや、餌のえりごのみしやる」
「そうなんですか」
「動物のながには鳥とかのう、野性のもんをかおーとすっと、出される餌くわんとしんでしまうやつもおるけどのお、なんかそゆのとはちがうみたいやの」
訛りは幻想入りした日本語のため、分かりにくい部分もあるが
彼は元猟師、要するに習性か、プライドとでも言おうか、ゆっくりアリスは他のゆっくりたちより自分が特別でないと気が済まないという種であるらしい
それでも孤立して暮らしていくには種として脆弱過ぎるため群れなどを利用するわけだが
ある程度バラバラの群れを渡るようにして暮らせる野生ならともかく、いや野性でもそうなのかもしれないが
自分を精神的上位に置くという、そんなことを気取ってみても少なくともこの場では餌も居場所も一律のものが与えられている、群れはこの厩舎内のすべてのゆっくりでひとつで野性でもゆっくり種にどれだけの格差をつくりだせるものか、その結果現状を否定しつづけるうちに衰弱して死んでしまうようだ
「こいつら全部ココ生まれだぞ?どこから都会派なんて概念を知ったんだ?」
「つっても親は野性のもんやろ?親が教えたんかもしれん、そうでなくてもカラスはカーとなくげんどもな、ハハハ」
他方に餌をやりに行っていた、比較的がっちりした体型の男がゆっくりアリスを抱えて脇に挟んでと合計3匹ほど抱えて来る
「ありすはとかいはだもの、とくべつあつかいはなれてるわ、えすこーとはまかせるわ」
ゆっくりアリスはなんだか口々に若干甲高い声で喋っているが
解せず男は言う、ゆっくりは言葉は通じるが考えが狭く自分勝手で会話は疲れる
「どうします?アリス種はまた数を減らしてるみたいですよ、餌を食わない以外にどうも喧嘩を売って殺されたり、発情時の危険を知ってるらしい成体にやられるようですが」
「うーん、ここは自然から獲ってくるのではなく、できるだけ自然に近い味のゆっくりを人の手で育てられないかということでやってる厩舎だからなあ、だから種別もばらばらでやってるわけだし」
いわゆる地鶏ならぬ地ゆっくり(じゆっくり?)だろうか
ふとゆっくりアリスを踏んだ男が見やると
用意した障害物の切り株や小屋の影に数匹の金色の影が隠れたのが見える
ああ、と何か理解してがっちりした体型の男に抱えたアリスらを離すように目線を送り
答えてその持って来られたゆっくりアリスが放たれる
他のゆっくりが「うめ!めっちゃうめ!」などと餌に夢中なのに対して
「まあ、わたしはべつにどうでもいいんだけど、わたしのどこにそんなみりょくがあったのかしら、まったくわからないわ、ふふふ」
と誰ともなく自慢?をしているようだ
もちろん食べるのに夢中で相手にしているゆっくりは居ない
その3匹以外のゆっくりアリス以外は・・・
餌も食べずじっとりとその3匹を見てる。苦渋の表情を浮かべたのは人間である
「同士打ちもするようだな、こりゃ」
「すみません」
がっちりした体型の男はその身を縮めてしまう
ゆっくりアリスを踏んだ男はいいよと返しながらそのがっちりした男に向かって述懐する
「野性でもあの旺盛な繁殖能力でゆっくりアリスの数が少ないはずだ、ゆっくりアリスの群れの外からの視点が、いわゆる群れの思考の凝固を防いでいるようなところもあるんだろうが
脆弱なゆっくりなのにこんなに群れに馴染まない性質をもつとは頭が痛いな
ゆっくりパチュリーなんざこんな実験段階の厩舎にまわってこないし
こりゃあ、発情で全部ゆっくりアリスになるとかの状況の前にゆっくりアリスが死滅してしまうぞ・・・ゆっくりアリスだけ餌を特別にやるとか何か考えないと」
「さすが元学者さんはゆっくりに詳しいですね」
がっちりした体型の男が賞賛の言葉をかける、元学者という男は頬を掻くが
じっとゆっくりアリスを観察しながら年かさの猟師の男が言う
「いや、それはあかんやろ」
「そうですか?」
「いくらゆっくりでも特別扱いしたら不満に思う、フリだけで本当は皆と同じものしか食わさないとしてもなあ
 牛や鶏でもそうなんだから、ゆっくりがそうでないという保障もねえや
 そういうことばっかりめざいといような生ぎもんだしな
 あとゆっぐりありすはどうもこうやって飼ってる以上は増えないようだど?」
元学者の男は目を見張ってゆっくりアリスを見やる
ちょうどまださっきの特別扱いされたと思っている3匹のゆっくりアリスが
誰にも聞かれてない自慢を、ほぼ涙目になりながら続けているおかげでほかのゆっくり種はともかく、ゆっくりアリスは全部動かずにじっとり目線を送り続けている、すばやく数を数える
「本当だ、減ってるけど増えてない、ゆっくりアリスは繁殖すると子が全部ゆっくりアリスになるとか5分5分じゃなくて半分以上の子がゆっくりアリスになるというけど」
「普通は動物っていったら取れる餌が多くなって増えすぎるもんだが
ゆっぐりありすはどうも取れる餌が少なくなると、群れを圧倒するために増えるよだな
なんともはや」
どうもゆっくりアリスは、自分のためだか意図せずか、自分で自分で命綱のはずの群れの生態バランスを崩しにかかりすらするらしい
元学者という男があきれたようにゆっくりアリスを見やる
そろそろ、三匹のゆっくりアリスたちは無視を続けるほかのゆっくり種に偶然をよそおって体当たりし注目を向けさせようとしているようだ、返り打ちにあって踏みつけられた。
「なんでこいつら野性で生きていけるんだ」
思わずこぼした言葉にがっちりした男が身を縮めながら答える
またゆっくりアリスが減らないかと気が気でないようだ
「たぶん人間の顔と言葉を持つからだと思います。熊とかでも歌いながら歩くと襲われないといいますし、で妖精や妖怪が避けるのは・・・」
男は大柄な体をさらに縮めて言葉を続ける
「たぶんその人間のなかでも特別な顔に似てるからではないかと・・・」
学者の男は肩をすくめる
たいてい妖怪同士が繰り広げる弾幕勝負は死と隣り合わせの幻想郷の神秘、娯楽だが
それに参加できる数少ない人間、その人間の顔をぎゅっと潰して中途半端に膨らませるとゆっくりたちの顔になる、どうも本人たちは不本意のようで口にするのも失礼なようだが
それでゆっくりたちが生き残ってるというなら、毒蛙のふりをする無害な蛙や毒蛇のふりをする無害な蛇のようなものだろうか
「わしも猟師の仕事があがったりじゃけん、でかせぎにきとるんよ
 たいていの動物は人間の声で逃げるでの」
思考の海に沈みかけた元学者の男に別方向から声がかかる
「おーいまたやってるぞー」
男が瞬間で思考から戻り、顔を上げ声の元にいく
「ここはれいむのおうちだよ、じゃましないでね!」
「またやったか」
厩舎の端に餌やりの全員、総員6名がそろっている
それほどの事件とは
「おまえら言っただろ、それはダメだって」
「あそこはダメになったからここにしたんだよ?ゆっくりでていってね」
主張によると場所を変えたからいいだろうということらしい

そこには通称十分育ったお母さんゆっくりこと、ゆうに1m以上の大きさのゆっくり霊夢が半分ほど土に埋まって鎮座していた。
絵面はどうもユーモラスだが、またやらかしたこととはその掘った穴のことだ
「ここでは穴を掘るのはやめてくれと言っただろう」
「しらないよ!ぷんぷん、あかちゃんたちがゆっくりするためにひつようなんだよ、れい むのうちだよ!ゆっくりさせてね!」
「お前が産んだ子は加工されて居ないよ、それは未熟だから代理母を頼んだだけなのに」
「ゆ?わかんない、ここはれいむとあかちゃんたちのいえだよ!」
「ていうか3日前に来たやつだろコイツ、まあ大した母性本能だな」
話は平行線である
元学者の男だけが無言でその様子をみていた。
なんとそのゆっくり霊夢は今も土を食べて穴を掘っているのだ
「はぐはぐはぐ、むーしゃむーしゃ」
「掘るんじゃねえ!」
職員の全力の蹴りが飛ぶ
そういえば食事をえり好みするくせに排泄をしないゆっくり種は、代わりにありえないほどの回復能力を持ち、形態としては単細胞生物や植物に近いと永遠亭の研究結果があるが
「ていうか、こいつら餌って土でもいいんじゃねーの?」
「いや、まあ一応は食料となるもの以外を食わせると回復力も味も落ちる一方なんだがな、そもそも普通は口にしようとしない」
さっきまで餌やりをしていた立場からすれば土などを食われてもということだ
土を穴を作るほど食うなどミミズのようである
「どうも子供が居ると一定の場所、巣を求める性質のようです。」
「熊とかといっしょだなや、しっかしそんなしょっちゅう穴も掘っとれんだろに」
「大きい固体ですからね、ココ育ちで経験は無いはずですが・・・本能でしょうか」
一人の男がボロ布を手に巻いて無造作に穴掘りを続けるゆっくり霊夢の下に手を突っ込む
「ゆっくりさせてねッ!!がじ!」
「あーこれだけ大きいと流石に噛まれると痛いねー」
そんなことを言いつつ何事も無く、口を取っ手か何かのように基点にして担ぎ上げると穴から出す。皆心得たもので数人で踏みつけて穴に戻るのを阻止する
「れ゛い゛む゛のおうちーーー!あかちゃんたちがーー!」
「「ままー」」
「あーはいはい、とりあえずもう穴はやめろよ何度やっても無駄だ」
足蹴だ、蹴飛ばすように足で穴からちび霊夢たちを蹴り出す。
「ぷんぷん、おにいさんはゆっくりできないよ、ゆるさないよ」
「あーはいはい、その頭で明日まで覚えてられるなら憶えてろよ、俺は今日はこれで上が りだ、メンバーかわんねえのに誰の顔も覚えたことなんてねえだろ」
「ひどいごとされると顔憶えるが恩義はすぐに忘れるみてーだなや、犬猫と逆や」
「回復能力が高く雑食だから恩義で懐くより利用に頭が向いてるんだろ」
ボロ布を巻いた男に声がかかる
「噛まれて平気なんですか?」
「あーどこまで大きくなってもこいつら噛む力は人間並みだから、普通そんなに噛む力が 強い動物は口がアゴから出てて噛むのを得意とする形状してるだろ、犬とかな
 こいつらは人間の言葉を話せる代わりにそのへんが弱いのよ、だから餌も食い散らかす
 本来は虫とかの一口大の大きさのものを丸ごと食べるか、柔らかい草木をむしりとるよ うに食うんだ、それしか出来ないというのだろうがな」
「だが餌をいちいち一口大に切り刻んでというのは手間がかかる」
「動物が硬い獲物をぐうときは首をこっ、こうやって捻ってちぎるんだども、こいつら首ねえしなあ、顔が地面にめりごんじまう、ハハハ」
「ゆっくりが信条だから食事も楽しむようだしな、むーしゃむーしゃしあわせーってか」
「鼻がないから噛んでも長時間保てないとかも聞きます」
「とりあえず食事のことはいい、この穴だ」
皆はしげしげと穴を眺めた。
太い穴には小さな横穴が掘ってあって、そこに小さなゆっくりがおさまっていた。
小さなゆっくり霊夢が食べて掘ったらしい、このおうちとやらは完成すれば、入り口から直径一メートルの穴が続き奥で小さな分岐がいくつかある、キツネなど巣のようになったはずだ、聞くところに寄ればそういう動物の巣などを怒鳴って追い出し占有するとも聞く
動物だけじゃなく人間の家すらそれをするらしい
とりあえずゆっくりを全部巣穴から放り出し、目の前の問題としてはこのゆっくりの巣穴は埋め戻しが困難なことだ、掘った土が無い
「野性だと口に含んで吐き出して掘るそうですが、それをしないのは餌が十分あるからでしょうね、捕食種も居ないから体力が落ちても襲われる心配がないというのもあるでしょう、どうしますか」
「あーあのへんな道具屋の一輪車とやらを買えばよかったー」
「結構手間ですよ、もう何回目でしょう・・・」
「やれやれ・・・」
ほおっておけば厩舎が崩れかねない、穴に落ちてごく小さな種が潰れて死んでも困る
そもそも一定のテリトリーなどを許せば、排除行動も行うだろう
前提とした厩舎のつくりになってないという人間側のミスの問題もあるだろうが・・・
ずーんと暗い空気のなる人間をよそ目に一匹のゆっくり魔理沙が巣穴に飛び込んだ
「ここはまりさのおうちだよ!でていってね!」
「ちがう!れいむの!」
相撲取りが太ってると強いという論理でゆっくりの大きな個体は強い
体全体の押しつぶしや体当たりは、その個体より小さな個体はほぼ圧倒する
その分大きくなるほど動きは鈍くなる、高く跳ねることはできないし小回りも効かない
足が無いからふんばりが効かず動物や人間などを押し倒すことなど不可能だ、よほど地面に伏せている、寝てるなどと身を低くしているところに押しつぶしを食らえばそれなりにダメージはあるだろうが
しかしどこまで行っても体は饅頭で攻撃法もそれ以外無い、飛び跳ねる足音?も相当響く野性では動物はそれで存在自体を避けるようだ
つまり、どんなに大きくてもやっぱり人間に足蹴にされて簡単に排除されてしまうわけだ
「いたいよ!せっかくまりさのおうちになったのに」
「あーおら!貴様自分で掘るのはダメでも他人の掘ったのを奪えばいいって腹だな」
「おにいさんがんばってね!れいむのおうちをまもって!」
「あー!!守らねーよ!ここは埋める!誰の家にもしねえ!」
「小屋もあるけど体が入らないのか、もっと大きな小屋が要るのかなあ」
「これ以上おっぎな家となるとぉ、牛が飼えるようになるぞハハハ」
「この場所では無理ですね、この大きさのゆっくり霊夢はまだ3匹くらい居る、元は交配用の処分物を幼児種の育成にもってきたのにどんどん大きくなって」
「餌がいいのかねえ、それとも運動が足りないのか」
「こいつら成長はしても肥え太るというのは聞きませんけどね」
ふと会話は止まり、視線はずっと無言の元学者の男に集まった。
彼はここの責任者だった。
「・・・」
元学者の男は考え、そして端的に言った。
「ここの育成は問題があるから最初からやり直す」
他の五人からはため息とともに嘆息の声が漏れた。
「そして自然のままに育てるという目的は果たされていないため、全部商品にならない
 品質のため全処理を行う、撤収」
巣穴はなんと手近な小屋をひっくりかえして突っ込むというぞんざいな方法で埋められ
「れいむのおうちがー!」「まりさたちのおうちがー」などという被害の声を無視し
人間は全員が厩舎から出て行く
「ゆっくりしていってね!」
ゆっくりはさようならもそんな言葉だ
人間皆が哀れみの表情を浮かべているのに気づかない

夜はほどなくして訪れた。
厩舎の明り取りに程度しか開かないはずの天窓部分が全開に開き
人間の声がさっきの地ゆっくりたちの厩舎の天井からする
「はい、う゛っう゛ーはい、う゛っう゛ー」
薄い天井を歩き回る人間の足音にいぶかしげに天井をみやるゆっくりも居るが
大抵は睡眠欲のほうが勝って眠りに入る、すっかり警戒心を失っているのだ
それに人間でない子供のような舌足らずの声が返る
「う゛っう゛ー♪」

ここで俯瞰してゆっくり加工場全体を見てみよう
加工場は広く、その施設の中でも鉄の骨組みに編んだツタなどの網で数本の木を丸ごと包んだ、巨大な鳥かごのような施設がある
その鳥かごは四方八方に腕のようにトンネルが厩舎の格施設の天井に繋がっているようだ。これが現代ならそのようなものを空調の配管などと答えるところだが空調などではない、そのトンネルは直径一メートルを越えた太さで金属の網製だからだ
「「う゛っう゛ー♪う゛っう゛ー♪」」
処理が開始される
捕食種ゆっくりレミリアが食べるのは他のゆっくり種
加工場では加工に回されないゆっくりをトンネルをつたってその厩舎に行って食べる
要するによほど特別に育てられてる種でないかぎり他ゆっくりの処分に使われてた。
これは工場部の逃走したゆっくりの駆除などにも使われているシステムだ
やっと地ゆっくりたちが天井からやってくる天敵に気づく
「まりさはみないこだね?ゆっくりしていってね」
「なあにーれいむねむいー」
「とかいはのありすはりゅうこうにびんかんよ、と・ともだちになってあげてもいいわ」
「「ぎゃお~たべちゃうぞ~♪」」「「う゛っう゛~♪」」
ゆっくりたちは夜目が利かないらしく気づかないようだ
もう天井を埋め尽くすほどゆっくりレミリアの大群が存在するのに
よたよたぽとんと、とても他の鳥と比較するには無様な様子でゆっくりレミリアが降りる
そこにゆっくり魔理沙が近づいた。
「しんがおか?ここはうまくはないがたべものもあるし、ゆっくりしていってね!」
「がぁお~♪う゛っう゛~♪いただきまーす」
「えさはにんげんがもってくるんだぜ?」
会話は成立せず、ゆっくり魔理沙のもちもちのほっぺは半分欠けた。
「むーしゃむーしゃ、う゛ーでりしゃーす♪」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛な゛なんでこんなことするのお゛ーーーー!?」
「おいっしーよ、まりさおいしー♪」
ここに至っても双方にコミニケーションは無かった。
再び牙か八重歯だかの見える口でゆっくりレミリアがゆっくり魔理沙の頬にかぶりつく
「や゛め゛でぇぇぇぇたべないでーーー!ゆっくりできないよお゛ーーー!」
振りほどくようにゆっくり魔理沙がその場で身を翻すと、伸びたほっぺがぶちんと切れた。
「まりざのほっべち゛ぎれ"たあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
ぽろぽろとみずみずしく光る餡子が落ち、すかさずゆっくりレミリアが舌で舐め取る
「もーぐもーぐ、しあわせー!う゛っう゛ー♪」
「まりさしあわせじゃないー!ゆっくり゛できない゛ーーーーーー!」
目の幅涙を流しながら訴えるゆっくり魔理沙の声は無視されて今度は帽子が奪われる
ゆっくりレミリアには、いわゆるゆっくり種の特徴、飾りを食べ残す種も居るが
「むーしゃむーしゃ、おつなあじーう゛っう゛~♪」
このゆっくりレミリアは好き嫌いが無いらしい
「やめ゛て、やめ゛て、やめ゛て、やめ゛て」
その後も会話は成立しなかった。
頭が欠け、目が片方欠け、口が半分になるころには声も出なくなり
ゆっくり魔理沙はすべてゆっくりレミリアの食事となってゆっくりと腹?に収まった。

そんなことが厩舎の全域で起こっていた。
巨大なゆっくり霊夢は数匹のゆっくりレミリアにたかられ、バラバラ千切られ
逃げ回っていた小柄なゆっくり魔理沙はちょうどジャンプの頂点で噛みちぎられ落ち
口八丁でゆっくりレミリアに取り入ろうとしたゆっくりアリスは会話を解されず
「とかいはのありすにはあ゛りえないよー」などとのたうちまわりながら食われ
小屋に逃げ込んでも、小屋はこの処理を前提にして壁が丸ごとない構造
そもそもゆっくりが入れる小屋にゆっくりレミリアが入れない道理もなく
小屋に逃げたゆっくりは小屋で二人きりゆっくりと捕食されることになった。
厩舎の乱痴気騒ぎはそれだけでなく、必死で背中に子供を隠そうとするあまり押しつぶし殺してしまう母親や、危機に瀕して本能が目覚め、自滅必至の幼生種に交配を強要するゆっくりアリスや「うふうふふ」などと友か親かの死滅に現実逃避し笑い続けるゆっくり魔理沙など
ゆっくり朝日が昇るころには全ての種が、文字通りゆっくり消えてなくなった。
「はい、う゛っう゛ーはい、う゛っう゛ー」
天井が叩かれるとゆっくりレミリアはよたよたと飛んで鳥かごの自身の厩舎に戻る
大抵のゆっくりレミリアは夜行性、太陽で消えてなくなるなどという種も居るが太陽は苦手で共通している、が苦手とするわりに遮光の程度は木陰に居る程度でかまわなかったり日傘があれば大丈夫だったりもするのでそのへんはゆっくりらしくぞんざいな作りである
「う゛っう゛~おなかいっぱーい♪」
「はいはい、おじょーさま巣に帰ってね、おねむの時間だよー」
ゆっくりレミリアの飼育員が処理に使った個体全ての帰還を数で確認し天井を閉じた
厩舎には大量の食べかけの饅頭のかけら、そして帽子やリボンなどの飾りが落ちている
朝出勤した別の職員が熊手などでそれもかき集め、他の捕食種ゆっくりゆゆこやゆっくりレティなどの食料とするのだ、そしてしばらくの時間が流れる

「ここがれいむのおうちなんだね」
「そうだよ、ここが新しいおうちだよ、ゆっくりしていってね」
「うんゆっくりしゅるよ、ゆっくりちていってね」
小さなゆっくり霊夢は手のひらからぴょんと飛び、その場所がひとめで気に入った。
母親が居ないという異常事態が依然存在するはずだがゆっくりブレインは忘却を選択
板張りの床に遊具、彼女にぴったりの大きさの小さなおうちに水のみ場
そこに同じくらいの大きさの黒い帽子のゆっくりが近づいてきた。
「ままーままーまりさのままはどこー」
「ゆゆ!あなたはゆっくりできるちと?」
どうも同じく幼いまま親から離されたゆっくり魔理沙のようだ
「ゆ?れいむいがいのゆっくり?ゆっくりちていってね!」
「ゆ?だれ?あ!ゆっくりちていってね!」
本能に刻み込まれたゆっくりしていってねは舌足らずでも通じあいきゃっきゃと騒ぐ
幼くストッパーの親も居ないゆっくりブレインには危機感の三文字は遠いことだ
「名づけるならば幼稚園方式、またの名を紅魔館方式」
腕組みしてつぶやく職員の横から次々に厩舎に放たれるゆっくり種は全部幼生体のみ
処分に対しては上の許可が下りたが厩舎は拡張が効かなかった。
そこで敵が居ない、餌が豊富という厩舎の状況を逆手に取って厩舎を広くできないならば小さなゆっくりたちを飼えばいいという考えである
この第一陣以外に同じような幼生体ゆっくりを継ぎ足し継ぎ足し追加し成体になった個体からじゅんぐりに加工に回すという育成計画である
「ありしゅはありしゅだよ、ゆっくりしようね」
「いいよれいむとゆっくりしようね」
職員の一人がふとつぶやく
「これが牛とかならこんな簡単に処分というのは無いでしょうね」
「ゆっくりのサイクルの早さがあればこそだな、抱えるほどの大きさとなるとそれなりに 時間がかかるものだが茎式の出産では即座に喋れる個体が出来る」
「どうだか、外では狩りもせんと肉を食えるていうからのぉ・・・」
ふとある個体が彼女らにとってはとてもとても広い厩舎の端に、板の下に違和感を感じた。
「おにーしゃーんおにーしゃん、れいむのおうちのここへん」
「ここって?どう変なんだい?」
期せずしてその職員は数ヶ月前に同じ厩舎でゆっくりアリスを踏んだ元学者の男だった。
「おこえがしゅるのーへんだよーきょわくてゆっくりできないよー」
「はいはい、おい食事を与えて集めろ前に穴があった所だ、埋めたぞ?・・・それに声?」
さあ食事だよーと餌が撒かれる、餌やりの文句は
「ゆっくりしていってねーーゆっくりしていってねー」

「ここか」
数人の職員がその厩舎の端の板に集まり、がっちりした体型の一人が板に耳を当てる
「しますね、なんか声します。」
「あー?なんだなんだ一体、こりゃ恐怖物語の一説か?」
手早く板が外されると円形にそこだけ色の違う土が見える
その色の違う土の一部がなんだかもこもこと動いてる
「ぷは!おそとだーすっきりー」
「すっきりー」
ゆっくりのあらゆる状態を見てきて慣れている職員でもぎょっとしたのはその土から出てきたゆっくり霊夢?が輪をかけて異常な姿をしていたかだ
「おじさんたちはごはんをもってきてくれるひとだね、れいむはおなかすいたよごはんもってきてね、れいむはゆっくりできないよ」
「れいむもこんなのばっかりたべてたからべつのものがたべたいよ、れいむのぶんもはやくもってきてね」
「泥団子だ」
職員のつぶやきが正解である、そこには赤いリボンを付けた黒髪の・・・ゆっくり霊夢型の泥団子が鎮座してゆっくり霊夢のように喋っていた。
「ぷんぷん、れいむはどろだんごじゃないよ、しつれいしちゃう」
「ゆ?」
片方の個体が片方の個体を太陽の下でしげしげと見やる、泥団子である
「よごれてるよ?れいむがきれいにしてあげるねぺーろぺーろ」
「あは、くすぐったいよ」
「あーなんだ汚れてる・・・だけだ・・・よな?」
舌まで砂色の片方のゆっくり霊夢が、もう片方のゆっくり霊夢を舐める
さらさらと舐められたゆっくり霊夢からは砂が落ちて下からはもちもちの真っ白な饅頭皮ほっぺが・・・出てこなかった。舐めても舐めても泥の塊
「おおおおおかしいよ、れいむのかおおかしいよ?」
「ななななんんなのれいむのかおなんなの?」
「ちょ、ちょっと穴を見てください、あ?うあ!」
穴を覗き込むと相当深い、別の職員が底に手を突っ込むと肩まで入っている
最後のあ!はあちこちに支道があるようでそれを踏み抜いて職員がつまづいた声
そして掘った土は無い
「君たちいったいどうしたんだい?」
分からなければ本人?に聞いてみればいい、ゆっくり飼育の基本である
そして聞いたところによると
夜に眠っているとう゛っう゛ーと唸るへんなのが来てお母さんがおうちで塞がっていたおうちに押し込んで土を食べて食べてといわれたので食べまくっているとそのうち静かになった。
どうやらあの処分の前の日に穴を掘った一メートル越えのゆっくり霊夢の子だったらしい
ゆっくりレミリアから守って親が土の中に生かしたようだ
「余計なことを・・・」
「れいむたちどうなったの?」
「俺が聞きたいよ」
時間的にはその処分から1ヶ月が経っている
次の計画の実行のために厩舎には板が張られといろいろやってるうちにどうやら土の中という環境に馴染んだ固体になったようだ、話からすると土だけじゃなくミミズなども食べていたということらしいが子供の個体というのが環境の適応能力の柔軟性を持たせたのか
これがホントの地(面の下で生きられる)ゆっくり
「まあ要らないな」
「れいむいらないこじゃないよ?!」
どっかの3姉妹の定型句か
「2匹居るのは好都合だ永遠亭行きだな」
「えいえんていってなあに?」
「ゆっくりできるところだよ、ああゆっくりできるだろうさ、死なない人間が相手だ」
「ここじゃないところでゆっくりできるんだね?ゆっくりしていってね」
無邪気に笑う、名づけるとすれば泥団子霊夢2匹は早々に退出される
「穴は板を張れば全然大丈夫です」
「なら予定通りに育成が始められるな」
加工場の本当の地ゆっくり育成はこれからである
泥団子霊夢が永遠亭でどうなるのかそれはまた別の話

byアンバランス

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最終更新:2008年09月14日 10:10
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