森のどこかにある
ゆっくりの巣。
ここには、ゆっくり魔理沙達が住んでいた。
通常単独行動の多いゆっくり魔理沙種だが、交尾に耐性のある個体数はゆっくり霊夢のそれと同じである。
「ゆっくりあそぼうね!!!」
今日も日課の散歩に出発するゆっくり家族。
昨日まで雨が降っていたので、今日は久しぶりの外出だ。
「こっちにいこうね!!!」
ズンズンと進んでいくお母さんゆっくり。
ゆっくり霊夢の母親が、集団の後ろから子供達を見守っているのに対し、ゆっくり魔理沙の母親は先頭に立って進んでいく。
ゆっくり魔理沙も他の個体より多い好奇心は育っていくほどに大きくなっていくのだ。
知らず知らずの内に、列の先頭になってしまうのだ。
それでも子供達も活発なため、みんな迷子にならずに付いてくる。
時々後ろのゆっくりが食べられたり迷子になったりするが、ひとり減っても気にしないのがゆっくりだ。
「ゆっ!なんだろうここ?」
「わあ!おおきいおうち」
「だれもいないのかな?」
「おかあさん。だったらここ、まりさたちのおうちにしようよ!!!」
「うん、ゆっくりしようね」
勝手に人の家に上がりこむと駆逐される。
大抵のゆっくりの親は、それを分かっていたから子供の頃から生きていたのだ、ゆえに親は慎重なのだ。
一部には、人の家自体を知らないゆっくりがいる事も事実だが。
ただ、好奇心旺盛なゆっくり魔理沙は、住みたい場所があれば直ぐ引っ越す。
散歩と言っても、所謂家探しと同じだ。
「「ゆっくりしようね!!!」」
基本的に何も無い有ったとしても、直ぐにまた準備できるようなものばかりの以前の巣に別れを告げる。
一部の巣では、ゆっくりれみりゃ(希少種)を食料にしている事もあるが、殆どの巣には何も無い。
「たべるものなにもないね」
「これなんだろ?」
「ひっぱるとあくんだよ」
「うんしょ、とびちっちゃったね」
「いいかおりだね」
「でもにがいね」
「でもおいしいよ!!」
「ほかのはこもあけてみようか!」
むきゅー!!!」
この声は決して紫もやしではなく、この建物の主人である。
「なんなの……これは」
釣れない釣りをして帰ってきた時の、家の状態。
障子はボロボロ、台所もボロボロ、挙句の果てには秘蔵の茶葉に至るまで全て空っぽになっていた。
「おねえさんどうしたの?」
「ここはまりさたちのいえだよ!!!」
「おねえさんもゆっくりしていってね!!!」
「いま、なんていった」
「ここはまりさたちのいえだよ!!! ゆっくりできないんだったらかえってね!!!」
お母さんゆっくりが前に出る、一応きちんと母親の責任も果たしているようだ。
「……は、わた……よ」
「?」
「こ……は、……たしの……えよ」
「おねえさんなにいってるのかわかんないよ!!!」
「これからゆっくりするから、いっしょにゆっくりしようね」
「おねえさんもここにとまっていくといいよ!!!」
「ここは私の家だって言ってるだろー!」
宝符「躍る陰陽玉」
「わっ!すごい、おねえさんすg」
「うわー! おがあざーん」
「おねえさん! やめて! ゆっぐりじようよ」
陰陽球がゆっくり達を潰していく、本来誘導効果はついていない筈だが、鬼神の如き今の巫女ならそれくらい容易いのだろう。
「ハァハァ、……スペルカード使ったら疲れたわ」
ちなみに巫女は、三分で一五匹のゆっくりを殲滅した。
……おねえさん、ごねんなさい」
「おうちはかえすからゆるしてね」
「おうちなおすのてつだうからゆるしてね」
何匹か生き残ったゆっくり魔理沙、母親は既に死んでしまった。
よくある事だ、母を失ったゆっくり魔理沙は森に逃げ帰る。
こちらも粗方処分して人も冷静になっているからだ。
「……饅頭!! 饅頭がいっぱい!!!」
ただし、それは普通の人間の場合。
なぜなら彼女は今、断食三日目だったのだから。
「いたいよ!! ゆっくりはなしてよ!!!」
「おねえさんはなしてあげてね」
「う゛わ゛ーーー」
そこには、どこかの汎用人型決戦兵器の様に、ゆっくりを喰ってる巫女が居た。
「……ふう、生き返ったわ。それにしてもこの大量の帽子どうしようかしら? ……魔理沙にあげようかしら、紅魔館に行く度にボロボロにしてるし」
尚、彼女が四日前に食べた一週間ぶりの食事も誰かが神社に置いていった、美味しい紅白饅頭だったことを付け加えておく。
最終更新:2008年09月14日 10:18